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攻めの栄養療法を科学する42~リハビリテーション栄養における栄養剤の考え方と使い分け
2019年9月時点で入手可能な栄養剤の例をもとに、 リハビリテーション(リハ)と栄養管理をどのように組み合わせるか を整理します。 ① 総合栄養素補給型の栄養剤 ― まずは「足りていない栄養」を満たす ― 栄養摂取量が不足している場合、 最優先すべきは摂取栄養量の確保 です。単にエネルギーだけでなく、 たんぱく質 ビタミン ミネラル を 包括的に補給できる栄養剤 を選択することが重要です。 このタイプの栄養剤は、以下のような状況で特に推奨されます。 低栄養患者 サルコペニア患者 リハの時間や負荷が増加している場合 食事だけで必要量を満たせない場合には、 不足分を栄養剤で補う という考え方が基本になります。 ② BCAA・ビタミンD強化型栄養剤 ― リハ効果を高める「攻めの栄養」 ― リハの効果を高める目的で、**分岐鎖アミノ酸(BCAA)**の補給が行われます。特に、 BCAA なかでも ロイシン は、 効率的な筋たんぱく合成を促進する ことが知られています。 また、 ビタミンD欠乏 に対しては、👉 1日10~20μgのビタミンD補給 により、
12 分前読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する41~リハビリテーションと栄養管理は「セット」で考える
リハビリテーション(以下、リハ)を行っている患者さんでは、 低栄養状態が少なくない ことが知られています。そして低栄養の患者さんでは、 ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の向上が得られにくい という課題があります。 そのため、ADLの改善を目指すには、 リハだけでなく栄養管理を同時に行うことが不可欠 です。 さらに、リハの効果を最大限に高め、**筋肉量や筋力を増やすためには「運動と栄養のタイミング」**が非常に重要です。 食事だけでは足りない? リハ中の栄養不足 実際、リハを行っている患者さんでは、 食欲低下 嚥下機能低下 疲労による摂取量減少 などにより、 食事だけでは必要なエネルギーやたんぱく質が十分に摂取できない ことがよくあります。 このようなケースでは、 目的に応じた栄養剤を活用した栄養補給 が、リハ効果を高める有効な手段になります。 リハ栄養用の栄養剤を使う3つの適応 🔹 ① 低栄養・サルコペニアの改善 低栄養の原因の一つは、 エネルギー・たんぱく質の摂取不足 です。Morley らは、サル
1 日前読了時間: 2分


攻めの栄養療法を科学する40~過栄養時の栄養管理
― 「減らすだけ」では解決しない ― 過栄養 とは、主に エネルギー摂取過剰 や 活動量不足 により脂肪が過剰に蓄積し、健康障害の発症リスクが高まった状態を指します。 特に注意が必要なのが サルコペニア肥満 です。単なる肥満と比べて、 ADL低下 転倒・骨折 生命予後の悪化 を来しやすく、 「体重を減らせばよい」という単純な問題ではありません。 ① エネルギー摂取過剰に対するアプローチ 体重減量を目的とする場合も、 理論的なエネルギー設計 が必要です。 体重1kg減量に必要なエネルギー量を 約7,000kcal として、以下の式で 1日あたりのエネルギー削減量 を算出します。 7,000(kcal)× 体重減量目標(kg) ÷ 目標達成までの日数(日) 具体例 2か月で5kgの減量 を目指す場合 7,000 × 5 ÷ 60→ 約580kcal/日 この 580kcal/日 を算出したTEEから差し引き、栄養量を設定します。 たんぱく質不足に注意する エネルギー削減だけに注目すると、 たんぱく質量が不足しやすくなる 点に注意が必要です。 筋
