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認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤13 大脳皮質基底核症候群(CBS)の典型例から学ぶ症候・診断・背景病理
大脳皮質基底核症候群(CBS)の典型例から学ぶ症候・診断・背景病理 大脳皮質基底核症候群(corticobasal syndrome: CBS)は、皮質症状として失行・皮質性感覚障害・他人の手徴候など、基底核症状としてパーキンソニズムやジストニアなどを呈する臨床症候群であり、様々な背景病理により生じる。CBDは病理診断名であり、CBSは臨床病名として区別される。 現病歴 60歳代後半の女性。5年位前からふらつきが出現し、階段が怖くなった。3年前より左側に引っ張られるような浮遊感があり複数の診療科を受診したが異常を指摘されなかった。1年前に自転車走行中にバランスを崩し転倒し左鎖骨を骨折。その後も左上下肢の動きが悪く、物をうまくつまめない・まっすぐ歩けないなどの運動症状に加え、左手指・足指のしびれ感も出現。最近になり、しゃべりにくさも自覚するようになり、脊髄小脳変性症の疑いにて紹介受診となった。 初診時現症 意識清明で協力的。MMSE 24点。眼球運動異常制限なし。明らかな構音障害はないが、やや小声でプロソディ障害あり。徒手筋力テストは左右差なく正常
6月26日読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤58~(リウマチ性多発筋痛症)— 認知症と誤診された PMR の1例 —
症例の概要 患者背景 80歳代・女性。高血圧症で通院中、ドネペジル服用。独居(2階に息子夫婦)。主婦・70歳で夫と死別。寡黙で我慢強い性格。飲酒・喫煙歴なし。 主な経過 半年前から急に閉じこもるようになり、動作緩慢・表情固くなった。食欲低下で食事・入浴が自力困難。精神科でHDS-R 18/30点で認知症と診断・ドネペジル処方。3カ月前に精神科病院に入院。入院後はベッド臥床がちで午前中は特に動きたがらず。37℃台微熱・体重5kg減少・炎症反応上昇で総合内科に紹介。 初診時所見 体温 37.2℃、BP 155/80 mmHg。眼瞼結膜に軽度貧血。両肩周囲に圧痛あり、外旋・外転・内転は痛みで困難。手首・手指・膝・足首の熱感・腫脹なし。Babinski 反射陰性。粗大麻痺なし。 診断のポイントと検査 急性〜亜急性の ADL 低下では変性疾患以外の要因を積極的に考える。慢性硬膜下血腫・脳腫瘍・電解質異常・肝腎不全・薬剤性・感染症に加え、悪性腫瘍・傍腫瘍症候群・膠原病・血管炎も鑑別。 正球性貧血・血小板増多・血沈亢進(85 mm/時)・CRP 5.2..
