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攻めの栄養療法を科学する35~ゴールとは「目指すべき仮の結論」である

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 1月5日
  • 読了時間: 4分

― 攻めの栄養療法におけるSMARTなゴール設定 ―

「ゴール」とは、**最終的な答えではなく、現時点で目指すべき“仮の結論”**です。もちろん、病状や生活背景によっては、現状維持そのものがゴールとなる場合もあります。

従来の栄養ケア・マネジメントでは、このゴール設定が十分に強調されていなかったり、曖昧なまま進められていたケースも少なくありませんでした。

攻めの栄養療法を実践するためには、

  • 対象者の 栄養状態

  • 機能・活動・参加(ICF)

  • それらを踏まえた 予後予測

を多職種で共有したうえで、SMARTなゴール設定を行うことが不可欠です。

そして、そのゴールをもとに仮説 → 介入 → 検証 → 修正を繰り返していくことが、攻めの栄養療法の本質です。

攻めの栄養管理に必要な視点

攻めの栄養管理では、消費分を満たすだけの栄養投与では不十分です。筋肉や脂肪を「増やす」ための蓄積分のエネルギー・たんぱく質を見込んだ栄養量設定が必要となります。

その際、重要なのは以下の組み合わせです。

  • たんぱく質量の十分な確保

  • レジスタンストレーニング等を含む リハビリテーション(リハ) の併用

栄養とリハビリは、セットで初めて意味を持つ介入です。

SMARTの原則に基づくゴール設定

攻めの栄養療法におけるゴール設定は、SMARTの原則に従って行います。

S:Specific(具体的である)

誰が見ても分かるように、明確で具体的な表現で示します。「栄養状態の改善」だけでは、ゴールは不明確です。

体重、筋肉量、GLIM基準などを用いて、栄養状態を低下させている原因を具体的に評価することで、介入方法が明確になります。

M:Measurable(測定可能である)

目標は、達成の可否を判断できる形で定量化します。

「栄養改善」といった定性的評価ではなく、「体重が3kg増加する」など、数値で評価可能な指標を用います。

A:Achievable(達成可能である)

目標は理想論ではなく、努力すれば達成可能な水準に設定します。

低すぎてもモチベーションが維持できず、高すぎても現実的な介入につながりません。

期間や介入の実現性を踏まえ、「1か月で体重が2kg増加する」など、現実的に設定します。

R:Relevant(切実・重要である)

ゴールは、ICFで評価した機能・活動・参加、QOLの向上や維持と結びついている必要があります。

「血清アルブミン値が3.0g/dL以上になる」といった目標は、患者さんやご家族が成果を実感しにくいものです。

例えば、

  • 「ソフト食を3食経口摂取し、経管栄養から離脱する」

  • 「T字杖で30m歩行が自立し、自宅内歩行やゴミ出しが可能になる」

といった、生活に直結したゴール設定が重要です。

T:Time-bound(期限が明確である)

期限のない目標は、ゴールとは言えません。

  • 短期目標:日・週単位

  • 長期目標:月単位

を目安に、達成期限を明確に設定します。

先の見通しが不明な場合は、「いつまでに」「何を」見極めるのかを明確にし、“見極めそのもの”をゴールとして設定しても構いません。

仮説思考によるゴール設定とモニタリング

仮説思考とは、現在得られている情報から最も妥当と思われる結論を立て、行動する思考法です。

仮説とは、**「現時点で最も妥当だと考えられる仮の結論」**にすぎません。

そのため、

  • 正しいか

  • 修正が必要か

を常に検証しながら進める必要があります。

仮説思考のサイクル

  • Plan:ゴール設定(仮説の構築)

  • Do:介入(仮説の検証)

  • See:結果の評価・判断

この Plan → Do → See のサイクルを繰り返すことが、モニタリングです。

ゴール設定に唯一の正解はありません。だからこそ、

仮説の構築 → 検証 → 判断 → 仮説の再構築(進化)

というサイクルを回し続けることが、攻めの栄養療法の核心となります。

湘南・在宅医療の現場から

こうした考え方は、急性期だけでなく、在宅医療・地域医療の現場でも極めて重要です。多職種が関わる在宅の現場では、共通言語としてのゴール設定がケアの質を大きく左右します。

湘南エリアの在宅医療・在宅ケアに関する取り組みや情報は、👉 湘南在宅医療ナビでも紹介されています。地域での医療・介護連携に関心のある方は、ぜひご覧ください。


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