2 日前読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する39~低栄養のタイプ別に考える栄養管理
― 「すべて同じ栄養介入」は危険である ― 低栄養と一言で言っても、 背景となる病態はさまざま です。原因を見誤ると、適切な栄養管理どころか、 かえって状態を悪化させる こともあります。 ここでは、臨床で重要となる 4つの低栄養タイプ別に、栄養管理の考え方 を整理します。 ① 慢性疾患で炎症を伴う低栄養(悪液質) 悪液質(cachexia)は、以下の3つのステージに分類されます。 前悪液質 悪液質 不応性悪液質 前悪液質で介入することが重要 不応性悪液質に進行すると、栄養不良は不可逆的 となります。そのため、 前悪液質の段階で栄養サポートを開始し、悪化を可能な限り遅らせること が重要です。 ただし、悪液質は 栄養療法単独では改善が困難 な病態であり、 疾患治療 炎症コントロール リハビリ 症状緩和 など、 多方面からの介入 が必要です。 不応性悪液質では「ギアチェンジ」が必要 不応性悪液質に至った場合、それまでと同じ発想で栄養管理を続けることは適切ではありません。 ギアチェンジを行わずに栄養投与を続けると、生体の代謝能力を超えた負荷となり、かえっ
4 日前読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する38~必要たんぱく質量の考え方
― 攻めの栄養療法を支える“もう一つの柱” ― エネルギー量と並んで重要なのが、 たんぱく質投与量の設定 です。たんぱく質は、筋肉量の維持・増加、免疫機能、創傷治癒などに直結するため、 「足りていればよい」では不十分 な栄養素です。 高齢者における必要たんぱく質量の目安 日本人の食事摂取基準(2020年版) 日本人の食事摂取基準(2020年版)では、 フレイル・サルコペニア予防 を目的とした場合、 高齢者(65歳以上)では少なくとも 1.0 g/kg(現体重)/日以上 のたんぱく質摂取が望ましいとされています。 PROT-AGE研究グループの提言 PROT-AGE研究グループのポジションペーパーでは、活動量や病態に応じて、より高い摂取量が推奨されています。 活動量の多い高齢者 → 1.2 g/kg(現体重)/日以上 著しい低栄養状態の高齢者 → 最大 2.0 g/kg(現体重)/日以上 が必要となる場合もあります。 攻めの栄養療法におけるたんぱく質量 整理すると、 通常の栄養療法 → 1.0 g/kg(現体重)/日以上 攻めの栄養療法 → 1.2
5 日前読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する37~ストレス係数(SF)とエネルギー蓄積量
―「攻めの栄養管理」を成立させるための考え方 ― 栄養投与量を考える際、**活動係数(AF)**と並んで重要となるのが ストレス係数(Stress Factor:SF) と エネルギー蓄積量 です。 ストレス係数(SF)とは何か ストレス係数(SF)とは、 疾患や外傷、手術侵襲などによって生じる代謝亢進の程度 を反映させるための係数です。 感染 炎症 外傷 手術侵襲 治療に伴う代謝変化 これらにより、 安静時でもエネルギー消費量は増大 します。 SFは一律に決められるものではなく、 栄養障害の程度 病態の重症度 治療内容と侵襲度 を総合的に評価したうえで、 患者ごとに設定 する必要があります。 ストレス係数(SF)の目安 代表的な文献をもとにした、SFの目安は以下の通りです。 軽度ストレス(安定期・軽度感染など) → 1.0~1.1 中等度ストレス(肺炎、腹膜炎など) → 1.2~1.4 高度ストレス(多発外傷、重症感染、術後早期など) → 1.5以上 ※ 侵襲の程度が強いほど、SFは高く設定されます。 一方で、 終末期や高度炎症状態...
