攻めの栄養療法を科学する60~攻めの栄養療法:静脈栄養(PN)を使いこなすポイント
- 賢一 内田
- 2 日前
- 読了時間: 2分

「口から食べられなくなったら、どうすればいい?」 在宅医療や術後の回復期において、栄養管理は病気と闘うための最大の武器です。今回は、投与設計を自由に変えられる「静脈栄養(PN)」の強みと、当院でも重要視している「攻めの処方設計」について解説します。
1. 静脈栄養(PN)の長所と短所
栄養療法には、**「経口(口から)」「経管(チューブから)」「静脈(点滴から)」**の3つのルートがあります。
長所: 消化管を安静に保つ必要がある病態に不可欠です。また、エネルギー量だけでなく、糖質・たんぱく質・脂質といった「マクロ栄養素」の組成を、身体状況に合わせて自由に変えられる唯一の方法です。
短所: 腸管を使わないことによる不利益(免疫機能の低下など)が生じる可能性があります。
2. 「攻めの末梢静脈栄養(PPN)」とは?
PPNは腕などの末梢血管から行う点滴です。当院では、単なる栄養補充ではなく、早期回復を狙う**「攻めのPPN」**を推奨しています。
適応となるケース:
食事や経管栄養だけでは必要エネルギーが足りない場合。
術後早期のたんぱく質分解を抑え、合併症を予防したい場合。
期間の目安: PPNで必要量をまかなえない場合は2週間以内とし、それ以上の長期管理が必要な場合は「中心静脈栄養(TPN)」への移行を検討します。
3. 実践!効果を出すための「セット処方」
「攻めのPPN」を成功させる鍵は、マクロ栄養素のバランスとビタミンB1の補給です。
脂質の併用: 糖質とアミノ酸だけでなく、脂肪乳剤を併用することで、効率よくエネルギーを充足させ、体内のたんぱく質を節約できます。
当院の処方例: 患者様の状態に合わせ、410kcalから最大1,340kcalまでのセット処方を活用しています。
例:PPN 1130セット(ビーフリード1,500mL+イントラリポス250mL) → エネルギー1,130kcal、アミノ酸45g、脂質50gを投与可能。
4. 食事形態の変更時こそ注意が必要
「米飯からお粥に変更した」といった食形態の変化は、実は摂取エネルギーが大きく落ち込むサインです。お粥で以前と同じエネルギーを摂るには2倍以上の量が必要になり、現実的ではありません。
栄養不足の期間や低栄養への耐性を勘案し、「食事量が増えるのを待つ」のではなく「早期に点滴で補充を開始する」ことが、在宅療養を支える上で極めて重要です。
在宅医療における栄養相談は「さくら在宅クリニック」へ
私たちは、患者様お一人おひとりの活動状況に応じた最適な栄養組成を検討し、「攻めの栄養管理」を実践しています。
詳細はこちら: https://www.shounan-zaitaku.com/