6月24日読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤57~代謝性脳症— NASHによる肝硬変・肝性脳症の1例 —
症例の概要 患者背景 80歳代・男性。整形外科疾患で70歳代後半から車椅子生活。うっ血性心不全で利尿薬を内服中。糖尿病・高血圧症・睡眠時無呼吸症候群など多数の基礎疾患あり。飲酒歴なし。 主な経過 3カ月前から便秘。2カ月前に一過性の箸を落とすエピソード。その後、変動する意識状態、独語増加、つじつまの合わない言動、日中傾眠が出現し入院。 初診時所見 JCS Ⅰ-2〜Ⅱ-10・傾眠傾向。両上肢にアステリクシスを認める。MMSE 15/30点(日時−4, 場所−2, 計算−5 ほか)。 診断のポイントと検査 亜急性の認知機能低下には せん妄・てんかん・プリオン病・炎症性疾患・血管障害・代謝性脳症 などを幅広く鑑別。頭部MRI・脳波に加え、電解質・肝腎機能・ビタミンB₁・葉酸・甲状腺・梅毒・HIVのスクリーニングが重要。 本症例では アンモニア 78 µg/dL(軽度高値)、肝線維化マーカー(ヒアルロン酸 143 ng/mL高値)、腹部CTで肝形態変形・軽度肝肥大・食道静脈瘤を疑う血管拡張が確認された。過去の検査を遡ると4年前から肝機能障害・血小板低
6月23日読了時間: 1分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤56~一過性てんかん性健忘Transient Epileptic Amnesia(TEA)
🧠 Dementia Mimics⚡ TEA(一過性てんかん性健忘)🔄 繰り返す短時間の発作性健忘🌅 起床時に多い🧬 側頭葉てんかん(口部自動症・幻臭)⚠️ ALF(加速的長期的健忘)📋 Zeman診断基準(3項目)🔬 脳波:右側頭葉焦点性鋭波💊 カルバマゼピンで改善🆚 TGAとの鑑別(表2)🔍 脳波異常がなくてもTEAを除外すべきでない 症例提示(CASE) 現病歴 患者背景 60歳代後半の男性。約1年半前から、以前の特定の出来事を忘れてしまい、全く思い出せないということがあった。去年家族旅行に行ったが、その時の記憶がすっかり抜け落ちてしまっていた。自身の記憶がなくなることに強く不安を覚え、ひどく気分が落ち込んだ。 また、運転中や歩行中に、ふわっと自分から意識が離れていくような感じが20秒程度あった。妻によれば、口をぺちゃくちゃと動かす様子がみられることがあり、その際、声掛けに部分的には理解している様子がみられるものの、完全には理解できず、適切な応答ができなかった。少しして妻が呼びかけると、我に返るとのことであった。...
6月22日読了時間: 3分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤55~非けいれん性てんかん重積発作Non-Convulsive Status Epilepticus(NCSE)
🧠 Dementia Mimics⚡ NCSE(非けいれん性てんかん重積)🔄 変動する意識障害・異常言動⚠️ 高齢者てんかん初回発作の約30%が重積🌊 脳波:3〜5Hz多形性高振幅δ〜θ波📋 Modified Salzburg Criteria👁️ 眼球瞬目・ミオクローヌスを見逃すな💊 レベチラセタム 1,500 mgで翌日改善🔍 TGA・TIA・TEA・せん妄との鑑別 症例提示(CASE) 現病歴 患者背景 60歳代後半の男性。ネフローゼ症候群の診断で入院し、ステロイド治療を開始した翌日の10時頃から急に「迷惑だと思うけど家に帰ります」と言い、看護師を押しのけて無理やり帰ろうとした。会話がかみ合わず、自宅の住所を尋ねると「わからない」と答えた。 既往歴:糖尿病、慢性腎不全。 初診時現症(脳神経内科評価) 時間・場所の見当識が失われ、自分の名前も別名を名乗った(問いかけた医者のネームプレートにある名前を答えた)。診察に対して注意は維持できており、傾眠はみられず、むしろ興奮状態。順唱3桁、逆唱は全くできなかった。神経診察では粗大な
6月21日読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤54~一過性全健忘Transient Global Amnesia(TGA)