6 日前読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する36~栄養投与量の考え方
― エネルギー消費量をどう見積もるか ― 栄養障害を有する患者さんに栄養サポートを行う際、最も重要となるのが 総エネルギー消費量(Total Energy Expenditure:TEE) の算定です。 TEEを適切に見積もれなければ、 栄養不足による改善不良 過剰投与による代謝負荷・合併症 のいずれも招きかねません。 ここでは、 臨床でよく用いられるTEE算定の基本的な考え方 を整理します。 エネルギー消費量(TEE)の求め方 栄養投与量を決める際のTEE算定には、主に以下の2つの方法があります。 ① REE / BEE を基に算出する方法 まず、 安静時エネルギー消費量(REE:Resting Energy Expenditure) または 基礎代謝量(BEE:Basal Energy Expenditure) を推定し、そこに ストレス係数(Stress Factor:SF) 活動係数(Activity Factor:AF) を乗じて算出する方法です。 👉 より理論的で精度が高い方法 ですが、係数設定には臨床判断が求められます。 ② 簡
1月6日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する35~ゴールとは「目指すべき仮の結論」である
― 攻めの栄養療法におけるSMARTなゴール設定 ― 「ゴール」とは、**最終的な答えではなく、現時点で目指すべき“仮の結論”**です。もちろん、病状や生活背景によっては、 現状維持そのものがゴール となる場合もあります。 従来の栄養ケア・マネジメントでは、このゴール設定が十分に強調されていなかったり、曖昧なまま進められていたケースも少なくありませんでした。 攻めの栄養療法 を実践するためには、 対象者の 栄養状態 機能・活動・参加(ICF) それらを踏まえた 予後予測 を多職種で共有したうえで、 SMARTなゴール設定 を行うことが不可欠です。 そして、そのゴールをもとに 仮説 → 介入 → 検証 → 修正 を繰り返していくことが、攻めの栄養療法の本質です。 攻めの栄養管理に必要な視点 攻めの栄養管理では、 消費分を満たすだけの栄養投与では不十分 です。 筋肉や脂肪を「増やす」ための蓄積分のエネルギー・たんぱく質 を見込んだ栄養量設定が必要となります。 その際、重要なのは以下の組み合わせです。 たんぱく質量の十分な確保 レジスタンストレーニング
1月5日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する34~各種疾患・合併症における禁忌事項
● 肥満症 ―「栄養を足す治療」が根本的に逆効果となる病態 ― ■ 肥満・肥満症の定義 肥満 とは、 エネルギー摂取とエネルギー消費のアンバランス により、体内に過剰な脂肪が蓄積した状態を指します。 原因により、 原発性肥満(単純性肥満) 二次性肥満(症候性肥満) に分類され、 BMI 25 kg/m²以上 を「肥満」と定義します。 ■ 「肥満症」とは 肥満に起因、あるいは関連する 高血圧 糖尿病 脂質異常症 NAFLD 高尿酸血症 睡眠時無呼吸症候群 など の 健康障害を伴い、医学的治療が必要な状態 を**「肥満症」**と診断します。 さらに、 BMI 35 kg/m²以上 の場合は👉 高度肥満症 と分類されます。 ■ 内臓脂肪型肥満の重要性 腹腔内に脂肪が蓄積する 内臓脂肪型肥満 は、 高血圧 2型糖尿病 脂質異常症 NAFLD 高尿酸血症 睡眠時無呼吸症候群 など、 多くの生活習慣病の基盤 となります。 👉 肥満症の本質は**「エネルギー不足」ではなく「エネルギー過剰」**です。 ■ 肥満症・高度肥満症の栄養療法の基本 肥満症の栄養療法
1月4日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する33~各種疾患・合併症における禁忌事項
● 慢性心不全 ―「攻めたいが、攻めすぎてはいけない」代表的病態 ― ■ 慢性心不全とは 心不全とは、 「心臓の器質的・機能的異常により、心ポンプ機能の代償機転が破綻し、呼吸困難・倦怠感・浮腫を生じ、運動耐容能が低下する臨床症候群」 と定義されます。 慢性心不全では、 循環・体液・代謝・栄養状態 が密接に絡み合います。 ■ 慢性心不全における栄養管理の基本 慢性心不全の栄養管理で重要なのは、次の2点です。 適正なエネルギー量の確保 体液バランスに関わるナトリウム(塩分)管理 ■ 推奨されるエネルギー・たんぱく質量 ● エネルギー量 サルコペニア・フレイルを合併しやすいため、 30 kcal/kg/day 以上 が目安とされます。 ● たんぱく質量 1.2~1.5 g/kg/day が推奨されます。 👉 ここだけ見ると「攻めの栄養療法」が必要に見えますが、重要な落とし穴があります。 ■ 腎機能障害を伴う場合の禁忌 慢性心不全では、 腎機能障害を合併するケースが非常に多い のが現実です。 ● eGFR < 45 mL/分/1.73m² (CKD G
1月3日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する32~各種疾患・合併症における禁忌事項
