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逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

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認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤40~「正常圧水頭症(NPH)」とは?歩行・排尿・認知の三徴候を見逃さない
「最近、歩くのが遅くなった」「おもらしが増えた」「ぼーっとしている時間が多い」―― こうした3つの症状が重なったとき、正常圧水頭症(NPH)を疑ってください。 シャント手術で症状が改善する「治療できる認知症」の代表的疾患であり、 早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。 正常圧水頭症(NPH)とは NPHは、脳脊髄液の過剰な貯留により脳室が拡大し、 歩行障害・認知機能障害・排尿障害の三徴候を呈する疾患です。 「正常圧」とあるように、髄液圧は正常範囲内(通常は12 cmH₂O以下)であることが特徴です。 原因が特定されない特発性NPH(iNPH)は60歳以上の高齢者に多く、 くも膜下出血・髄膜炎・頭部外傷などが原因となる二次性NPHもあります。 iNPHはシャント造設術(髄液を腹腔や心房に排出する手術)により症状の改善が期待でき、 「Treatable(治療可能)な認知症」の代表として重要です。 三徴候の特徴 iNPHの認知機能障害の特徴 ―アルツハイマー病との違い 項目 iNPH アルツハイマー病 精神運動速度の低下 目立つ(早期から)
21 時間前読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤39~慢性硬膜下血腫(CSDH)」とは?治療で回復できる認知機能低下を見逃さない
「最近、言葉が出にくい」「ぼーっとしている」「急に歩き方がおかしくなった」―― こうした変化を"認知症のはじまり"と見過ごしてしまうことがあります。 しかし、原因が慢性硬膜下血腫(CSDH)であれば、 適切な治療で症状が劇的に改善する「Treatable(治療可能)な認知症」です。 在宅医療の現場でも必ず念頭に置くべき重要疾患を解説します。 慢性硬膜下血腫(CSDH)とは CSDHは、頭部への外傷から数週間〜数カ月後に 硬膜(脳を覆う膜)の内側に血液がゆっくりと貯留する疾患です。 多くは軽微な頭部外傷がきっかけですが、本人が転倒に気づいていない場合や、 外傷歴がはっきりしないケースも少なくありません。 血腫が大きくなるにつれて脳が圧迫され、認知機能低下・歩行障害・片麻痺・頭痛などを呈します。 しかし手術(穿頭ドレナージ)で血腫を除去すると、劇的に症状が改善することも多く、 「治療できる認知症」として重要です。 疫学・リスク因子 CSDHは特に高齢者に多く、人口の高齢化とともに増加しています。 主な症状と認知機能への影響 CSDHにおける認知機
2 日前読了時間: 3分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤37~「隠れ脳梗塞」と言われていたのに認知症が進行 — HDLS/ALSPという成人発症白質脳症を知る
隠れ脳梗塞」と言われていたのに認知症が進行— HDLS/ALSPという成人発症白質脳症を知る さくら在宅クリニック(逗子市)神奈川県逗子市 5年前の脳ドックで「深部白質に隠れ脳梗塞あり」と言われ、その後じわじわと言葉が出なくなり、仕事を辞めざるを得なくなった40歳代の女性。その背景に「HDLS/ALSP」という、ミクログリアの機能異常が本質的な病態である遺伝性白質脳症が潜んでいました。 症例の概要 患者は40歳代半ばの女性。5年前の脳ドックで深部白質に「隠れ脳梗塞」を指摘。2年前から喚語困難・精神運動速度遅延が進行し、最近退職。アパシー(ぼーっとテレビを観る時間が増加)も目立っていた。 HDLS/ALSPとはどんな病気か HDLS(hereditary diffuse leukoencephalopathy with axonal spheroids)またはALSP(adult-onset leukoencephalopathy with axonal spheroids and pigmented glia)は、CSF1R遺伝子のヘテロ接合性変
