攻めの栄養療法を科学する57~半固形栄養剤を用いた「攻めの栄養療法」
- 賢一 内田
- 1 日前
- 読了時間: 3分

― 短時間・高エネルギー投与を安全に成立させる ―
半固形栰養剤を使用する場合は、口径の大きい胃瘻アクセスを使用することが前提となります。半固形栄養剤には、以下のような明確なメリットがあります。
胃食道逆流の予防
短時間での投与が可能
下痢の予防
消化管のより生理的な動きを保ちやすい
近年では、半固形栄養剤を用いた自然滴下法 や 加圧バッグによる短時間注入が、在宅・施設の現場でも広く浸透してきています。
半固形栄養剤使用時の注意点
半固形栄養剤には高粘度タイプの製剤があり、
瘻孔からの漏れ防止
胃蠕動運動の促進
逆流防止
といった点で大きなメリットがあります。
一方で、
粘度が高いため加圧バッグの使用や絞り出す労力が必要
栄養剤自体の水分量が少ないため、水分補充を別途行う必要がある
という点には注意が必要です。
水分補充のタイミングとしては、
食前30分
食後2時間
などを目安に検討します。また、逆流リスクが高い症例では、水分にもとろみを付けた方が安全な場合があります。
半固形栄養剤の投与例(高粘度タイプ)
【投与方法①】高粘度・半固形栄養剤
水 300 mL
30分後
アイソカル® セミソリッド サポート (1000 kcal/500 mL)× 3回
1日合計
エネルギー:3000 kcal
たんぱく質:108 g
水分量:1890 mL
👉 逆流リスクが高い症例でも、高エネルギー投与を成立させやすい設計
とろみ状流動食(低~中粘度タイプ)
逆流リスクが低い症例では、とろみ程度の粘度の流動食を選択することも可能です。自然落下法で短時間注入でき、加水タイプであれば介護者の負担軽減にもつながります。
【投与方法②】とろみ状流動食
水 200 mL
30分後
メイフロー® (1000 kcal/557 g)× 3回
1日合計
エネルギー:3000 kcal
たんぱく質:120 g
水分量:1800 mL
「経管栄養は最後の手段」ではない
― 臨床現場での一例 ―
以前、急に発症した摂食障害の高齢女性に対し、主治医が経鼻胃管による一時的な栄養確保を提案したことがありました。
その際、息子さんは
「大事な母に、管を入れるなんてできない」
と強く拒否されていました。
その後、私から改めて
一時的な栄養確保の重要性
経管栄養の目的と期間
将来的な回復の見通し
を丁寧に説明したところ、
「栄養のプロがそう言うなら、お願いします」
と同意が得られました。
結果として、約3週間の経鼻胃管による積極的な栄養療法を行い、リハビリも並行して実施することで、3食経口摂取へ移行し、自宅退院することができました。
退院時、息子さんは
「思い込みによる、間違った知識だった」
と話されていました。
医療者がまず正しい知識を持つこと
臨床現場では、「経管栄養=最後の手段」という印象を、患者さんやご家族が持っていることは少なくありません。
だからこそ、
経管栄養のメリット・デメリット
合併症とその対策
期間・ゴール設定
を医療者が正しく理解し、説明できることが重要です。
その上で、患者さん・ご家族が納得して選択できる栄養療法を提案することが、「攻めの栄養療法」を成立させる土台になると考えています。
▶︎ 公式サイト
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