● NAFLD/NASH ―「栄養を足すほど肝臓が傷む」病態 ― ■ NAFLD/NASHとは NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患) とは、 肝障害を来すほどの飲酒歴がない ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎などを除外できる にもかかわらず、 肝臓への脂肪沈着を認める肝疾患の総称 です。 その中でも、 NASH(非アルコール性脂肪肝炎)はNAFLDの重症型 であり、 肝細胞の炎症 風船様肝細胞腫大 肝線維化 を認め、 肝硬変 → 肝細胞癌へ進展しうる疾患 です。 ■ NAFLD/NASHの本質は「代謝異常」 NAFLD/NASHの背景には、 インスリン抵抗性 内臓脂肪型肥満 メタボリックシンドローム 糖尿病 脂質異常症 が強く関与しています。 👉 つまり、**「エネルギーが足りない病態」ではなく「エネルギーが余って処理できない病態」**です。 ■ 進展を促進・抑制する脂質の違い ● 進展を促進するもの 飽和脂肪酸 コレステロール これらの過剰摂取は、NAFLD/NASHの炎症・線維化を 促進 します。 ● 進展を抑制する可能性があるもの ω-3
1月2日読了時間: 2分


攻めの栄養療法を科学する31~各種疾患・合併症における禁忌事項
● 肝不全・肝性脳症 ― たんぱく質を「増やすほど危険」になる病態 ― ■ 肝臓は栄養代謝の中枢臓器 肝臓は、 栄養代謝の司令塔 ともいえる臓器であり、以下の重要な役割を担っています。 血糖値の維持 グリコーゲン・アミノ酸・乳酸からの 糖新生 脂肪酸からの ケトン体産生 アミノ酸代謝・尿素サイクルによる アンモニア処理 そのため、 肝機能障害=栄養代謝そのものの破綻 を意味します。 ■ 肝不全で起こるアミノ酸バランスの異常 肝不全では、血中アミノ酸バランスが大きく崩れます。 ● 上昇するもの 芳香族アミノ酸(AAA) チロシン フェニルアラニン トリプトファン ● 低下するもの 分岐鎖アミノ酸(BCAA) ロイシン イソロイシン バリン BCAAは、 エネルギー産生 血中アンモニア代謝 に利用されるため、肝不全では消費されやすく低下します。 ■ 急性肝障害と慢性肝不全の違い(重要) ● 急性肝障害 たんぱく質合成能が急激に低下 適切なたんぱく質補充が必要 ● 慢性肝不全 高たんぱく摂取が 窒素負荷 となる 肝性脳症を誘発・増悪 させる危険 👉.
2026年1月1日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する30~各種疾患・合併症における禁忌事項
● 脂質異常症 ― エネルギーを「増やすほど悪化する」代表的病態 ― ■ 脂質異常症とは 血中の リポたんぱく は、脂質を全身へ運搬する役割を担っています。通常、脂質代謝は ホメオスタシス(恒常性)により厳密に制御されていますが、何らかの要因により血中脂質レベルが逸脱した状態を脂質異常症 と呼びます。 脂質異常症は、動脈硬化性疾患の 主要な危険因子 です。 ■ 脂質異常症の主な指標(空腹時採血) 主な評価項目 LDLコレステロール(LDL-C)高値 トリグリセライド(TG)高値 HDLコレステロール(HDL-C)低値 non-HDLコレステロール高値 これらはいずれも、 冠動脈疾患リスク と密接に関連します。 ■ 脂質異常症における基本的な栄養療法 脂質異常症の栄養療法の基本は、👉 「攻める」ことではなく「抑える」こと です。 ● エネルギー設定 過剰なエネルギー摂取を避ける ● 栄養素バランスの目安 脂質エネルギー比: 20~25% 糖質エネルギー比: 50~60% ● 脂質の質の調整 飽和脂肪酸の低減 一価・多価不飽和脂肪酸への置換 トラン
2025年12月31日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する29~悪液質(カヘキシア)
― 栄養を「増やしても」改善しない病態 ― 悪液質(cachexia) とは、 通常の栄養療法では改善が困難な、進行性の代謝異常症候群 です。 単なる低栄養とは異なり、 著しい骨格筋量の減少 慢性炎症の持続 機能障害の進行 を特徴とする、 複合的な栄養不良状態 です。 ■ 悪液質を来す主な疾患 悪液質は、以下のような 慢性消耗性疾患 で認められます。 がん 慢性心不全 慢性腎不全 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 自己免疫疾患 慢性感染症 敗血症後の慢性消耗状態 など 👉 「食べられないから痩せた」のではなく、「病態そのものが筋肉を削る」状態 であることが本質です。 ■ がん悪液質のステージ分類 がん悪液質は、 3段階 に分類されます。 ① 前悪液質(pre-cachexia) 慢性炎症の存在 軽度の体重減少 食欲不振が出始める段階 👉 この時期が最も重要 早期の栄養介入により 栄養不良の進行を遅らせることが可能 状態評価を行いながら、 攻めの栄養療法が許容されるステージ 目安 エネルギー: 25~30 kcal/kg/day たんぱく質: 1.
