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攻めの栄養療法を科学する68~【専門医解説】認知症で「食べてくれない」時の向き合い方――原因の理解と攻めの食支援
認知症が進むと、単に食欲がないだけでなく、「食べ方がわからない」「途中で止まってしまう」といった特有の症状が現れます。これらは本人の意志ではなく、脳の障害によるものです。 今回は、認知症の種類ごとの特徴と、最後まで「その人らしく」食べるための工夫を解説します。 1. 認知症の種類で変わる「食べられない理由」 認知症にはいくつかのタイプがあり、それぞれ食事場面での困りごとが異なります。 アルツハイマー型 (AD) : 進行とともに「食べ物であること」がわからなくなったり、道具の使い方がわからなくなったりします(失認・失行)。 レビー小体型 (DLB) : 幻視(虫がいる等)で食べられなくなったり、パーキンソン症状による飲み込みの障害(嚥下障害)が強く出ることがあります。 前頭側頭型 (FTLD) : 同じものばかり食べる「常同行動」や、食習慣が極端に変化することがあります。 血管性 (VaD) : 脳の障害部位によって、飲み込みの麻痺や、食べ物への認識障害が個人差大きく現れます。 2. FASTステージから見る「食の支援」の目安...
2月9日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する67~【専門医解説】医薬品栄養剤を使いこなす!在宅での「攻めの栄養療法」
在宅医療や施設への入所・退院の際、「医薬品の栄養剤(処方薬)」しか選択できない場面に遭遇することがあります。医薬品栄養剤は、単なる「薬」ではなく、工夫次第で非常に強力な栄養支援ツールになります。 今回は、経済的なメリットや、美味しく摂取するための具体的な工夫について解説します。 1. 医薬品栄養剤を選ぶ最大のメリット:経済的負担の軽減 在宅で「食品タイプ」の栄養剤を使用する場合、全額自己負担となります。一方、「医薬品タイプ」は医療保険が適用されるため、自己負担額を劇的に抑えることが可能です。 負担額の差 : 例えば1日1,000kcalを摂取する場合、食品タイプでは月額約36,000円(全額負担)かかるのに対し、医薬品タイプ(3割負担)なら約7,500円程度で済む計算になります。その差は月間 28,000円以上 に及びます。 無料・低額になるケース : 生活保護世帯や身体障害者手帳(1・2級)をお持ちの方、所得の低い高齢者などは、さらに負担額が少なくなります。 2. 医薬品栄養剤のラインナップと特徴 医薬品栄養剤には、大きく分けて3つのタイプがあ
2月8日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する65~【専門医解説】慢性腎臓病(CKD)の「攻めの栄養療法」:低栄養(PEW)を防ぎ筋肉を守る
慢性腎臓病(CKD)の食事療法といえば、かつては「厳しい制限」が中心でした。しかし現在では、過度な制限が原因で筋肉量や脂肪量が減少するPEW(タンパク・エネルギー消耗状態)に陥り、かえって予後を悪化させることが大きな課題となっています。 今回は、腎機能を守りつつ身体機能を維持するための「攻めの栄養管理」について解説します。 1. 低栄養(PEW)の早期発見と診断 PEWは保存期CKD患者の20〜80%に認められる非常に頻度の高い栄養障害です。以下の4項目のうち3つに該当するとPEWと診断されます。 生化学検査 : 血清アルブミン < 3.8g/dL など 体格 : BMI < 18.5kg/m² または 意図しない体重減少 筋肉量 : 筋肉消耗や上腕筋囲面積の低下 摂取量 : 意図しないエネルギー・タンパク質摂取不足 2. 「攻めの栄養管理」のポイント:エネルギーとタンパク質 CKDの重症度(ステージ) や活動量に応じて、適切な栄養量を設定します。 ① エネルギー:低栄養とサルコペニアの予防 目標 : 保存期で25〜35kcal/kg、透析期で3
