攻めの栄養療法を科学する38~必要たんぱく質量の考え方
- 賢一 内田
- 1 日前
- 読了時間: 3分

― 攻めの栄養療法を支える“もう一つの柱” ―
エネルギー量と並んで重要なのが、たんぱく質投与量の設定です。たんぱく質は、筋肉量の維持・増加、免疫機能、創傷治癒などに直結するため、「足りていればよい」では不十分な栄養素です。
高齢者における必要たんぱく質量の目安
日本人の食事摂取基準(2020年版)
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、フレイル・サルコペニア予防を目的とした場合、
高齢者(65歳以上)では少なくとも 1.0 g/kg(現体重)/日以上
のたんぱく質摂取が望ましいとされています。
PROT-AGE研究グループの提言
PROT-AGE研究グループのポジションペーパーでは、活動量や病態に応じて、より高い摂取量が推奨されています。
活動量の多い高齢者→ 1.2 g/kg(現体重)/日以上
著しい低栄養状態の高齢者→ 最大 2.0 g/kg(現体重)/日以上が必要となる場合もあります。
攻めの栄養療法におけるたんぱく質量
整理すると、
通常の栄養療法→ 1.0 g/kg(現体重)/日以上
攻めの栄養療法→ 1.2~2.0 g/kg(現体重)/日
が一つの目安となります。
特に、
筋肉量を増やしたい
ADL改善を目指したい
リハビリ負荷が高い
といった場合には、エネルギーだけでなく、たんぱく質量を明確に意識する必要があります。
低栄養を見たら、まず「原因」を考える
低栄養を認めた場合、最初に行うべきことは 摂取量を増やすことではなく、原因の整理です。
低栄養の原因は、以下の4つに大別されます。
① 慢性疾患+炎症を伴う低栄養
がん
心不全
COPD など
👉 炎症による異化亢進が背景にある
② 急性疾患・外傷による高度炎症性低栄養
重症感染症
外傷
術後早期 など
👉 ストレス係数(SF)・たんぱく質需要がともに高い
③ 炎症が乏しい慢性疾患による低栄養
神経疾患
加齢に伴う活動量低下 など
👉 摂取不足・活動低下が主因
④ 飢餓による低栄養
食事量低下
経済的・社会的要因 など
👉 エネルギー・たんぱく質ともに不足
原因により、エネルギー・たんぱく質の設定や介入方法は大きく異なります。
必要エネルギー量算出の基本式(再確認)
必要エネルギー量は、以下の考え方で算出します。
必要エネルギー量 =
基礎代謝量(BEE)
× ストレス係数(SF)
× 活動係数(AF)
± エネルギー付加/削減量
BEE算出(Harris–Benedict式)
男性
66.5 + 13.8 × 体重(kg) + 5.0 × 身長(cm) − 6.8 × 年齢
女性
665.1 + 9.6 × 体重(kg) + 1.8 × 身長(cm) − 4.7 × 年齢
体重変化を目指す場合の考え方
体重増加を目指す場合
TEE +(目標増加体重(kg)× 7,000 kcal ÷ 目標日数)
体重減量を目指す場合
TEE −(目標減少体重(kg)× 7,000 kcal ÷ 目標日数)
たんぱく質も「仮説」で設定する
たんぱく質投与量も、計算式で決めて終わりではありません。
体重
筋肉量
浮腫
腎機能
疲労感
リハビリ耐性
などを必ずモニタリングし、
仮説 → 実施 → 評価 → 修正
のサイクルを回し続けることが重要です。
これは、これまで述べてきたSMARTなゴール設定・仮説思考・攻めの栄養療法すべてと一貫した考え方です。




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