🧠 Dementia Mimics💭 一過性全健忘(TGA)🔄 同じ質問を繰り返す⏱️ 24時間以内に自然回復🧬 前向性健忘+逆向性健忘✅ 良好な予後⚠️ TEA(てんかん性健忘)との鑑別⚠️ TIA・脳梗塞との鑑別📋 Caplan / Hodges-Warlow診断基準🖼️ MRI DWI:CA1海馬に小さな異常高信号🔁 3〜27%で反復リスク 症例提示(CASE) 現病歴 患者背景 50歳代半ばの大卒右利き男性。中小企業の社長。数日前から激務で3〜4時間の睡眠しかとれず疲労していた。当日午前10時頃、顧客と商談の最中に何度も同じ質問を繰り返すようになった。自分がどうしてそこで、その商談をしているのかがわからず、商談の相手も当惑した。社員に連れられて午後1時に救急外来を受診した。 既往歴:高血圧にてアンジオテンシン受容体拮抗薬内服。飲酒:ビール1日500 mL程度。 初診時現症 来院時血圧 135/75 mmHg。「なぜ俺はここにいるのか。ここはどこだ」と付き添いの社員に繰り返し質問する。当日の朝会社に出勤したことは覚えている
6月20日読了時間: 3分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤53~自閉スペクトラム症Autism Spectrum Disorder(ASD)
🧠 Dementia Mimics🌈 ASD(自閉スペクトラム症)🧬 神経発達症⚠️ bvFTDとの鑑別⚠️ 意味性認知症との鑑別📋 DSM-5診断基準🧪 PARS(広汎性発達障害評定尺度)🧪 WAIS-IVで認知特性評価🔑 幼少期の行動回顧が診断のカギ💡 心の理論(Theory of Mind)📊 セントラルコヒーレンスの低さ 症例提示(CASE) 現病歴・生育歴(家族主導での受診) 患者背景 60歳代の男性。家族とのコミュニケーションがとれないことや、家族に批判されると怒鳴るなど度を超えた怒りを発することが多く、一方で家族外の人物の言いなりになって金品を渡してしまうなどを主訴に家族主導で受診した。 幼少期から現在までの一貫したASD像 職場では定年まで異動なく、入社時から定年まで一貫して定型業務に従事。毎日終電で帰宅し休日も出勤。妻を気遣うような言動は一切なく、家族との会話もほとんどない。他者に悪意があると考えることができず、訪問セールスで不利な契約を結ばされることや、親族に金銭を騙し取られることを繰り返していた。定年後
6月19日読了時間: 3分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤52~注意欠如・多動症Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder(ADHD)
🧠 Dementia Mimics🔵 ADHD🔵 不注意優勢型ADHD🧬 神経発達症(発達障害)📋 CARRS評価スケール🧪 PASAT(作業記憶検査)👨👩👧 遺伝率75%・家族歴重要💊 アトモキセチン💊 メチルフェニデート🔍 認知症との鑑別:幼少期からの症状の有無♀ 女性の不注意優勢型:診断が遅れやすい 症例提示(CASE) 現病歴 患者背景 40歳代後半の女性。職場での仕事のミスが多くなったため、本人が認知症ではないかと心配して認知症外来に受診した。具体的なミスは、入力ミス・値段の記載間違い・個数間違い・メールの宛先誤送信など。同じ会社で比較的単純な事務職をしていた時期はミスをしても周囲がカバーできていたが、半年前に部署移動となり、複数の仕事を同時に行う作業が増えてからミスが多くなったという。 幼少期からの病歴を聞くと、家庭内の日常生活や学校においてもミス・物の置き忘れ・忘れ物が多く、部屋の片づけが苦手だったという。冷蔵庫を開けても何を取り出すかを忘れてしまったり、人から声をかけられた際に持っていたものを落とし
6月17日読了時間: 4分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤51~薬剤誘発性Drug-Induced Cognitive Impairment