2月6日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する64~【専門医解説】糖尿病でも「しっかり食べて、動く」――攻めの栄養管理の実践
糖尿病の食事療法といえば「厳しい制限」をイメージされるかもしれません。しかし、近年の研究では、過度な制限がサルコペニア(筋肉減少)やフレイル(虚弱)を招き、かえって予後を悪化させることがわかってきました。 今回は、健康寿命を延ばすための「攻めの栄養管理」の具体的なポイントを解説します。 1. エネルギー摂取量の新基準:制限から「適量」へ 従来の糖尿病食では「25〜30kcal/kg(標準体重)」が一般的でしたが、活動量が多い方や減量の必要がない方の場合は、日常生活や運動量に合わせ、**「30〜40kcal/kg」**での管理を検討します。 炭水化物 : 指示エネルギーの50〜60%を目安に、血糖変動を見ながら調整します。 たんぱく質 : 腎機能に問題がなければ、筋肉合成を促すために最低でも**1.0g/kg(標準体重)**を確保します。ポイントは、 3食均等に摂取すること です。これが良好な血糖コントロールへの近道となります。 脂質 : エネルギー比率の20〜30%を目標とします。脂質が25%を超える場合は、動脈硬化予防のため飽和脂肪酸を減らす工
2月5日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する63~【専門医解説】糖尿病の「攻めの栄養療法」:血糖値だけを見ない新しい管理
今回は、合併症予防と筋肉量維持を両立させる「攻めの栄養療法」のポイントを解説します。 1. 血糖コントロールの目標設定 糖尿病治療の本来の目的は、合併症の発症と悪化を防ぐことです 。日本糖尿病学会では、合併症予防の目安として以下の数値を掲げています 。 HbA1c : 7.0%未満 空腹時血糖値 : 130mg/dL未満 食後2時間血糖値 : 180mg/dL未満 「攻めの栄養療法」では、これらの数値目標に加えて、**「筋肉量の測定」**を重視します 。血糖値を抑えることだけをゴールにせず、活動量に見合ったエネルギーを摂取し、サルコペニアの発症・悪化を防ぐことが重要です 。 2. 攻めの栄養療法に必要な「評価項目」 多角的な視点で患者様の状態を把握することが、適切な栄養設計の第一歩です 。 身体計測 : BMI、血圧だけでなく、 握力や歩行速度、筋肉量 を評価します 。 食事・活動量 : 実際の摂取エネルギー量に加え、運動量や運動時間、生活習慣を確認します 。 低血糖のリスク : 薬物療法の内容と、低血糖の有無や頻度を把握します 。 3. 高齢者
2月4日読了時間: 2分


攻めの栄養療法を科学する59~静脈栄養で投与される栄養素とその上限
― 「入る量」ではなく「入れてよい量」を知る ― 静脈栄養は、経口摂取や経管栄養が困難な状況において、生命維持・栄養改善のために不可欠な手段です。しかし一方で、 静脈栄養は過剰投与による合併症を起こしやすい という特徴も持っています。 「どこまで入れられるか」ではなく、👉 「どこまで入れてよいか」 を理解することが、攻めの栄養療法において極めて重要です。 以下に、静脈栄養で投与される主要な栄養素と、その 上限の考え方 を整理します。 糖質(グルコース) 静脈栄養で使用される糖質には、 単糖類:ブドウ糖、果糖 二糖類:マルトース 糖アルコール:ソルビトール、キシリトール などがありますが、 主成分はブドウ糖 です。 ブドウ糖の過剰投与による問題 高血糖 肝機能障害 換気亢進(CO₂産生増加) これらを防ぐため、 ブドウ糖投与量には明確な上限 があります。 推奨上限量 非侵襲時 :7 g/kg/日 以下 侵襲時 :5.5 g/kg/日 以下 例:体重50 kgの場合 非侵襲時:350 g/日 以下(7 × 50) 侵襲時:275 g/日 以下(5.
