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攻めの栄養療法を科学する26~各種疾患・合併症における禁忌事項
慢性心不全|「増やす栄養」と「抑える栄養」のバランスが鍵 慢性心不全とは 心不全は、 「心臓に器質的・機能的異常が生じ、心ポンプ機能の代償機構が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感・浮腫が出現し、運動耐容能が低下する臨床症候群」 と定義されます。 慢性心不全における栄養管理の柱は、 体液バランス(ナトリウム管理) 適正なエネルギー・たんぱく質量の確保 です。 慢性心不全における栄養量の基本 エネルギー・たんぱく質量 サルコペニアやフレイルを合併しやすい慢性心不全では、 エネルギー :30 kcal/kg/day 以上 たんぱく質 :1.2~1.5 g/kg/day が推奨されています。 腎機能障害を伴う場合の注意点 ただし、 eGFR < 45 mL/分/1.73m²(CKD G3b 以上) を認める場合は、 たんぱく質:0.6~0.8 g/kg/day へ制限する必要があります。 👉 腎機能を無視した高たんぱく設定は禁忌 であり、「攻めの栄養療法」の落とし穴となります。 ナトリウム(塩分)管理の考え方 ナトリウムは細胞外液の浸透圧維持に関与するため
2025年12月26日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する25~各種疾患・合併症における禁忌事項
脂質異常症|「量を増やす」だけでは悪化する 脂質異常症とは 血中の リポたんぱく は、コレステロールや中性脂肪といった脂質を運搬し、全身を循環しています。通常、脂質は生体内のホメオスタシスにより一定範囲に保たれていますが、何らかの原因で血中脂質レベルが異常になると 脂質異常症 と診断されます。 脂質異常症では、 LDLコレステロール(LDL-C)の高値 中性脂肪(TG)の高値 HDLコレステロール(HDL-C)の低値 が、 冠動脈疾患や動脈硬化の主要な危険因子 となります。 脂質異常症と栄養療法の基本 脂質異常症に対する栄養療法の基本は、👉 「過剰なエネルギー摂取を避けること」 です。 一般的に推奨される栄養組成は以下の通りです。 脂質エネルギー比:20~25% 糖質エネルギー比:50~60% 加えて、 飽和脂肪酸の制限 一価・多価不飽和脂肪酸への置換 トランス脂肪酸の低減 が重要とされています。 脂質エネルギー比の低下は LDL-C の低下 に寄与し、炭水化物エネルギー比の調整は 高TG血症や低HDL-C に一定の改善効果を示します。 脂質
2025年12月25日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する24~侵襲|高度侵襲下では「攻めの栄養療法」は禁忌
侵襲とは何か 侵襲 とは、重症感染症・大手術・多発外傷・熱傷など、 生体を傷害し、生体恒常性を大きく乱す刺激 を指します。 侵襲が加わると、生体内では以下が生じます。 内因性エネルギー供給(endogenous energy supply)の増大 ストレスホルモン・炎症性サイトカインの大量分泌 一方、栄養療法は**外因性エネルギー供給(exogenous energy supply)**に相当します。生体のエネルギー需要は、👉 内因性+外因性エネルギーの合計で満たされる という点が重要です。 「必要量=外因性投与」は危険 侵襲下で、 エネルギー必要量と同量の外因性エネルギーを投与 すると、実質的には overfeeding(過剰栄養) となる可能性があります。 その結果、最も問題となる合併症が 高血糖 です。 侵襲時に高血糖が起こる理由 侵襲時には、 肝臓・骨格筋のグリコーゲンが消費される 肝グリコーゲンは 12~24時間程度で枯渇 その後は 乳酸 アミノ酸 を材料とした 糖新生 によりグルコースが供給されます。 飢餓時と異なる重要な点は
2025年12月24日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する23~はじめに|「攻めの栄養療法」は万能ではない
