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攻めの栄養療法を科学する65~【専門医解説】慢性腎臓病(CKD)の「攻めの栄養療法」:低栄養(PEW)を防ぎ筋肉を守る

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 22 分前
  • 読了時間: 3分

慢性腎臓病(CKD)の食事療法といえば、かつては「厳しい制限」が中心でした。しかし現在では、過度な制限が原因で筋肉量や脂肪量が減少するPEW(タンパク・エネルギー消耗状態)に陥り、かえって予後を悪化させることが大きな課題となっています。

今回は、腎機能を守りつつ身体機能を維持するための「攻めの栄養管理」について解説します。

1. 低栄養(PEW)の早期発見と診断

PEWは保存期CKD患者の20〜80%に認められる非常に頻度の高い栄養障害です。以下の4項目のうち3つに該当するとPEWと診断されます。

  1. 生化学検査: 血清アルブミン < 3.8g/dL など

  2. 体格: BMI < 18.5kg/m² または 意図しない体重減少

  3. 筋肉量: 筋肉消耗や上腕筋囲面積の低下

  4. 摂取量: 意図しないエネルギー・タンパク質摂取不足

2. 「攻めの栄養管理」のポイント:エネルギーとタンパク質

CKDの重症度(ステージ) や活動量に応じて、適切な栄養量を設定します。

① エネルギー:低栄養とサルコペニアの予防

  • 目標: 保存期で25〜35kcal/kg、透析期で30〜35kcal/kg(標準体重)を目安とします。

  • 重要性: エネルギーが不足すると、摂取したタンパク質が筋肉にならず、エネルギー源として燃やされてしまいます。これが低栄養やサルコペニアの要因となります。

② タンパク質:病態に合わせた柔軟な制限

  • 標準的な制限: ステージG3b以降では0.6〜0.8g/kgが推奨されます。

  • 攻めの視点: 高齢者やサルコペニア合併例では、過度な制限を避け、ステージG3aで1.0g/kg、G3b〜G5で0.8g/kg程度を上限の目安として、十分な量を摂取することも検討されます。

3. 食欲不振時の工夫と栄養補助食品

CKD患者様は尿毒症や食事制限により食欲が落ちやすいですが、工夫次第で必要な栄養を補給できます。

  • 塩分制限の考え方: 1日6g未満が基本ですが、食欲がない方に味気ない制限食を出し続けると、さらに低栄養が進みます。摂取量が半分なら、味付けを一般食並みにしても実際の塩分摂取量は抑えられる、といった柔軟な対応も有効です。

  • 栄養補助食品の活用:

    • タンパク質不足時: BCAAを含むゼリーや飲料、卵豆腐などを活用します。

    • エネルギー不足時: たんぱく質を含まない粉飴ムースや、MCTオイルが有用です。MCTオイルは飲料に混ぜる際、ミルクフォーマー等でしっかり乳化させると摂取しやすくなります。

4. 静脈栄養・経管栄養での留意点

  • 経管栄養: 腎不全用剤(NPC/N比が高いもの)を活用し、タンパク質や電解質のバランスを調整します。

  • 静脈栄養: 脂肪乳剤を用いることで、水分量を抑えつつ高エネルギーを投与可能です。ただし、脂肪乳剤に含まれるリン(卵黄レシチン由来)の量には注意が必要です。

チーム医療で透析導入を遅らせる

管理栄養士を含む多職種チームの介入が、GFR(腎機能指標)の低下を抑制し、透析導入を遅らせることが報告されています。

「制限」を目的とするのではなく、患者様の「生活の質」を守るための栄養管理を。さくら在宅クリニックでは、ステージに合わせた最適な食事療法を提案いたします。

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