1月30日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する58~はじめに ― 静脈栄養をどう使い、どう“使いすぎない”か ―
静脈栄養は、 経口摂取や経管栄養が不可能、または不十分な場合 に用いられる重要な栄養療法です。静脈栄養には大きく分けて、 末梢静脈栄養(PPN:Peripheral Parenteral Nutrition) 中心静脈栄養(TPN:Total Parenteral Nutrition) の2つがあります。 どちらを選択するかは、 患者の病態 予想される実施期間 栄養療法の目的 必要とされる投与栄養量 を総合的に考慮して判断する必要があります。 また、静脈栄養では 投与可能な栄養量に上限がある ことを常に意識し、👉 継続的なモニタリングと評価を行いながら投与量を調整すること が不可欠です。 本稿では、 PPNとTPNそれぞれの特徴 投与可能な栄養量の限界 攻めの栄養療法における静脈栄養の位置づけと注意点 について解説します。 静脈栄養の適応 静脈栄養は、 経口摂取または経管栄養によって必要栄養量を確保できない場合 に選択されます。 ただし、 「静脈栄養ができる=十分な栄養が入る」ではない点には注意が必要です。 静脈栄養の種類と特徴 ● 末梢静脈栄
1月29日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する57~半固形栄養剤を用いた「攻めの栄養療法」
― 短時間・高エネルギー投与を安全に成立させる ― 半固形栰養剤を使用する場合は、 口径の大きい胃瘻アクセス を使用することが前提となります。半固形栄養剤には、以下のような明確なメリットがあります。 胃食道逆流の予防 短時間での投与が可能 下痢の予防 消化管の より生理的な動き を保ちやすい 近年では、半固形栄養剤を用いた 自然滴下法 や 加圧バッグによる短時間注入 が、在宅・施設の現場でも広く浸透してきています。 半固形栄養剤使用時の注意点 半固形栄養剤には 高粘度タイプ の製剤があり、 瘻孔からの漏れ防止 胃蠕動運動の促進 逆流防止 といった点で大きなメリットがあります。 一方で、 粘度が高いため 加圧バッグの使用や絞り出す労力 が必要 栄養剤自体の水分量が少ないため、 水分補充を別途行う必要がある という点には注意が必要です。 水分補充のタイミングとしては、 食前30分 食後2時間 などを目安に検討します。また、逆流リスクが高い症例では、 水分にもとろみを付けた方が安全 な場合があります。 半固形栄養剤の投与例(高粘度タイプ) 【投与方法
1月28日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する56~攻めの投与方法
― 高エネルギーを「無理なく・安全に」入れる工夫 ― 高エネルギー投与を行う際、 1 kcal/mL の栄養剤のみを使用すると投与ボリュームが非常に大きくなる という問題があります。特に、 体格の小さい高齢者 胃食道逆流や誤嚥リスクの高い患者 では、そのままでは投与が困難となることも少なくありません。 以下では、 必要エネルギー量:2600~3000 kcal 必要たんぱく質量:60~120 g 必要水分量:1800~2000 mL 1回注入量:約500 mL を想定した、 攻めの投与の実践例 を示します。 液体栄養剤による攻めの投与 ① 間欠投与(ボーラス投与) 基本的な考え方 胃の排泄時間を考慮し、 まず水を投与 20〜30分の間隔をあけて 高濃度栄養剤を注入 不足する水分は、 就寝前や注入間で追加投与 この方法は、 高価な栄養剤を使用せずに実施可能 であり、👉 攻めの栄養療法における 第一選択 として対応しやすい方法です。 【投与方法①】標準的な攻めの間欠投与 水 150 mL 20〜30分後 アイソカル® 2K(1000 kcal/50
1月27日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する55~攻めの栄養療法と経管栄養
― 「まず腸を使う」ことが回復への近道になる ― 攻めの栄養療法における原則 「攻めの栄養療法」においては、 実施可能であれば経腸栄養(EN)を最優先する ことが原則です。 経口摂取が十分に可能な場合 → 食事から必要栄養量を確保する 経口摂取が不十分な場合 → 調理の工夫、補助栄養食品、栄養補助飲料を追加 それでも不足する場合 → 静脈栄養や経管栄養で不足分を補う 重要なのは、「経口か/非経口か」という二択ではなく、👉 “必要な栄養量をどう確保するか”という全体設計 です。 経管栄養を選択する際に欠かせない説明 経管栄養を選択する際には、 患者さん・ご家族への十分で正確な説明 が不可欠です。 現在の医療現場には、いわゆる 「胃瘻バッシング」 とも言える風潮が存在します。 その結果、 胃瘻を用いた栄養管理が 医学的に最適 であるにもかかわらず 胃瘻を選択できない、あるいは拒否されてしまう といった事例も少なくありません。 この背景には、 栄養管理そのものが正しく理解されていない という問題があります。経管栄養に対するネガティブなイメージを抱いた