4 日前読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤35~静的脳症」の子が成人で急速に悪化したら— NBIA・SENDAという希少難病を知る
在宅医療さくら在宅クリニック逗子市NBIASENDA脳内鉄沈着神経変性症WDR45遺伝子若年性認知症二相性神経変性希少難病 「静的脳症」の子が成人で急速に悪化したら— NBIA・SENDAという希少難病を知る 子どもの頃からてんかんと知的障害があり、「非進行性の発達障害」として経過していた女性が、30歳代から急速にパーキンソニズム・認知機能低下が進行。この「二相性経過」が希少難病「SENDA(NBIAの一亜型)」の典型的な姿でした。MRIの特徴的な所見と遺伝子解析が診断の決め手となりました。 症例の概要 患者は来院時40歳代前半の女性。1歳7か月時にてんかん発作で受診し抗てんかん薬を開始。3歳時に簡単な意思疎通は可能だったが2語文以上は困難で、養護学校→授産所と経過。30歳から易怒性・場所の見当識障害が出現し、35歳で発語減少・動作緩慢、40歳前から歩行全介助となり来院。 SENDAに特徴的な「二相性経過」 NBIAの主要病型と画像所見の比較 疾患名 責任遺伝子 発症時期 特徴的なMRI所見 その他の特徴 PKAN(NBIA1) PANK2
6 日前読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤34~舞踏運動+小脳失調+認知症が重なったら— 日本に多い遺伝性難病「DRPLA」を知る
在宅医療さくら在宅クリニック逗子市DRPLA歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症若年性認知症小脳失調舞踏運動遺伝性神経疾患指定難病 舞踏運動+小脳失調+認知症が重なったら— 日本に多い遺伝性難病「DRPLA」を知る 症例の概要 患者は60歳代の女性。40歳代初めに「あとをつけられる」妄想が出現し職場退職。40歳代半ばに歩行困難・不随意運動・構音障害が加わり、受診時には舞踏運動・小脳失調・失見当識・認知症(MMSE 13/30)が明らかでした。 DRPLAとはどんな病気か DRPLAはATN1(Atrophin-1)遺伝子のCAGリピートの異常伸長によって発症する常染色体顕性遺伝の小脳性運動失調症です。歯状核・赤核・淡蒼球・ルイ体(視床下核)が主に変性します。日本の有病率は10万人中0.48人と推定されており、欧米より日本人に多い疾患です。 指定難病(脊髄小脳変性症)として医療費助成の対象 発症年齢による3つの病型 MRI画像所見の特徴 認知機能障害の特徴 DRPLAの認知機能低下は進行性で、疾患末期には高度の認知症を呈します。失語・失行・失認などの大脳皮
7 日前読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤32~若くして秃頭・腰痛・認知症が重なったら— CADASILの"劣性版"、CADASILを疑う
症例の概要 患者は30歳代前半の男性。10歳代半ばから急性腰痛が出現し、同時期にびまん性秃頭が始まりました。21歳時に腰痛が急性増悪し、L4硬膜内腫瘤切除術(神経鞘腫疑い)を受けました。20歳代半ばに歩容異常・構音障害・四肢腱反射亢進が出現。30歳代初めにめまいや脱力などの脳卒中発作を繰り返し、大学病院神経内科に転医しました。 両親はいとこ婚。父に秃頭、母は60歳代後半で死亡(脳卒中)、3歳上の兄も同様の病状でした。血圧正常、糖尿病・脂質異常の既往なし。 CADASILとはどんな病気か CADASILは「皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体劣性遺伝性脳動脈症」の略称です。CADASILの"劣性版"にあたり、責任遺伝子はHTRA1(10q25)です。HTRA1はセリンプロテアーゼの一種で、TGF-βシグナルの制御に関与しており、この変異により脳の細動脈に内膜肥厚などの血管病変が生じます。 本疾患概念は日本の臨床–遺伝学的研究によって世界に先駆けて確立されました。近親婚の家族歴、若年性秃頭・腰痛・脊椎疾患の組み合わせが診断の重要な手がかりとなります。
5月27日読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤31~若年性認知症の陰に潜む遺伝性血管病— CADASILを知っていますか?