「攻めの栄養療法」 とは、体重や筋肉量を増やすことを目的に、 エネルギー消費量に加えて“エネルギー蓄積量”を考慮して必要量を設定する栄養療法 です。 ただし、単純にエネルギー量を増やせばよいわけではありません。 糖質・脂質・たんぱく質の配分 患者の病態や合併症 リハビリテーション・運動療法の併用 これらを考慮せずに行うと、 病態の悪化 代謝性合併症 脂肪のみの増加 を招く可能性があります。 特に、 リハビリや運動療法を併用しない「攻めの栄養療法」は、筋肉ではなく脂肪を増やすだけ になりやすく、必ずしも患者の利益にはなりません。 そのため、「攻めの栄養療法」は👉 すべての患者に適応される治療ではない 👉 禁忌を理解したうえで、適切な対象に限定して実践する ことが重要です。 本稿では、 攻めの栄養療法を行う際に必ず理解しておくべき禁忌事項 を、特に重要な「低栄養・飢餓状態」を中心に解説します。 低栄養患者における禁忌①|飢餓状態 飢餓とは何か 飢餓 とは、社会的・経済的要因や疾患を背景に、 長期間にわたり栄養摂取が不足し、慢性的な栄養障害をきたし
2025年12月23日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する21~はじめに|栄養療法は「治療の基盤」
栄養療法は、健康の維持・増進のみならず、生活習慣病やさまざまな疾患の 治癒・改善を支える重要な治療の一部 です。患者が何らかの栄養障害に陥った場合、 適切な栄養スクリーニングと栄養アセスメントを行い、早期に栄養状態を維持・改善する方策を講じること は、医療の基本とされています。 近年の研究により、栄養療法は以下の点で患者予後を改善することが示されています。 創傷治癒の促進 感染症合併の予防 治療反応性の向上 在院日数の短縮 医療費の削減 病期(セッティング)によって異なる「攻めの栄養療法」 2018年度の厚生労働省・病床機能報告では、平均在院日数の中央値は以下の通りでした。 高度急性期:9日 急性期:14日 回復期:51日 慢性期:234日 このように 医療のセッティングによって在院日数・患者背景・関与する職種・ゴール設定は大きく異なります 。そのため、「攻めの栄養療法」の対象患者や適応も、セッティングごとに考える必要があります。 本稿では、 急性期医療における栄養療法の考え方 を中心に解説します。 急性期医療における栄養療法の特徴 ICU患者に
2025年12月21日読了時間: 5分


攻めの栄養療法を科学する⑧~【リハ栄養診療ガイドライン2018】
成人がん・急性疾患の最新エビデンスと、EBMに基づくガイドラインの読み解き方 リハビリテーションと栄養療法は、どちらも患者さんのQOL(生活の質)や回復過程に強く影響します。「リハ栄養診療ガイドライン2018」では、主要4疾患(脳血管疾患/大腿骨近位部骨折/成人がん/急性疾患)について、 患者個別の状態に応じた“強化型栄養療法”の有効性 が検討されています。 この記事では、特に質問の多い 成人がん・急性疾患領域 のポイントと、ガイドラインを読み解くための EBM(Evidence Based Medicine)の考え⽅ までを分かりやすくまとめました。 ▼【成人がん】リハ+栄養指導のプログラムは行うべきか? ● CQ 不応性悪液質を除く成人がん患者に、リハビリと栄養指導を組み合わせたプログラムを行うべきか? ● 推奨(一定の推奨はしない/エビデンス非常に低い) 補助化学療法・放射線治療を受ける成人がん患者において、現時点では リハ+栄養指導プログラムを一律に推奨できるだけのエビデンスは不足 しています。 ただし―― 患者・家族の意向 病状
2025年12月8日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する⑥~【診療ガイドラインを“使いこなす”ということ】