💊 薬剤誘発性認知機能障害😴 ベンゾジアゼピン系薬剤🧠 Dementia Mimics⚠️ 抗コリン作用薬📋 bvFTDとの鑑別🔮 DLB前駆段階📈 MMSE改善 25→30点🌙 Night Eating Syndrome✅ 薬剤漸減で改善🖼️ ドパミントランスポーターシンチ⚡ 脳波異常(高振幅速波)🔄 離脱症状リスク 症例提示(CASE) 現病歴 患者背景 70歳前半の右利き男性。現役の会社社長。1年前から職場で同僚に同じことを何度も聞くようになった。半年前から不眠悪化・食事摂取量減少・意欲低下で出勤しなくなった。家族に言われたことや自分が言ったことを頻繁に忘れるようになり、4カ月前から妻が内服薬を管理するようになった。その後夜間に冷蔵庫や戸棚にある食べ物を探して口にするようになり(night eating)、体重が急増。 初診時現症と神経心理学的検査 意識清明。自分から話すことが全くなく、質問に短く答えるのみ。神経学的診察では応答の小声の傾向があったが、大きく声を出すように指示すると十分に大きな声が出せた。明らかな異常所
6月16日読了時間: 4分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤50~傍腫瘍性症候群+ Treatable Dementia の鑑別のためにどんな検査を提出すべきか
🧬 傍腫瘍性症候群 (PNS)🧠 CASPR2抗体🧠 VGKC複合体抗体✅ Treatable認知症🫁 肺小細胞癌⚡ 辺縁系脳炎📋 PNS Care Score📋 Graus 2021年診断基準🏥 Morvan症候群💊 ステロイドパルス療法🔍 認知症レッドフラグ📊 可逆性認知症メタ解析🖼️ FDG-PET / SWI🎯 TEA(一過性てんかん性健忘) 傍腫瘍性症候群 症例提示(CASE) 現病歴 患者背景 70歳代の現役会社役員の男性。元来記憶力に自信があった。X年8月頃から数カ月前の出来事を思い出せなくなり、「頭の中をかき回されるような」「ぼーっとするような」症状と両足部の「じんじん」とする疼痛が出現。日々メモをとっても後から見直しても書いた内容を覚えていなかった。3カ月後にA病院を受診。 家族から病歴聴取で、頭部違和感出現時に意識減損と口部自動症を伴っていることが判明。脳波では発作間欠期に右前頭側頭部に棘波→側頭葉てんかんの診断でレベチラセタムが開始・増量されたが発作が抑制されず、半年後に改めて精査目的で入院し
6月15日読了時間: 7分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤47~
この認知症は治療可能(Treatable)です — 早期診断が予後を決定します 亡くなった娘に毎日会っていると言い、15年前に退職した職場に今日も行かなければと繰り返す60歳代の女性。5カ所の病院で「更年期障害」「ヒステリー」と診断されていましたが、実際には自己免疫性辺縁系脳炎(LGI1抗体関連)でした。免疫療法により認知機能は正常域まで回復し、2年後まで再発なく経過しています。 症例の概要 患者は60歳代半ばの女性。半年前よりパニック発作・疲労感・不眠が毎日出現。その後、辻褄の合わない発言(亡き娘に毎日会っている・退職済みの仕事に今日も行く等)が繰り返された。MoCA-J 26/30点と軽度認知機能低下を認め、加速的長期健忘を疑う所見があった。 自己免疫性辺縁系脳炎の診断基準 ※ 本邦ではFDG-PETが困難なため、脳血流SPECT(血流上昇所見)が有用な代替手段となります。また、髄液所見が正常でも自己免疫性辺縁系脳炎を除外してはなりません(髄液に異常が出る割合は約3割程度)。 LGI1-LEの臨床的特徴(頻度) LGI1-LEと抗NMDAR脳
6月14日読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤49~HIV 脳症(HIV 関連神経認知障害)
🦠HIV感染症🧠HIV脳症📋HAND📋HAD🔬認知機能障害💊HAART✅Treatable認知症⚠️うつ病との鑑別🔍皮質下認知症🖼️白質病変MRI🏥AIDS🩺神経梅毒除外 症例提示(CASE) 現病歴 患者背景 40歳代男性。飲食店勤務。受診4カ月前より特に誘因なく、だるい・やる気が出ない・集中力が続かない症状を自覚し欠勤が増加。前医でうつ病と診断され、SSRI(エスシタロプラム 20 mg)を処方されたが改善なく当院へ転医。 初診時現症 意識清明。発話流暢、失語・構音障害・四肢麻痺・失調・パーキンソニズムなし。礼節・整容は保たれていた。自覚的集中力低下・倦怠感を訴えた一方、自覚的気分の落ち込み・睡眠障害・食欲低下はなく、趣味活動への意欲も保持。返答に非常に時間を要したが、本人は意に介さない様子。 認知機能スクリーニング 診断のポイントと鑑別 MMSEおよびHDS-Rの結果より、認知機能低下に伴う症状と判断。自覚的な気分の落ち込みが目立たず、意欲低下も仕事に限定的であったため、うつ病の診断基準を満たさなかった。...