在宅医療さくら在宅クリニック逗子市CADASIL若年性認知症脳血管疾患遺伝性疾患 40代で認知機能が低下し、仕事が続けられなくなる——。その背景に「CADASIL(カダシル)」という遺伝性脳血管疾患が隠れていることがあります。本記事では実際の症例をもとに、この希少疾患の特徴と在宅医療における関わり方を解説します。 症例の概要 患者は40歳代後半の女性。中学生の頃から前兆のない頭痛があり、X+12歳時にめまい・嘔吐でMRI検査を受けた際、橋梗塞および無症候性多発脳梗塞を指摘されました。その後、計算ができない、通帳や保険証の場所がわからないなどの日常生活障害が進行し、夫に付き添われて受診。 CADASILとはどんな病気か CADASILは「皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体顕性遺伝性脳動脈症」の略称です。Notch3遺伝子の変異が原因で、血管壁の平滑筋が変性し、脳の細い血管に慢性的な障害をきたします。 CADASILの認知症は「皮質下性認知症」が特徴です。初期には処理速度の低下・注意障害が目立ち、進行すると遂行機能障害が現れます。記憶は比較的保たれる
5月26日読了時間: 2分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤29~神経核内封入体病(NIID)— 診断・画像所見・皮膚生検・遺伝子検索 —
CASE / 臨床症例 現病歴 70歳代の右利き、大学卒の男性。50歳代後半に他院の脳神経外科にて脳腫瘍摘出術(右小脳橋角部髄膜腫)を受け、以後同院でフォローされていた。7年程前より認知機能低下が疑われ、4年程前から歩行が緩徐になり、同じ話を繰り返すようになった。1人で外出して道に迷うこともあった。2年前より金銭管理を妻が行うようになり、1年前より易怒性がみられるようになった。前医からの頭部MRIでは拡散強調画像(DWI)で大脳白質のびまん性高信号を認めていた。 既往歴・生活歴 脳腫瘍摘出術(右小脳橋角部髄膜腫)・糖尿病・前立腺肥大症。喫煙20本/日を40年(脳腫瘍摘出後に禁煙)。飲酒ビール2本/日を40年。家族歴に特記事項なし。 初診時現症 意識清明、発話に異常なし。脳神経領域に異常なし。運動系では広基性歩行・体幹の動揺を認め、方向転換は拙劣だが動作緩慢はなし。手指の構成障害なし。 診断のポイントと鑑別 緩徐進行性の認知症に広基性の歩行障害を伴っていることから、鑑別疾患は多岐にわたる。特に大脳白質のびまん性DWI信号変化が鍵となる情報である。
5月24日読了時間: 3分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤28~Creutzfeldt-Jakob 病(CJD)— 診断・検査・プリオン病の全体像 —
CASE / 臨床症例 現病歴 70歳代前半の右利き女性。精神科受診歴はなく、定年まで調理師として勤務。定年後は書道教室に通うなど趣味を謳歌していた。海外渡航歴はなし。3カ月前から不眠・抑うつ気分を訴え始め以後悪化。1カ月前になると「喉から食道までつながっていない、夜寝ていて内臓があっちこっちにいってなくなっちゃった」などと言うようになり(内臓否定妄想:Cotard症候群的訴え)、近医を受診しLewy小体型認知症が疑われた。 3週間前には転倒を繰り返し言葉が出づらくなり、「立体的に見えない、平面に見える」などと言い音に敏感になった。2週間前には不随意運動が出現し、幻視・精神症状のため精神科単科病院へ入院。抗精神病薬などで加療するも不随意運動は悪化し無言無動状態となったため、精査のために総合病院へ紹介された。 初診時現症 追視はあるものの意味のある発語はなし。口部・頸部・体幹・四肢にミオクローヌスを認め、腱反射は亢進し、病的反射・驚愕反応を認めた。 診断のポイントと鑑別 病初期は、抑うつ症状・内臓の存在を否定するといった否定妄想の訴えから、神経
5月23日読了時間: 4分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤27~Logopenic 型進行性失語— 症状・診断・経過・マネージメント —
CASE / 臨床症例 現病歴 50歳代後半の女性。家族歴や既往歴に特記すべきことはなかった。初期症状は言いたい単語が出なくなるというもので、徐々に喚語困難が悪化。一方で、記憶障害・視空間認知障害・行動面の問題は認めず、幻覚や妄想などの精神症状も認めなかった。主婦としての家事は普通にこなし、対人交流も良好に保たれ、自宅から歩いて15分ほどの友人宅でお茶会を楽しんでいたが、十分な会話を楽しむことはできなかった。 初診時現症(発症2年後) 歩行には問題なく、パーキンソニズムを含めて神経所見に目立った異常を認めなかった。診察中も礼節を保ち、判断力は保たれていた。喚語困難がしばしば認められたが、発話自体は流暢で速度も遅くなく、長さも文レベルで正常であった。理解面では明らかな問題を認めなかった。失語に対する病識は概ね認められた。 MMSE では失語のために 18/30 点と低かった(減点は見当識6点・計算4点・3単語即時再生1点・文の復唱1点)。「桜、猫、電車」の3単語即時再生では「桜、猫」までしか復唱できず、電車を「だんしゃ」などと音の一部を誤った音に置