1月26日読了時間: 5分


攻めの栄養療法を科学する40~過栄養時の栄養管理
― 「減らすだけ」では解決しない ― 過栄養 とは、主に エネルギー摂取過剰 や 活動量不足 により脂肪が過剰に蓄積し、健康障害の発症リスクが高まった状態を指します。 特に注意が必要なのが サルコペニア肥満 です。単なる肥満と比べて、 ADL低下 転倒・骨折 生命予後の悪化 を来しやすく、 「体重を減らせばよい」という単純な問題ではありません。 ① エネルギー摂取過剰に対するアプローチ 体重減量を目的とする場合も、 理論的なエネルギー設計 が必要です。 体重1kg減量に必要なエネルギー量を 約7,000kcal として、以下の式で 1日あたりのエネルギー削減量 を算出します。 7,000(kcal)× 体重減量目標(kg) ÷ 目標達成までの日数(日) 具体例 2か月で5kgの減量 を目指す場合 7,000 × 5 ÷ 60→ 約580kcal/日 この 580kcal/日 を算出したTEEから差し引き、栄養量を設定します。 たんぱく質不足に注意する エネルギー削減だけに注目すると、 たんぱく質量が不足しやすくなる 点に注意が必要です。 筋
1月11日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する39~低栄養のタイプ別に考える栄養管理
― 「すべて同じ栄養介入」は危険である ― 低栄養と一言で言っても、 背景となる病態はさまざま です。原因を見誤ると、適切な栄養管理どころか、 かえって状態を悪化させる こともあります。 ここでは、臨床で重要となる 4つの低栄養タイプ別に、栄養管理の考え方 を整理します。 ① 慢性疾患で炎症を伴う低栄養(悪液質) 悪液質(cachexia)は、以下の3つのステージに分類されます。 前悪液質 悪液質 不応性悪液質 前悪液質で介入することが重要 不応性悪液質に進行すると、栄養不良は不可逆的 となります。そのため、 前悪液質の段階で栄養サポートを開始し、悪化を可能な限り遅らせること が重要です。 ただし、悪液質は 栄養療法単独では改善が困難 な病態であり、 疾患治療 炎症コントロール リハビリ 症状緩和 など、 多方面からの介入 が必要です。 不応性悪液質では「ギアチェンジ」が必要 不応性悪液質に至った場合、それまでと同じ発想で栄養管理を続けることは適切ではありません。 ギアチェンジを行わずに栄養投与を続けると、生体の代謝能力を超えた負荷となり、かえっ
1月9日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する38~必要たんぱく質量の考え方
― 攻めの栄養療法を支える“もう一つの柱” ― エネルギー量と並んで重要なのが、 たんぱく質投与量の設定 です。たんぱく質は、筋肉量の維持・増加、免疫機能、創傷治癒などに直結するため、 「足りていればよい」では不十分 な栄養素です。 高齢者における必要たんぱく質量の目安 日本人の食事摂取基準(2020年版) 日本人の食事摂取基準(2020年版)では、 フレイル・サルコペニア予防 を目的とした場合、 高齢者(65歳以上)では少なくとも 1.0 g/kg(現体重)/日以上 のたんぱく質摂取が望ましいとされています。 PROT-AGE研究グループの提言 PROT-AGE研究グループのポジションペーパーでは、活動量や病態に応じて、より高い摂取量が推奨されています。 活動量の多い高齢者 → 1.2 g/kg(現体重)/日以上 著しい低栄養状態の高齢者 → 最大 2.0 g/kg(現体重)/日以上 が必要となる場合もあります。 攻めの栄養療法におけるたんぱく質量 整理すると、 通常の栄養療法 → 1.0 g/kg(現体重)/日以上 攻めの栄養療法 → 1.2
1月8日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する37~ストレス係数(SF)とエネルギー蓄積量
―「攻めの栄養管理」を成立させるための考え方 ― 栄養投与量を考える際、**活動係数(AF)**と並んで重要となるのが ストレス係数(Stress Factor:SF) と エネルギー蓄積量 です。 ストレス係数(SF)とは何か ストレス係数(SF)とは、 疾患や外傷、手術侵襲などによって生じる代謝亢進の程度 を反映させるための係数です。 感染 炎症 外傷 手術侵襲 治療に伴う代謝変化 これらにより、 安静時でもエネルギー消費量は増大 します。 SFは一律に決められるものではなく、 栄養障害の程度 病態の重症度 治療内容と侵襲度 を総合的に評価したうえで、 患者ごとに設定 する必要があります。 ストレス係数(SF)の目安 代表的な文献をもとにした、SFの目安は以下の通りです。 軽度ストレス(安定期・軽度感染など) → 1.0~1.1 中等度ストレス(肺炎、腹膜炎など) → 1.2~1.4 高度ストレス(多発外傷、重症感染、術後早期など) → 1.5以上 ※ 侵襲の程度が強いほど、SFは高く設定されます。 一方で、 終末期や高度炎症状態...