6月14日読了時間: 4分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤48~大脳アミロイドアンギオパチー関連炎症
🧠 CAA-RI🩸 大脳アミロイドアンギオパチー✅ Treatable認知症⚡ 急性脳症🎵 音楽性幻聴👂 聴覚性保続🔬 CMB 微小出血🔬 皮質表面ヘモジデリン沈着🖼️ FLAIR/DWI/SWI⚠️ TFNE amyloid spells💊 ステロイド大量療法📋 Boston基準 v2.0🔗 ARIA との類似🧬 APOe4 リスク因子 症例提示(CASE) 現病歴 患者背景 60歳代半ばの右利き男性。突然の頭痛と嘔気を自覚し、続いて左耳に綿を詰めたような閉塞感と左手のしびれ感を自覚した後、意識を失って倒れ、全身けいれんを発症。当院へ緊急入院。来院時けいれんは自然頓挫。入院数日後には意識も徐々に回復し、頭痛や嘔気もみられなかった。 初診時現症(神経学的) 脳神経(視野・聴力)正常。運動系・感覚系も正常。しかし以下の特異な症状を認めた: これらの症状は1回数分〜10分程度で繰り返し出現。 検査所見 血算・凝固系正常。生化学で筋逸脱酵素上昇・アンモニア高値。乳酸・ピルビン酸、内分泌・免疫・腫瘍マーカー、各種ウイルス抗原/抗体正
6月13日読了時間: 5分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤47~
「精神疾患」「更年期障害」と誤診された記憶障害— 自己免疫性脳炎(LGI1-LE)を見逃さないために この認知症は治療可能(Treatable)です — 早期診断が予後を決定します 亡くなった娘に毎日会っていると言い、15年前に退職した職場に今日も行かなければと繰り返す60歳代の女性。5カ所の病院で「更年期障害」「ヒステリー」と診断されていましたが、実際には自己免疫性辺縁系脳炎(LGI1抗体関連)でした。免疫療法により認知機能は正常域まで回復し、2年後まで再発なく経過しています。 症例の概要 患者は60歳代半ばの女性。半年前よりパニック発作・疲労感・不眠が毎日出現。その後、辻褄の合わない発言(亡き娘に毎日会っている・退職済みの仕事に今日も行く等)が繰り返された。MoCA-J 26/30点と軽度認知機能低下を認め、加速的長期健忘を疑う所見があった。 自己免疫性辺縁系脳炎の診断基準 ※ 本邦ではFDG-PETが困難なため、脳血流SPECT(血流上昇所見)が有用な代替手段となります。また、髄液所見が正常でも自己免疫性辺縁系脳炎を除外してはなりません(髄
6月12日読了時間: 1分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤46~認知症患者の余命と頻度の高い身体合併症肺炎・転倒・心血管疾患と向き合う在宅ケア