5月22日読了時間: 5分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤26~Psychiatric-onset dementia with Lewy bodies(DLB):BPSDについて精神病性うつ病として発症しECTで加療されたpsychiatric-onset DLBの症例と、認知症の行動・心理症状(BPSD)の包括的理解
Psychiatric-onset DLBレビー小体型認知症DLBProdromal DLB精神病性うつ病罪業妄想緊張病症候群修正型電気けいれん療法ECTMIBG心筋シンチCapgras症候群Fregoli錯覚妄想性誤認症候群BPSD認知症行動・心理症状身体拘束在宅医療認知症 CASE 現病歴 70歳代前半の女性。中学校卒業後に就職、20歳代後半で結婚し挙児は3人。専業主婦を経てパートで働いていた。70歳代に入ってからは、家庭菜園で野菜作りをして近所に配るなど、社交的だった。精神科受診歴はなく、家族いわく心身ともに健康で明るい性格だったという。家事全般をこなし、銀行や役所の手続なども問題なく行えていた。 受診1年前・6月〜 足の痛みが悪化し、抑うつ気分・不眠・不安を訴えるようになった。近医精神科を受診し、うつ病の診断となった。10月に整形外科病院に入院し腰椎椎弓切除術を行ったが、退院後も抑うつ気分は増悪し、そわそわと一日中自宅の中を歩き回るようになった。「自分はとりかえしのつかないことをしてしまった、ご飯を食べる資格がない」と言って、食事
5月21日読了時間: 5分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤25~Delirium-onset dementia with Lewy bodies(DLB)せん妄を前駆症状とするレビー小体型認知症
レビー小体型認知症DLBDelirium-onset DLBProdromal DLBせん妄幻視パーキンソニズムドパミントランスポーターMIBG心筋シンチドネペジルベンゾジアゼピンMCI-LBMMSETUGパレイドリアテスト在宅医療認知症訪問介護 CASE 現病歴 初診時に60歳代後半であった右利きの独居男性。以下の経過を経て、独居生活の継続が困難となったため、長女に付き添われて受診した。 1年前:ワクチン接種直後 新型コロナウイルスのワクチンを接種した直後から、状況にそぐわない意味不明な発言をするようになった。近所に住む長女が暫く付き添って経過をみていたところ、徐々に意思疎通の問題がなくなったが、ワクチンの接種前と比較して動作が緩慢になり、もの忘れが多くなったため、マンションの管理人を退職した。夜間を中心に見当識が若干悪くなることもあった。 半年前:ベンゾ中止→再出現 かかりつけの精神科で前述のエピソードを相談したところ、ロフラゼプ酸エチルの内服が中止された。しかしながら、その直後から意思疎通が再び困難となり、絨毯や壁の模様がもぞもぞ動く
5月20日読了時間: 6分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤24~Atypical corticobasal syndrome(CBS)後部皮質症状から始まるCBSの鑑別と経過観察
大脳皮質基底核症候群CBSCBDAtypical CBS後部皮質萎縮症PCABálint症候群同時失認半側空間無視PSP4リピートタウオパチーCSFバイオマーカーWMS-RFABMMSE脳血流シンチグラフィードパミントランスポーター在宅医療認知症 CASE 現病歴 60歳代の右利き、教育歴9年の女性。2年前よりめまい感を自覚するようになった。めまい感があっても歩行や日常生活は可能であり、耳鼻科や眼科・内科を複数受診したが、いずれも当該科での検査では異常は認められず、原因が不明であった。冷蔵庫の中などの目的の物を探すのが苦手になった。1年前に、自動車運転中に右へのカーブで左にはみ出した脱輪事故を起こした。近医より当科へ紹介されて受診した。 既往歴・家族歴 66歳より高血圧症。姉に認知症があるとされるが詳細は不明。 初診時現症 意識は清明、言語は正常。視野および眼球運動の障害・眼振は認めなかった。主観的なめまい感は常に訴えがあったが、客観的な診察所見では捉えることは困難であった。眼球運動の検査で指標を追うことができるが、1つの方向で注
5月19日読了時間: 6分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤23~Atypical progressive supranuclear palsy(PSP)前頭葉症状が前景に立つPSP-Fの症例bvFTDとの鑑別と、PSP臨床亜型のMAXルールによる診断の実践
