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攻めの栄養療法を科学する64~【専門医解説】糖尿病でも「しっかり食べて、動く」――攻めの栄養管理の実践

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分

糖尿病の食事療法といえば「厳しい制限」をイメージされるかもしれません。しかし、近年の研究では、過度な制限がサルコペニア(筋肉減少)やフレイル(虚弱)を招き、かえって予後を悪化させることがわかってきました。

今回は、健康寿命を延ばすための「攻めの栄養管理」の具体的なポイントを解説します。

1. エネルギー摂取量の新基準:制限から「適量」へ

従来の糖尿病食では「25〜30kcal/kg(標準体重)」が一般的でしたが、活動量が多い方や減量の必要がない方の場合は、日常生活や運動量に合わせ、**「30〜40kcal/kg」**での管理を検討します。

  • 炭水化物: 指示エネルギーの50〜60%を目安に、血糖変動を見ながら調整します。

  • たんぱく質: 腎機能に問題がなければ、筋肉合成を促すために最低でも**1.0g/kg(標準体重)**を確保します。ポイントは、3食均等に摂取することです。これが良好な血糖コントロールへの近道となります。

  • 脂質: エネルギー比率の20〜30%を目標とします。脂質が25%を超える場合は、動脈硬化予防のため飽和脂肪酸を減らす工夫が必要です。

2. 合併症予防に欠かせない「食物繊維」と「減塩」

  • 食物繊維: 1日20g以上を目標にします。食後の血糖急上昇やコレステロール増加を防ぐだけでなく、運動との併用で便通改善も期待できます。

  • 減塩: 高血圧や腎疾患がある場合は6.0g/日、それ以外でも男性7.5〜8g未満、女性6.5〜7g未満を目標とします。

3. 「低栄養」と「過栄養」それぞれの注意点

  • 低栄養の場合: 血糖値を気にするあまり栄養不足にならないよう、ゴール設定が重要です。1ヶ月に1kg程度の体重増加を目安とし、炭水化物だけに偏らないようモニタリングします。

  • 過栄養の場合: 1ヶ月に1〜3kgを目安に、**「筋肉を増やし、体脂肪を減らす」**ことを目指します。急激な減量によるサルコペニアを防ぐため、たんぱく質摂取量は1.0g/kgを下回らないようにします。

4. 薬物療法・合併症がある場合の「安全な攻め方」

  • 低血糖に注意: インスリンや一部の経口薬(SU剤など)を使用している場合、空腹時の運動は低血糖を招く恐れがあります。運動前後のエネルギー補給や厳重なモニタリングが必要です。

  • 自律神経障害がある場合: 無自覚性低血糖が起こりやすいため、運動前・中・後のこまめな補食を検討します。

「リハからみた栄養」の視点を大切に

運動療法ができる限り、ほとんどの糖尿病患者様に「攻めの栄養療法」は適応可能です。身体機能と栄養状態を正しく評価し、常にリハビリと栄養の相乗効果を狙うことが、血糖コントロール改善の鍵となります。

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