認知症の予後余命身体合併症生存期間誤嚥性肺炎転倒口腔ケアフレイルサルコペニアLewy小体型認知症前頭側頭葉変性症在宅医療訪問診療逗子市 認知症の存在は、それ自体で死亡率を大きく高めます。 特に肺炎が直接死因の第1位であり、これは一般人口と反対の傾向です。 在宅医療の現場では、認知症の疾患別予後・合併症のリスクを理解したうえで、 口腔ケア・誤嚥予防・転倒対策・身体リハビリテーションを 包括的に提供することが患者さんの生存期間と生活の質(QOL)の改善につながります。 認知症の死亡率 疾患別:発症から死亡までの生存期間 認知症の直接死因 なぜ認知症に肺炎が多いのか 口腔衛生の悪化:認知症による口腔ケア不足→口腔内微生物の増加 嚥下障害:認知症に出現しやすい誤嚥→誤嚥性肺炎リスク上昇 移動制限:自立歩行の困難・身体拘束→肺炎リスクをさらに高める 管理面の問題(口腔衛生・体位・栄養)が肺炎発症と密接 認知症に伴いやすい身体合併症 合併症 特徴・メカニズム 在宅での対策 誤嚥性肺炎(最多) 嚥下障害+口腔衛生悪化+移動制限 口腔ケア、食形態調整、嚥
6月11日読了時間: 2分


在宅酸素療法を科学する37~吸入療法COPD・喘息における吸入薬の分類・治療戦略と手技の重要性
喘息やCOPDにおいて、治療の中心は吸入薬である。吸入薬は気管支拡張作用や抗炎症作用を持つ薬剤を局所的に投与できるため、全身性の有害事象を軽減でき安全性が高い。一方で、患者の吸入手技による効果の不安定さには十分注意を払うべきであり、40年間にわたって不適切な吸入手技がはびこっていることが明らかとなっている。 吸入薬の剤形と特徴 剤形 特徴 長所 短所 pMDI 定量噴霧式吸入器 粒子は液体・粒子径は小さめ。加圧式ガスにより定量噴霧。溶液タイプと懸濁液タイプがある 携帯可。緊急時に向く。デバイスはほぼ同じ 噴霧との同調が必要。スペーサー使用を推奨 DPI ドライパウダー吸入器 粒子は粉末・粒子径は大きめ。粉末を自らの呼気により吸い込む。薬剤内蔵タイプと薬剤装填タイプがある 携帯可。同調不要 必要吸気力が存在。デバイスが様々 ネブライザー 粒子は液体。粒子径は種類により異なる。薬液を霧状にし自然呼吸により吸入。ジェット式・超音波式・メッシュ式がある 急性期治療に向く。同調不要 装置が必要。時間がかかる。電力が必要。騒音・振動 吸入薬の薬効分類 喘息治
6月11日読了時間: 3分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤45~「ビタミンB₁欠乏」とWernicke脳症過少診断を防ぎ、命と記憶を救う
ビタミンB₁欠乏Wernicke脳症Korsakoff症候群Treatable認知症アルコール依存症眼球運動障害失調記憶障害医原性高カロリー輸液チアミンサイアミン在宅医療訪問診療逗子市 「立てなくなった」「目の動きがおかしい」「同じことを何度も質問する」―― アルコール依存や栄養不足のある患者さんにこうした症状が現れたとき、 ビタミンB₁欠乏によるWernicke脳症を真っ先に疑ってください。 この疾患は死亡前に診断されるのはわずか約15%という過少診断の代表例であり、 治療の遅れが命と記憶に重大な後遺症をもたらします。 Wernicke脳症とは Wernicke脳症はビタミンB₁(チアミン)欠乏によって引き起こされる急性〜亜急性の神経症候群です。 ビタミンB₁は糖代謝に関わる補酵素として機能し、 欠乏するとクエン酸回路とペントースリン酸回路での障害が生じ、 血管性浮腫と細胞毒性浮腫による脳障害が発生します。 Wernicke脳症の「3徴候」 ビタミンB₁欠乏を起こす背景 診断のポイント EFNSガイドライン(2010年)の診断基準...