進行性核上性麻痺PSPPSP-FAtypical PSPbvFTD前頭側頭型認知症4リピートタウオパチーCBD眼球運動障害垂直性核上性麻痺パーキンソニズム姿勢保持障害NPI脳血流シンチグラフィードパミントランスポーターMAXルール在宅医療認知症 CASE 現病歴 60歳代後半の右利きの男性。6年前から怒りっぽくなった。また、思い返してみると同時期から歩行がわずかに遅くなってはいた。2年前からは細かな作業が苦手になり、稀に転倒するようになった。妻の話では、1年前頃から運転中に信号を無視することが増え、以前は好きではなかった甘いものを食べるようになったとのことだった。 初診時現症 診察中に何度も席を立ち診察室を歩き回っていた。上方視制限に加えて、垂直方向の衝動性眼球運動の緩徐化を認めた。強く閉眼させた後に開眼を促すと眼瞼攣縮が続いてしまい時間がかかった。指タップや手の開閉などの連続運動を行わせると左上肢優位に動きの遅さ・拙劣さが目立った。頸部・体幹に強い筋強剛を認めた。すり足歩行で継ぎ足歩行は4歩まで可能だった。軽度の姿勢保持障害を認めp
5月18日読了時間: 5分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤22~慢性外傷性脳症(CTE) Chronic traumatic encephalopathy 反復性軽度頭部外傷から生じる神経変性疾患 — タウ病変と臨床診断(TES)のポイント
慢性外傷性脳症CTE外傷性脳症症候群TES反復性頭部外傷脳震盪タウ蓄積タウPETアミロイドPETコンタクトスポーツボクサー脳症若年性認知症気分障害遂行機能障害MMSE若年性認知症在宅医療認知症 CASE 現病歴 60歳代の男性。職業は映像制作および大学教授。以下に示すような症状の経過を経て、難治性の抑うつおよび認知機能障害の器質性疾患の精査のために、X年に高次脳機能障害外来を受診した。 X-6年〜 めまい、耳鳴り、ふらつき、難聴、頭痛を自覚。多数の医療機関を転々と受診したが、頭部MRI・脳血流SPECT・脳波検査などで異常はみられず、原因は不明のまま。 X-4年〜 抑うつ症状が出現し、希死念慮も出現。抑うつ症状が持続し、職務をこなすことが次第に困難となった。 X-2年〜 気分の高揚が出現し、選挙に立候補するなどの過活動が一過性にみられた。易怒性の亢進・感情コントロールの困難・同僚を糾弾するなどの行動・対人関係トラブルが頻発。記憶力の低下・集中困難を自覚。 X-1年〜 姿勢時振戦・歩行困難・構音障害なども呈するようになった。複数の医療機関で
5月17日読了時間: 5分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤21~Strategic single infarct dementia(尾状核)前頭葉症状を前景とした尾状核梗塞による認知機能障害の症例
尾状核梗塞血管性認知症Strategic infarct無為遂行機能障害注意障害前頭葉機能障害大脳基底核前頭葉-皮質下回路MMSEFABRBMTCAT-RBADSHeubner反回動脈レンズ核線条体動脈脳血流シンチグラフィー在宅医療認知症 CASE 現病歴 70歳代後半、右利きの女性。生来穏やかな性格であったが、受診10日前に法要で外出した際に、目的地がわからなくなり、駅員とトラブルになることがあった。その日を境に、水道や火の止め忘れなどのもの忘れが目立つようになり、7年前に亡くなった夫が家に帰ってこないという訴えもみられるようになった。飲食店を営んでいるが、休日に店を開けようとしたり、メニューを取り間違えたりするなどの問題が続くため、家族に付き添われて受診した。人が変わってしまったようにやる気や意欲がなくなり、趣味の絵画教室にも通わなくなってしまったという。 家族歴・既往歴 特記すべきことなし。 初診時現症 発症から10日後の初診時、血圧は162/78 mmHgと高値であった。頸部・腹部の血管雑音や脈拍の不整は確認できなかった。礼節は保た
5月16日読了時間: 5分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤20~TGAとの鑑別が重要な脳弓梗塞による健忘症候群の症例
脳弓梗塞血管性認知症Strategic infarct健忘症候群前向性健忘逆向性健忘一過性全健忘TGA脳梁下動脈subcallosal arteryPapez回路WMS-RMMSEFABMRI拡散強調像海馬在宅医療認知症 CASE 現病歴 60歳代前半の右利き男性。いつも通り仕事(電気工事設計事務所)に行き、夕方に退社したが、その後の足取りがつかめなくなった。翌朝5時に帰宅し、落ち着きがなく食事を40分くらいかけて食べていた。家人が「どこに行っていたか?」と質問したが、「自分は何をしていたかわからない」と答えた。所定の駐車場に車がないため、近所を探すと車があり、ぶつけた後があったが、「知らない、駐車場の場所もわからない」と言い、落ち着きのない様子が続いたため、家人が心配し、当院を受診した。初療医の判断で入院となった。 家族歴・既往歴 高血圧・糖尿病のため、アムロジピン2.5 mg、グリメピリド2 mgを内服中(HbA1c 6.8%)。4年前に心筋梗塞で、心血管ステントを留置して以降、アスピリン100 mgとクロピドグレル75...