1月7日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する35~ゴールとは「目指すべき仮の結論」である
― 攻めの栄養療法におけるSMARTなゴール設定 ― 「ゴール」とは、**最終的な答えではなく、現時点で目指すべき“仮の結論”**です。もちろん、病状や生活背景によっては、 現状維持そのものがゴール となる場合もあります。 従来の栄養ケア・マネジメントでは、このゴール設定が十分に強調されていなかったり、曖昧なまま進められていたケースも少なくありませんでした。 攻めの栄養療法 を実践するためには、 対象者の 栄養状態 機能・活動・参加(ICF) それらを踏まえた 予後予測 を多職種で共有したうえで、 SMARTなゴール設定 を行うことが不可欠です。 そして、そのゴールをもとに 仮説 → 介入 → 検証 → 修正 を繰り返していくことが、攻めの栄養療法の本質です。 攻めの栄養管理に必要な視点 攻めの栄養管理では、 消費分を満たすだけの栄養投与では不十分 です。 筋肉や脂肪を「増やす」ための蓄積分のエネルギー・たんぱく質 を見込んだ栄養量設定が必要となります。 その際、重要なのは以下の組み合わせです。 たんぱく質量の十分な確保 レジスタンストレーニング
1月5日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する26~各種疾患・合併症における禁忌事項
慢性心不全|「増やす栄養」と「抑える栄養」のバランスが鍵 慢性心不全とは 心不全は、 「心臓に器質的・機能的異常が生じ、心ポンプ機能の代償機構が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感・浮腫が出現し、運動耐容能が低下する臨床症候群」 と定義されます。 慢性心不全における栄養管理の柱は、 体液バランス(ナトリウム管理) 適正なエネルギー・たんぱく質量の確保 です。 慢性心不全における栄養量の基本 エネルギー・たんぱく質量 サルコペニアやフレイルを合併しやすい慢性心不全では、 エネルギー :30 kcal/kg/day 以上 たんぱく質 :1.2~1.5 g/kg/day が推奨されています。 腎機能障害を伴う場合の注意点 ただし、 eGFR < 45 mL/分/1.73m²(CKD G3b 以上) を認める場合は、 たんぱく質:0.6~0.8 g/kg/day へ制限する必要があります。 👉 腎機能を無視した高たんぱく設定は禁忌 であり、「攻めの栄養療法」の落とし穴となります。 ナトリウム(塩分)管理の考え方 ナトリウムは細胞外液の浸透圧維持に関与するため
2025年12月26日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する25~各種疾患・合併症における禁忌事項
脂質異常症|「量を増やす」だけでは悪化する 脂質異常症とは 血中の リポたんぱく は、コレステロールや中性脂肪といった脂質を運搬し、全身を循環しています。通常、脂質は生体内のホメオスタシスにより一定範囲に保たれていますが、何らかの原因で血中脂質レベルが異常になると 脂質異常症 と診断されます。 脂質異常症では、 LDLコレステロール(LDL-C)の高値 中性脂肪(TG)の高値 HDLコレステロール(HDL-C)の低値 が、 冠動脈疾患や動脈硬化の主要な危険因子 となります。 脂質異常症と栄養療法の基本 脂質異常症に対する栄養療法の基本は、👉 「過剰なエネルギー摂取を避けること」 です。 一般的に推奨される栄養組成は以下の通りです。 脂質エネルギー比:20~25% 糖質エネルギー比:50~60% 加えて、 飽和脂肪酸の制限 一価・多価不飽和脂肪酸への置換 トランス脂肪酸の低減 が重要とされています。 脂質エネルギー比の低下は LDL-C の低下 に寄与し、炭水化物エネルギー比の調整は 高TG血症や低HDL-C に一定の改善効果を示します。 脂質
