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攻めの栄養療法を科学する67~【専門医解説】医薬品栄養剤を使いこなす!在宅での「攻めの栄養療法」

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分

在宅医療や施設への入所・退院の際、「医薬品の栄養剤(処方薬)」しか選択できない場面に遭遇することがあります。医薬品栄養剤は、単なる「薬」ではなく、工夫次第で非常に強力な栄養支援ツールになります。

今回は、経済的なメリットや、美味しく摂取するための具体的な工夫について解説します。

1. 医薬品栄養剤を選ぶ最大のメリット:経済的負担の軽減

在宅で「食品タイプ」の栄養剤を使用する場合、全額自己負担となります。一方、「医薬品タイプ」は医療保険が適用されるため、自己負担額を劇的に抑えることが可能です。

  • 負担額の差: 例えば1日1,000kcalを摂取する場合、食品タイプでは月額約36,000円(全額負担)かかるのに対し、医薬品タイプ(3割負担)なら約7,500円程度で済む計算になります。その差は月間28,000円以上に及びます。

  • 無料・低額になるケース: 生活保護世帯や身体障害者手帳(1・2級)をお持ちの方、所得の低い高齢者などは、さらに負担額が少なくなります。

2. 医薬品栄養剤のラインナップと特徴

医薬品栄養剤には、大きく分けて3つのタイプがあります。

  • 半消化態栄養剤(ラコールNF、エンシュアなど): タンパク質が含まれ、最も一般的に使われます。バニラ、コーヒー、抹茶など味が豊富なのも特徴です。

  • 消化態・成分栄養剤(エレンタール、ツインラインなど): 脂肪が極めて少なく、消化・吸収が容易なタイプです。アミノ酸特有の苦みがあるため、フレーバーの活用が鍵となります。

  • 病態別栄養剤: 肝不全用(アミノレバンEN、ヘパンED)や、高エネルギー・低容量タイプ(イノラス、エンシュアH)などがあります。

3. 美味しく、継続するための「攻めの工夫」

「味が苦手」「飽きてしまう」といった壁を乗り越えるための具体的なテクニックです。

  • 温度の魔法: 経口で飲む場合は、しっかり冷やしたほうが独特の香りが抑えられ、飲みやすくなります。逆に、ラコールNFのコーン味などは温めるとスープ感覚で楽しめます(※直火・レンジは成分破壊のため厳禁)。

  • シャーベット・ゼリー化: エンシュアなどの半消化態栄養剤は、冷凍してシャーベット状にしたり、とろみ剤を加えて凍らせたりすることで、甘みが抑えられ摂取しやすくなります。

  • フレーバーの使い分け: エレンタールなどにはコンソメ味、梅味、マンゴー味など多彩なフレーバーが用意されています。経管栄養の方でも、口の中で香りを感じることがあるため、フレーバーの使用はQOL(生活の質)向上に寄与します。

4. 介護負担を減らす「移行」の提案

環境の変化に合わせ、最適な栄養剤と投与方法を提案することも「攻めのリハ栄養」です。

  • 投与回数の削減: 1日4回の注入を、高エネルギー剤(イノラス等)に切り替えることで回数を減らし、ご家族の介護負担を軽減します。

  • 注入時間の短縮: 「ラコールNF半固形」と加圧バッグを使用することで、注入時間を短縮し、活動時間を確保できます。

医師の「処方」だからできること

医薬品栄養剤は、医師が責任を持って処方するものです。「お医者さんからの指示」という明確な動機づけは、患者様が前向きに栄養管理に取り組むきっかけにもなります。

さくら在宅クリニックでは、経済性、介護負担、そして「おいしさ」のすべてを考慮し、患者様に最適な栄養処方を提案いたします。

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