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攻めの栄養療法を科学する58~はじめに ― 静脈栄養をどう使い、どう“使いすぎない”か ―

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 5 時間前
  • 読了時間: 3分

静脈栄養は、経口摂取や経管栄養が不可能、または不十分な場合に用いられる重要な栄養療法です。静脈栄養には大きく分けて、

  • 末梢静脈栄養(PPN:Peripheral Parenteral Nutrition)

  • 中心静脈栄養(TPN:Total Parenteral Nutrition)

の2つがあります。

どちらを選択するかは、

  • 患者の病態

  • 予想される実施期間

  • 栄養療法の目的

  • 必要とされる投与栄養量

を総合的に考慮して判断する必要があります。

また、静脈栄養では投与可能な栄養量に上限があることを常に意識し、👉 継続的なモニタリングと評価を行いながら投与量を調整することが不可欠です。

本稿では、

  • PPNとTPNそれぞれの特徴

  • 投与可能な栄養量の限界

  • 攻めの栄養療法における静脈栄養の位置づけと注意点

について解説します。

静脈栄養の適応

静脈栄養は、経口摂取または経管栄養によって必要栄養量を確保できない場合に選択されます。

ただし、

「静脈栄養ができる=十分な栄養が入る」ではない点には注意が必要です。

静脈栄養の種類と特徴

● 末梢静脈栄養法(PPN)

PPNは、上肢または下肢の末梢静脈から栄養剤を投与する方法です。下肢では血栓形成リスクが高いため、可能な限り上肢静脈を使用します。

PPNの最大の制約は、

  • 血管痛

  • 静脈炎

などの合併症が起こりやすい点にあります。そのため、使用できる輸液製剤は浸透圧比およそ3以下に制限されます。

糖・電解質・アミノ酸輸液に脂肪乳剤を併用したとしても、PPNで投与できるエネルギー量は最大で約1,100~1,400 kcal/日程度です。

👉 つまり、PPN単独では必要栄養量を満たせないケースが多く、長期的には栄養障害を引き起こすリスクがあります。

● 中心静脈栄養法(TPN)

TPNは、

  • 内頸静脈

  • 外頸静脈

  • 鎖骨下静脈

などから中心静脈内にカテーテルを留置して行う栄養療法です。

近年では、PICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)も広く用いられています。PICCは撓側または尺側皮静脈から挿入し、先端を上大静脈に留置します。

PICCの利点として、

  • 挿入時の気胸・血胸などの合併症がほとんどない

点が挙げられます。

TPNキット製剤の特徴

TPNキット製剤は、

  • アミノ酸

  • 総合ビタミン

  • 微量元素

などがあらかじめ組み合わされた製剤です。ただし、製品ごとに配合成分は異なります

本邦で市販されているTPNキット製剤の多くは、2000 mLでビタミン・微量元素の1日所要量を満たす設計となっています。

一方で、

  • 脂肪は含まれていない

  • 微量元素は「亜鉛のみ含有」の製剤も多い

といった特徴があり、👉 長期使用時には栄養バランスの再評価が必須です。

攻めの栄養療法における静脈栄養の位置づけ

攻めの栄養療法において、静脈栄養は「主役」ではなく「補助的手段」として位置づけられます。

  • PPNは短期間・補助的な使用

  • TPNは消化管が使用できない場合の代替手段

であり、👉 消化管が使用できるなら、経腸栄養(EN)を最優先するという原則は変わりません。

静脈栄養は非常に有用な治療手段ですが、「静脈で入れているから安心」ではなく、「本当に必要な栄養量が入っているか」を常に問い続ける必要があります。

▶︎ 公式サイト

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