2025年12月30日読了時間: 2分


攻めの栄養療法を科学する28~侵襲(しんしゅう)と栄養療法
― 高度侵襲下では「攻めの栄養療法」は禁忌 ― ■ 侵襲とは何か 侵襲 とは、 重症感染症 大手術 多発外傷 熱傷 など、 生体を傷害し、生体恒常性(ホメオスタシス)を破綻させる強い刺激 を指します。 侵襲が加わると、生体内では以下の反応が起こります。 内因性エネルギー供給(endogenous energy supply) の増大 ストレスホルモンや炎症性サイトカインの大量産生 代謝の亢進とインスリン抵抗性の出現 ■ 外因性エネルギー=栄養療法の落とし穴 栄養療法は、**外因性エネルギー供給(exogenous energy supply)**に該当します。 侵襲下では、 生体内から供給されるエネルギー + 外から投与するエネルギー この 両者の合計 でエネルギー需要が満たされます。 そのため、 👉 「推定エネルギー必要量と同量の栄養を外から投与する」ことは、過剰投与(overfeeding)になる可能性が高い という点が、極めて重要です。 ■ 侵襲時に最も注意すべき合併症:高血糖 侵襲が起こると、 肝臓・骨格筋に貯蔵された グリコーゲン が
2025年12月29日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する27~「攻めの栄養療法」は誰にでも有効ではない
― 禁忌を理解しない“栄養強化”は、かえって危険 ― 「 攻めの栄養療法 」とは、 体重や筋肉量を増やすこと を目的に、単なる消費エネルギーだけでなく「 エネルギーの蓄積分 」も考慮してエネルギー必要量を設定する栄養療法です。 しかし、この方法は すべての患者さんに安全・有効とは限りません。 ■ 攻めの栄養療法で本当に大切な視点 栄養量を増やす際には、 糖質・脂質・たんぱく質の割合 基礎疾患や合併症 臓器機能(心・腎・肝など) リハビリや運動療法の併用可否 を総合的に判断する必要があります。 病態を十分に理解せずにエネルギーだけを増やすと、 病態の悪化 心不全・呼吸不全 電解質異常 合併症の誘発 につながる危険があります。 特に リハビリや運動療法を併用しない場合 、増えるのは「筋肉」ではなく 脂肪だけ になることも少なくありません。 👉 攻めの栄養療法は「適応を選ぶ治療」 であり、👉 禁忌を理解したうえで慎重に行う必要があります。 低栄養患者における最大の注意点 ― 飢餓と再摂食症候群(RFS) ― ■ 飢餓とは 飢餓とは、社会的要因や疾患
2025年12月28日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する26~各種疾患・合併症における禁忌事項
慢性心不全|「増やす栄養」と「抑える栄養」のバランスが鍵 慢性心不全とは 心不全は、 「心臓に器質的・機能的異常が生じ、心ポンプ機能の代償機構が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感・浮腫が出現し、運動耐容能が低下する臨床症候群」 と定義されます。 慢性心不全における栄養管理の柱は、 体液バランス(ナトリウム管理) 適正なエネルギー・たんぱく質量の確保 です。 慢性心不全における栄養量の基本 エネルギー・たんぱく質量 サルコペニアやフレイルを合併しやすい慢性心不全では、 エネルギー :30 kcal/kg/day 以上 たんぱく質 :1.2~1.5 g/kg/day が推奨されています。 腎機能障害を伴う場合の注意点 ただし、 eGFR < 45 mL/分/1.73m²(CKD G3b 以上) を認める場合は、 たんぱく質:0.6~0.8 g/kg/day へ制限する必要があります。 👉 腎機能を無視した高たんぱく設定は禁忌 であり、「攻めの栄養療法」の落とし穴となります。 ナトリウム(塩分)管理の考え方 ナトリウムは細胞外液の浸透圧維持に関与するため