――EBMとリハ栄養の実践から考える、臨床判断のあり方―― リハ栄養診療ガイドライン2018が発表されて以来、臨床現場では「どの患者に、どこまで介入すべきか?」という判断場面が増えています。 しかし、ガイドラインは そのまま自動的に当てはめれば良い“マニュアル”ではありません。 重要なのは、「目の前の患者にどう適応するか」を考える医療者の姿勢です。 図にあるように、EBMの臨床決定には次の3つが重なり合います。 研究エビデンス 患者の価値観・行動 医療者のスキル・経験 そしてこれらを包むのが、臨床の状態や環境です。 ガイドラインを活かす鍵は、この“重なり合い”にあります。 ◆ 1. ガイドラインをそのまま当てはめてはいけない理由 信頼できる診療ガイドラインであっても、 すべての患者に一律に適用できるわけではありません。 まず必要なのは、 併存疾患 社会的背景 栄養状態 家族の支援体制 リハの受けられる環境など、患者個人の状況を丁寧に把握すること。 そのうえでガイドラインに照らし、 この患者にとってエビデンスは妥当か ガイドラインの推奨が“利益>不
2025年12月4日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑤~【リハ栄養診療ガイドライン2018のポイントまとめ】
――4疾患に対する最新エビデンスと実践への活かし方―― リハ栄養の実践では、 「どの患者に、どの程度の栄養介入を行うべきか?」 という判断が常に求められます。 その指針となるのが、 リハ栄養診療ガイドライン2018 です。ここでは、ガイドラインが示す重要ポイントをわかりやすくまとめます。 ◆ リハ栄養診療ガイドライン2018の対象疾患 現時点での信頼できるエビデンスをもとに、4つの疾患領域に対して推奨が作成されています。 ● 対象となる4疾患 脳血管疾患 大腿骨近位部骨折 成人がん(不応性悪液質を除く) 急性疾患(acute illness) これらの臨床課題(CQ)に対して、 GRADE system (エビデンス評価方法)に基づき推奨が整理されています。 ◆ 強化型栄養療法とは? ガイドラインにおける「強化型栄養療法」は、通常の食事や給食に加え、 個別の栄養アセスメント 栄養指導、栄養カウンセリング 経口補助食品(ONS) 経腸・静脈栄養 などを組み合わせて行う 積極的な栄養介入 を指します。 ◆ 4疾患の推奨内容(エッセンス) ① 脳血
2025年12月3日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する④~【診療ガイドラインとEBM】
――リハ栄養診療ガイドライン2018をどう使うか―― 医療現場では「エビデンスに基づく医療(EBM)」という言葉が欠かせません。しかし、EBMを“現場で実践する”となると、多職種を巻き込むリハ栄養の領域では特に難しさを感じることもあります。 今回は、 「診療ガイドラインとは何か?」「EBMとは何か?」「リハ栄養診療ガイドライン2018をどう活かすのか?」 について分かりやすく整理します。 ◆ 診療ガイドラインとは何か? 診療ガイドラインとは一言でいうと、 “患者と医療者がより良い意思決定をするための道しるべ” です。 厚労省のMinds(ガイドライン選定・評価機構)では次のように定義されています。 重要な医療行為について 信頼性の高いシステマティックレビューと 効果と害のバランスを総合評価し 患者と医療者の意思決定を支援するために作成された文書 つまり、 診療ガイドラインは「拘束力のあるマニュアル」ではありません。 むしろ、 各患者の状況に合わせて“どう応用するか”を考えるための根拠集 という方が正しい理解です。 患者家族からも、「ガイドラインに
2025年12月2日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する③~【攻めの栄養療法をどう実践する?】
――リハ栄養ケアプロセスに沿った実践ステップ―― 低栄養・サルコペニア・フレイルがある患者さんでは、**「食べられるようになったらリハをする」**では遅く、 栄養 × リハビリを同時に進める“リハ栄養”が極めて重要 です。 中でも今回のテーマである 攻めの栄養療法(アグレッシブ・ニュートリション) は、リハ栄養ケアプロセスの中でどう実践するかがカギになります。 ◆ 攻めの栄養療法の成否は「アセスメント」と「ゴール設定」で決まる 攻めるべきかどうかは、 対象者をどれだけ深く把握できたか(アセスメント)目指す姿をどれだけ明確に描けたか(ゴール設定) で決まります。 ▶ リハ栄養アセスメント・診断推論 ここで行うのは、 なぜ体重が減ったのか なぜサルコペニアになったのか 栄養摂取不足の原因は?(量/内容/嚥下/環境) 疾患ストレス・炎症は? ICFの観点での生活機能は? という 原因の深掘り です。 ▶ リハ栄養ゴール設定 次に、 「この人はどの状態に戻りたいのか(あるべき姿)」 を具体化します。 例: 1か月で体重+1kg 2週間で歩行距離を+20
