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在宅医療を科学する6~難治性蜂窩織炎のその後

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 4 日前
  • 読了時間: 2分

― 皮膚所見が語る「うっ滞」という本質 ―

今回の写真は、在宅診療介入後の下腿皮膚所見です。潰瘍自体は落ち着きつつある一方で、皮膚全体には慢性的な変化がはっきりと残っています。

■ 写真から読み取れる皮膚の変化

下腿全体に共通してみられるのは、

  • びまん性の色素沈着

  • 皮膚の乾燥・落屑

  • 軽度の皮膚硬化

  • 慢性浮腫を背景とした皮膚の緊張

といった所見です。

これは感染の再燃ではなく、静脈うっ滞が長期間続いた結果としての皮膚障害を反映しています。

■ 「治った/治っていない」をどう判断するか

在宅医療では、「潰瘍が完全に消えたかどうか」だけで評価しません。

重要なのは、

  • 滲出液がコントロールできているか

  • 感染兆候(熱感・急激な発赤・疼痛増悪)がないか

  • 皮膚トラブルが日常生活を妨げていないか

といった安定性です。

今回の状態は、👉 潰瘍は最小限👉 感染は抑えられている👉 皮膚は脆弱だが破綻はしていない

という、**「共存できる状態」**に到達したと評価できます。

■ なぜ皮膚は元に戻らないのか

静脈うっ滞性皮膚障害では、

  • 静脈圧上昇

  • 毛細血管レベルの循環障害

  • 慢性炎症

が長期に持続します。

その結果、皮膚は**「治る」のではなく「作り替えられてしまう」**ため、健常皮膚に完全に戻ることは多くありません。

ここで重要なのは、「元に戻す」ことを目標にしすぎないことです。

■ 在宅医療でのゴール設定

本症例でのゴールは、

  • 潰瘍を悪化させない

  • 蜂窩織炎を再発させない

  • 介護・処置の負担を最小限にする

  • 本人の生活を守る

という現実的なものでした。

そのために、

  • 圧迫療法の継続

  • 保湿を中心としたスキンケア

  • 皮膚トラブルの早期発見・早期対応

を軸に、**「付き合い続ける設計」**を行っています。

■ まとめ

難治性蜂窩織炎の背景には、静脈うっ滞という慢性病態が存在することが少なくありません。

写真に写る皮膚は、「治療が失敗した結果」ではなく、病態を理解し、安定させた結果とも言えます。

在宅医療では、完璧な皮膚を目指すより、破綻しない皮膚を守る。その視点が、患者さんの生活を支えます。

在宅医療・慢性創傷管理については👉 さくら在宅クリニック公式サイトhttps://www.shounan-zaitaku.com/もぜひご覧ください。

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