2025年12月26日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する25~各種疾患・合併症における禁忌事項
脂質異常症|「量を増やす」だけでは悪化する 脂質異常症とは 血中の リポたんぱく は、コレステロールや中性脂肪といった脂質を運搬し、全身を循環しています。通常、脂質は生体内のホメオスタシスにより一定範囲に保たれていますが、何らかの原因で血中脂質レベルが異常になると 脂質異常症 と診断されます。 脂質異常症では、 LDLコレステロール(LDL-C)の高値 中性脂肪(TG)の高値 HDLコレステロール(HDL-C)の低値 が、 冠動脈疾患や動脈硬化の主要な危険因子 となります。 脂質異常症と栄養療法の基本 脂質異常症に対する栄養療法の基本は、👉 「過剰なエネルギー摂取を避けること」 です。 一般的に推奨される栄養組成は以下の通りです。 脂質エネルギー比:20~25% 糖質エネルギー比:50~60% 加えて、 飽和脂肪酸の制限 一価・多価不飽和脂肪酸への置換 トランス脂肪酸の低減 が重要とされています。 脂質エネルギー比の低下は LDL-C の低下 に寄与し、炭水化物エネルギー比の調整は 高TG血症や低HDL-C に一定の改善効果を示します。 脂質
2025年12月25日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する24~侵襲|高度侵襲下では「攻めの栄養療法」は禁忌
侵襲とは何か 侵襲 とは、重症感染症・大手術・多発外傷・熱傷など、 生体を傷害し、生体恒常性を大きく乱す刺激 を指します。 侵襲が加わると、生体内では以下が生じます。 内因性エネルギー供給(endogenous energy supply)の増大 ストレスホルモン・炎症性サイトカインの大量分泌 一方、栄養療法は**外因性エネルギー供給(exogenous energy supply)**に相当します。生体のエネルギー需要は、👉 内因性+外因性エネルギーの合計で満たされる という点が重要です。 「必要量=外因性投与」は危険 侵襲下で、 エネルギー必要量と同量の外因性エネルギーを投与 すると、実質的には overfeeding(過剰栄養) となる可能性があります。 その結果、最も問題となる合併症が 高血糖 です。 侵襲時に高血糖が起こる理由 侵襲時には、 肝臓・骨格筋のグリコーゲンが消費される 肝グリコーゲンは 12~24時間程度で枯渇 その後は 乳酸 アミノ酸 を材料とした 糖新生 によりグルコースが供給されます。 飢餓時と異なる重要な点は
2025年12月24日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する23~はじめに|「攻めの栄養療法」は万能ではない
「攻めの栄養療法」 とは、体重や筋肉量を増やすことを目的に、 エネルギー消費量に加えて“エネルギー蓄積量”を考慮して必要量を設定する栄養療法 です。 ただし、単純にエネルギー量を増やせばよいわけではありません。 糖質・脂質・たんぱく質の配分 患者の病態や合併症 リハビリテーション・運動療法の併用 これらを考慮せずに行うと、 病態の悪化 代謝性合併症 脂肪のみの増加 を招く可能性があります。 特に、 リハビリや運動療法を併用しない「攻めの栄養療法」は、筋肉ではなく脂肪を増やすだけ になりやすく、必ずしも患者の利益にはなりません。 そのため、「攻めの栄養療法」は👉 すべての患者に適応される治療ではない 👉 禁忌を理解したうえで、適切な対象に限定して実践する ことが重要です。 本稿では、 攻めの栄養療法を行う際に必ず理解しておくべき禁忌事項 を、特に重要な「低栄養・飢餓状態」を中心に解説します。 低栄養患者における禁忌①|飢餓状態 飢餓とは何か 飢餓 とは、社会的・経済的要因や疾患を背景に、 長期間にわたり栄養摂取が不足し、慢性的な栄養障害をきたし
2025年12月23日読了時間: 4分
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