2025年12月1日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する②~【リハ栄養】“リハ × 栄養”を同時に行うと回復力が最大化する理由
(さくら在宅クリニック| https://www.shounan-zaitaku.com/)(YouTube|https://www.youtube.com/@fukuroi1971) 低栄養・サルコペニア・フレイルの患者さんは、“リハビリだけ”ではなかなか改善が進まないことがあります。 その理由はシンプルで、 動かすためのエネルギーとタンパク質が足りていない からです。 そんな時に効果を発揮するのが、今回のテーマ 「リハ栄養(リハビリテーション栄養)」 です。 ◆ リハ栄養とは? リハ栄養は 「ICF(国際生活機能分類)による全人的評価」+「栄養障害・サルコペニア・栄養摂取量の評価」+「リハと栄養の同時介入」 を組み合わせたアプローチです。 定義としては、 低栄養・サルコペニア・フレイルを改善し、 機能・活動・参加(QOL)を最大化するためのリハからみた栄養管理、栄養からみたリハ とされています。 ポイントは、 リハも栄養も「同時に行う」こと。 昔は「食べられるようになったらリハをしよう」という考え方でしたが、現在は リハ × 栄養の同時介入
2025年11月30日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する①~【攻めの栄養療法】低栄養・サルコペニア改善のカギは“リハ × 栄養”の両輪です
(さくら在宅クリニック| https://www.shounan-zaitaku.com/)(YouTube|https://www.youtube.com/@fukuroi1971) 在宅医療でもリハビリでも、**「食べられない」「痩せてしまった」「筋力が落ちた」**という場面は日常的です。 そんな時に重要なのが、今日お話しする “攻めの栄養療法(アグレッシブ・ニュートリション)” です。 ◆ 攻めの栄養療法とは? 通常の栄養管理は、「今日使うエネルギーを今日の食事で補う」考え方です。 一方で攻めの栄養療法は、 1日の消費エネルギーに “体重を増やすためのエネルギー” を上乗せする方法 。 特に以下の患者さんに有効とされています。 低栄養 サルコペニア(筋肉量の低下) リハビリを頑張っても改善が乏しいケース リハビリの効果を最大化するための“攻め”の栄養戦略とも言えます。 ◆ なぜ必要なのか? リハビリが必要な方は、病前からの低栄養、急性期での食欲低下、施設入院中の栄養不足などさまざまな理由で 体重・筋肉量が落ちやすい状況 にあります。 研
2025年11月29日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について72~【SNRI ベンラファキシンの治験データを読み解く】
— 実薬単独では効いて見えるが、プラセボと重ねると差はごくわずか — ベンラファキシン(イフェクサー)は 2015 年に国内承認された SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)です。「三環系より安全」「SSRIより効果が高い」と紹介されることがありますが、実際の治験データを見ると、その印象は大きく変わります。 今回の国内治験(B2411263 試験)も、前回の SSRI・NaSSA と同じ構図です。 ■ 1. 実薬だけを見ると“効いているように見える”(図7) 最初に提示される図7では、 75mg/日 75–225mg/日 この2群の 実薬だけを並べた折れ線グラフ 。 治療前 → 8週間後で HAM-D が大きく下がるため、「SNRIはやはり強いな」という印象を受けます。 ……しかし、これは プラセボを意図的に載せていない グラフです。 ■ 2. プラセボを入れると印象は一変(図8) 図8では、実薬とプラセボ群を重ねた折れ線グラフ。 プラセボも大きく改善 75mg群・高用量群ともに線はほぼ重なる 違いは視覚的に“ほぼゼロ” しか