2025年12月25日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する24~侵襲|高度侵襲下では「攻めの栄養療法」は禁忌
侵襲とは何か 侵襲 とは、重症感染症・大手術・多発外傷・熱傷など、 生体を傷害し、生体恒常性を大きく乱す刺激 を指します。 侵襲が加わると、生体内では以下が生じます。 内因性エネルギー供給(endogenous energy supply)の増大 ストレスホルモン・炎症性サイトカインの大量分泌 一方、栄養療法は**外因性エネルギー供給(exogenous energy supply)**に相当します。生体のエネルギー需要は、👉 内因性+外因性エネルギーの合計で満たされる という点が重要です。 「必要量=外因性投与」は危険 侵襲下で、 エネルギー必要量と同量の外因性エネルギーを投与 すると、実質的には overfeeding(過剰栄養) となる可能性があります。 その結果、最も問題となる合併症が 高血糖 です。 侵襲時に高血糖が起こる理由 侵襲時には、 肝臓・骨格筋のグリコーゲンが消費される 肝グリコーゲンは 12~24時間程度で枯渇 その後は 乳酸 アミノ酸 を材料とした 糖新生 によりグルコースが供給されます。 飢餓時と異なる重要な点は
2025年12月24日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する23~はじめに|「攻めの栄養療法」は万能ではない
「攻めの栄養療法」 とは、体重や筋肉量を増やすことを目的に、 エネルギー消費量に加えて“エネルギー蓄積量”を考慮して必要量を設定する栄養療法 です。 ただし、単純にエネルギー量を増やせばよいわけではありません。 糖質・脂質・たんぱく質の配分 患者の病態や合併症 リハビリテーション・運動療法の併用 これらを考慮せずに行うと、 病態の悪化 代謝性合併症 脂肪のみの増加 を招く可能性があります。 特に、 リハビリや運動療法を併用しない「攻めの栄養療法」は、筋肉ではなく脂肪を増やすだけ になりやすく、必ずしも患者の利益にはなりません。 そのため、「攻めの栄養療法」は👉 すべての患者に適応される治療ではない 👉 禁忌を理解したうえで、適切な対象に限定して実践する ことが重要です。 本稿では、 攻めの栄養療法を行う際に必ず理解しておくべき禁忌事項 を、特に重要な「低栄養・飢餓状態」を中心に解説します。 低栄養患者における禁忌①|飢餓状態 飢餓とは何か 飢餓 とは、社会的・経済的要因や疾患を背景に、 長期間にわたり栄養摂取が不足し、慢性的な栄養障害をきたし
2025年12月23日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する21~はじめに|栄養療法は「治療の基盤」
栄養療法は、健康の維持・増進のみならず、生活習慣病やさまざまな疾患の 治癒・改善を支える重要な治療の一部 です。患者が何らかの栄養障害に陥った場合、 適切な栄養スクリーニングと栄養アセスメントを行い、早期に栄養状態を維持・改善する方策を講じること は、医療の基本とされています。 近年の研究により、栄養療法は以下の点で患者予後を改善することが示されています。 創傷治癒の促進 感染症合併の予防 治療反応性の向上 在院日数の短縮 医療費の削減 病期(セッティング)によって異なる「攻めの栄養療法」 2018年度の厚生労働省・病床機能報告では、平均在院日数の中央値は以下の通りでした。 高度急性期:9日 急性期:14日 回復期:51日 慢性期:234日 このように 医療のセッティングによって在院日数・患者背景・関与する職種・ゴール設定は大きく異なります 。そのため、「攻めの栄養療法」の対象患者や適応も、セッティングごとに考える必要があります。 本稿では、 急性期医療における栄養療法の考え方 を中心に解説します。 急性期医療における栄養療法の特徴 ICU患者に
2025年12月21日読了時間: 5分
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