6月10日読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤44~「進行性多巣性白質脳症(PML)」とは?免疫抑制患者の亜急性認知症を見逃さない
進行性多巣性白質脳症PMLJCウイルスTreatable認知症免疫抑制ナタリズマブフィンゴリモドIRIS亜急性脳症高次脳機能障害PCR検査超高感度PCR在宅医療訪問診療逗子市 「漢字が書けなくなった」「道に迷うようになった」「計算が面倒になった」―― こうした亜急性の認知機能低下の背景に、 進行性多巣性白質脳症(PML)が隠れている場合があります。 PMLは免疫抑制を背景にJCウイルスが再活性化して発症する希少感染症ですが、 免疫抑制薬・生物学的製剤を使用する患者が増加した現代、 在宅医療の現場でも知っておくべき重要疾患です。 PMLとは―JCウイルスによる脱髄疾患 PMLは免疫不全を背景にJCウイルス(JCV)が再活性化し、 オリゴデンドロサイト(髄鞘を形成する細胞)に感染して 中枢神経において多発性脱髄病変を引き起こす希少感染症です。 病変部位に応じて多様な神経巣症状を引き起こしますが、 特に認知機能障害・運動障害・発話障害の頻度が高く、 これらが亜急性に進行し、自然経過では失外套症候群へ至ります。 PMLを疑うべきリスク因子 PMLの主
6月9日読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤43~「多発性硬化症(MS)」と認知機能低下行動異常・カタトニアの背景に潜む神経免疫疾患
「最近、仕事を無断欠勤するようになった」「理由もなく車の査定を依頼した」―― こうした急性の行動異常・脱抑制・カタトニアの背景に、 多発性硬化症(MS)の再発が隠れていることがあります。 MSは再発を繰り返しながら認知機能低下が進行するTreatable(治療可能)な神経免疫疾患で、 適切な疾患修飾薬(DMD)の選択と早期治療介入が予後を左右します。 多発性硬化症(MS)とは MSは中枢神経系(脳・脊髄・視神経)の脱髄と炎症を繰り返す自己免疫疾患です。 進行形式により3型に分類されますが、いずれも経過とともに緩徐に認知機能低下が進行します。 MSの認知機能障害 MSでよくみられる認知機能障害は、 アルツハイマー病とは異なるパターンを示します。 MSの鑑別診断 空間的・時間的多発性を示す疾患はMS以外にも存在します。 特に以下の神経免疫疾患は治療が異なるため、厳密な鑑別が重要です。 MSの治療(疾患修飾薬:DMD) 薬剤 分類 特徴・注意点 インターフェロンβ 第一世代DMD 再発回数・MRI病変を軽減。本症例ではインターフェロンβで疾患活動性
6月8日読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤42~「髄膜腫」を年のせいにしない治療で認知機能が回復できる脳腫瘍
「最近、左手足が弱くなってきた」「忘れっぽくなった」―― こうした変化を「年のせい」「老化」と見過ごしていませんか? 背景に髄膜腫(Meningioma)が潜んでいる場合があります。 髄膜腫は原発性脳腫瘍の約30〜40%を占める最多の脳腫瘍で、 多くは外科的摘出で認知機能の回復が期待できる「治療できる脳腫瘍」です。 髄膜腫とは 髄膜腫は硬膜(脳を覆う膜)から発生する腫瘍で、 主に頭蓋底・大脳鎌・円蓋部・硬膜反転部に好発します。 認知機能障害の程度は腫瘍の局在・大きさ・周囲の脳浮腫の程度によって異なります。 特に前頭葉・側頭葉の髄膜腫は他の部位と比較して認知機能への影響が大きいとされています。 症状は徐々に進行することが多く、 「年のせい」として放置されやすいことが髄膜腫の最大の落とし穴です。 WHO分類によるグレーディング 髄膜腫の主な症状(局在による違い) 髄膜腫による認知機能障害は、記憶・注意・遂行機能の障害が多くみられます。 前頭葉・側頭葉の髄膜腫は認知機能への影響が特に大きいです。 髄膜腫のMRI特徴的所見 術後の認知機能回復アウトカ
6月7日読了時間: 2分
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