2025年11月27日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について71~【ミルタザピン(NaSSA)の治験結果を読み解く】
— プラセボとの差はわずか、それでも副作用はしっかり出る — ミルタザピン(レメロン/リフレックス)は「NaSSA」として知られ、SSRIでもSNRIでもない“別系統の抗うつ薬”としてよく紹介されます。 しかし、 治験データを見る限り、SSRIと同じ問題点 が存在します。 実薬単独のグラフだと効いて見える プラセボと重ねると差が小さく見える なのに有害事象だけは用量依存的に増える 製薬会社パンフレットにおける印象操作が非常に分かりやすい例です。 ■ 1. 実薬だけを見ると「お、効いている」と感じる(図4) ミルタザピンの国内治験(001試験)では 15mg 30mg 45mg の3群が比較されました。 図4は プラセボを掲載しない実薬のみのグラフ です。 治療前 → 6週間後でHAM-Dが大きく改善しているように見え、「やはり抗うつ薬は効くんだな」という印象になります。 ……しかし、これは プラセボを抜いたグラフ です。 ■ 2. プラセボを入れると“ほぼ同じ”に見える(図5) 図5では、同じデータに プラセボ群の線を追加 。 すると印象は
2025年11月26日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について70~【抗うつ薬の“効果グラフ”はなぜ誤解を生むのか】
— 製薬会社が「プラセボ群を目立たなくする」方法を徹底解説 — 抗うつ薬の効果を示す治験データは、しばしば プラセボ群(偽薬)に比べて優れているように見えるよう加工 されています。 とくにSSRI のように、 自然回復率の高いうつ病 では、実薬とプラセボの差が小さく、製薬会社にとっては治験データの見せ方が極めて重要です。 今回取り上げるのは、2011年発売のSSRI エスシタロプラム(レクサプロ) の国内治験(MLD55-11MDD21)のグラフです。 実データを読み解くと、製薬会社パンフレットで典型的に行われる“印象操作”がよくわかります。 ■ 1. プラセボなしのグラフはよく見える(図1) 最初の図は「実薬10mg群」と「20mg群」だけを比較したもの。 治療前 → 8週間後で HAM-D が大きく下がるので 「お、効いているな」 と感じます。 しかし── これはプラセボ群が描かれていないグラフです。 つまり、「自然経過で良くなっている分」を隠しているわけです。 ■ 2. プラセボを入れると印象は一変(図2) 同じ治験で、 プラセボ群も一緒に
2025年11月25日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について69~「抗うつ薬に依存性はない」という言葉をどう受け止めるか
— 中止後症状と“依存性なし”のギャップ — 前回の記事で触れたように、抗うつ薬、とくにSSRI・SNRIには**中止後症状(discontinuation symptoms)**が高頻度にみられます。しかし、この「中止後症状」という概念は、 現場の一般臨床医には十分知られていない 可能性があります。 抗うつ薬の効果(抑うつ改善・疼痛軽減)だけでなく、 中止後症状がどの程度起こりうるのか どんな症状が出るのか といった情報まできちんと書いてある製薬会社パンフレットがあるなら、それは非常に有用でしょう。しかし実際には、 そこまで踏み込んで書かれているパンフレットはほとんどありません。 1. 「離脱症状」と言ってはいけない?精神薬理学の立場 一度飲み始めるとなかなかやめにくい薬、と聞くと、どうしても「薬物中毒」「禁断症状」をイメージしがちです。 ベンゾジアゼピン受容体作動薬については、 承認用量の範囲内であっても 長期服用により 身体依存が形成される 減量・中止で離脱症状が出る という点について、PMDAが強い警告を出しています。 それなのに、...
2025年11月24日読了時間: 5分


来年度より頭痛外来開始いたします:難治性頭痛への新たなアプローチ~蝶口蓋神経節(SPG)ブロックとは?