5月15日読了時間: 5分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤19~trategic single infarct dementia(視床)単一梗塞による血管性認知症の典型例から学ぶ視床の機能解剖と認知機能障害
視床梗塞血管性認知症Strategic infarct単一病変喚語困難語性錯語記憶障害Papez回路視床前腹側核乳頭体視床路WMS-RMMSE内髄板視床灰白隆起動脈塞栓症在宅医療認知症訪問診療 CASE 現病歴 初診時に80歳代前半の右利きの女性。後述の入院までは自立した生活を送っていた。2カ月前に入院し、経カテーテル大動脈弁留置術による大動脈弁狭窄症の治療を受けたが、術直後から高度徐脈が出現したため、その翌日にペースメーカー埋め込み術が施行された。1カ月半前に退院したが、近くに住んでいる姪が訪れたところ、言葉が出にくくなり、聞いたことや話したことをすぐに忘れてしまうことに気づき、また内服薬の管理が難しくなっていたため、姪に付き添われて受診した。 家族歴・既往歴 家族歴には特記すべき事項はない。75歳時に狭心症を発症し、冠動脈ステントが留置された。同時期に大動脈弁狭窄症と診断された。 初診時現症 意識は清明であり、頭痛や髄膜刺激徴候は認められなかった。神経学的診察では明らかな異常が認められなかった。診察中礼節は保たれ、穏やかで協力的だった。.
5月14日読了時間: 5分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤18~家族性アルツハイマー病(ADAD)とアミロイドPETの落とし穴—— 遺伝性ADの特徴と最新の画像診断を解説
本記事は2つのテーマを扱います。①家族性アルツハイマー病(ADAD)——遺伝子変異による超若年発症の認知症の特徴と支援。②アミロイドPET診断の落とし穴——2023年からレカネマブが承認され普及が進むアミロイドPETで、気をつけなければならない非典型的な判断の誤りについて解説します。 家族性ADとは——ADの遺伝形式 アルツハイマー病(AD)の多くは「孤発性」ですが、APP・PSEN1・PSEN2の3つの原因遺伝子の変異による遺伝性ADが存在します。これらはいずれもアミロイドβ(Aβ)産生に関わる遺伝子であり、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式をとります。「家族歴のあるAD」との混同を避けるため、ADAD(Autosomal Dominantly Inherited Alzheimer's Disease:常染色体顕性遺伝性AD)と表記されることが多いです。 これら3つの遺伝子変異による家族性ADは、ADのアミロイド仮説を支持する最も重要な根拠のひとつとなっています。また、リスク遺伝子として知られるAPOE遺伝子のε4アレルを有するとADADでも発
5月13日読了時間: 3分


認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤17~若年発症のアルツハイマー病(Juvenile AD)とは? 「もの忘れだけじゃない」——50代で発症するADの特徴と支援
若年発症のアルツハイマー病(Juvenile AD)とは?「もの忘れだけじゃない」——50代で発症するADの特徴と支援 「予定を忘れる、料理ができなくなった、職場でミスが増えた」——65歳未満で発症するアルツハイマー病は、記憶障害だけでなく視空間認知・注意・遂行機能の障害が早期から目立つという特徴があります。働き盛りの世代に起こる若年性ADについて解説します。 # 在宅医療# さくら在宅クリニック# 逗子市# 若年性認知症# 若年発症AD# Juvenile AD# アルツハイマー病# 認知症# 就労支援# 社会復帰# 非典型認知症 若年性認知症とは——日本の現状 若年性認知症は65歳未満で発症した認知症と定義されます。2020年の日本の集団研究報告によると、18〜64歳人口における認知症者推計数は人口10万人あたり50人ほどで、全国の推計数は3.5万人を超えます。背景疾患としては、ADが最も多く(52.6%)、脳血管性認知症や前頭側頭型認知症などが続きます。 老年発症ADと若年発症ADの違い——「記憶だけじゃない」 老年発症のAD(LOAD)の
5月12日読了時間: 3分
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