頭痛診療は年々進歩していますが、 急性期の強い痛みへの即効性のある治療 となると、選択肢は意外と限られています。 特に、 群発頭痛 三叉自律神経性頭痛(TAC) 自律神経症状(流涙・鼻閉)を伴う片頭痛 では、薬物療法だけでは効果が不十分になりやすく、患者さんが「どうすればこの痛みから解放されるのか」と深刻な苦しみに直面します。 そこで注目されているのが、 「蝶口蓋神経節ブロック(SPGブロック)」 です。 ■ SPGブロックとは? 蝶口蓋神経節(SPG:Sphenopalatine Ganglion)は、鼻腔深部の翼口蓋窩に位置し、 三叉神経(痛み) 副交感神経(血管拡張・涙腺・鼻腺) 交感神経 が交差する重要部位です。 つまり、**頭痛と自律神経症状の“中枢ハブ”**となる場所であり、ここを局所麻酔で遮断することで、 強い眼窩痛 鼻閉 流涙 動悸・顔面の血管拡張 などを同時に改善できます。 ■ 適応疾患(医療従事者向け) ◎ 第一選択級 群発頭痛(急性期治療として強く推奨) ◎ 高い有効性が報告される疾患 片頭痛(急性期/難治例) 三叉自律神経
2025年11月23日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について68~【医師向け】抗うつ薬の「中止後症状」を理解する
— SSRI・SNRIの離脱症状はなぜ起こるのか — 抗うつ薬は“始めるのは簡単だが、やめるのは難しい薬”です。その理由のひとつが、服薬中断によって現れる 「抗うつ薬中止後症状(discontinuation symptoms)」 です。 イライラ 嘔気 めまい 運動失調 発汗 感覚異常 悪夢 これらの症状は、うつ病の再発と見分けにくく、時に患者さん・医療者双方を混乱させます。 ■ 1. 抗うつ薬中止後症状とは? 英語では "antidepressant discontinuation symptoms" と呼ばれ、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)で特に起こりやすいものの、 すべての抗うつ薬で発生しうる とされています。 中止後症状は、欧米でも1990年代以降くり返し研究されており、抗うつ薬の治療ガイドラインでも “注意すべき副作用” として位置づけられています。 ■ 2. SNRI(特にデュロキセチン)でも高頻度に起こる デュロキセチンは、 うつ病 糖尿病性神経障害 線維筋痛症 慢性腰痛症 変形性関節症の疼痛 …など多くの効能
2025年11月23日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について67~【医師向け】「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」という言葉に潜む“印象操作”
精神科領域の製薬会社パンフレットをどう読むか 医療の世界は非常に幅広く、精神科を専門としない医師が“精神薬理”の細部まで把握することは現実的には困難です。その隙間を埋めるように、製薬会社は「精神科の知識を分かりやすくまとめたパンフレット」を無料で配布します。 しかし、その多くは**気づかれないように巧妙に“自社製品が有利に見えるよう加工された情報”**です。医師側はそれを理解したうえで読み解くか、それとも受け取らないか──常に二者択一を迫られています。 精神科や老年医学の領域では特に、こうした“用語の印象操作”によって誤解が生まれやすく、処方判断に影響が出ることもあります。 ❚ よくある印象操作① 「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」という“安全そうな名前” ゾルピデム・ゾピクロン・エスゾピクロンは、製薬会社の資料では**「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」**という名前で紹介されます。 この表現は、 💡 ベンゾジアゼピンとは全く違う、安全な新世代の睡眠薬という“誤った印象”を与えがちです。 しかし実際には── ■ 同じ受容体に結合します...
2025年11月22日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について61~ 認知症を「予防する」ために知っておきたいこと
― 特に“薬”が与える影響について ― 認知症の方を支えるご家族、とくに子世代からは、 「自分も認知症になるのでは…」 と心配の声を聞くことが少なくありません。 これまでの数多くの疫学研究から、認知症の発症にはいくつかの“危険因子”があることがわかっています。 ■ 変えられない危険因子 代表的なものは以下の3つです。 加齢 :年齢が上がるほど発症リスクが高まる 遺伝(アポリポタンパクE ε4) :アルツハイマー病の発症リスクを高める 教育年数 :教育期間が長いほど発症しにくい傾向 しかし、これらは「知ったところで避けようがない」因子ばかり。そこで注目されるのが、**“変えられる要素=予防可能な因子”**です。 一般臨床の現場で取り組める予防要因は大きく3つあります。 医薬品(薬の影響) 生活習慣病(高血圧・糖尿病など)の管理 生活習慣(運動・睡眠・栄養など) 本記事では、その中でも特にエビデンスが蓄積している**「薬と認知症リスク」**にフォーカスします。 ■ 1. ベンゾジアゼピン(BZD)系薬と認知症リスク ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、不
2025年11月16日読了時間: 4分
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