攻めの栄養療法を科学する25~各種疾患・合併症における禁忌事項
- 賢一 内田
- 2025年12月25日
- 読了時間: 3分

脂質異常症|「量を増やす」だけでは悪化する
脂質異常症とは
血中のリポたんぱくは、コレステロールや中性脂肪といった脂質を運搬し、全身を循環しています。通常、脂質は生体内のホメオスタシスにより一定範囲に保たれていますが、何らかの原因で血中脂質レベルが異常になると脂質異常症と診断されます。
脂質異常症では、
LDLコレステロール(LDL-C)の高値
中性脂肪(TG)の高値
HDLコレステロール(HDL-C)の低値
が、冠動脈疾患や動脈硬化の主要な危険因子となります。
脂質異常症と栄養療法の基本
脂質異常症に対する栄養療法の基本は、👉 「過剰なエネルギー摂取を避けること」です。
一般的に推奨される栄養組成は以下の通りです。
脂質エネルギー比:20~25%
糖質エネルギー比:50~60%
加えて、
飽和脂肪酸の制限
一価・多価不飽和脂肪酸への置換
トランス脂肪酸の低減
が重要とされています。
脂質エネルギー比の低下は LDL-C の低下に寄与し、炭水化物エネルギー比の調整は 高TG血症や低HDL-C に一定の改善効果を示します。
脂質異常症がもたらす病態生理
LDLコレステロールの増加
高LDL-C血症では、酸化により変性したLDL由来コレステロールが血管壁に沈着し、粥状動脈硬化を発症・進展させます。
HDLコレステロールの役割
HDL-Cは、血管壁に蓄積した過剰なコレステロールを肝臓へ逆転送し、動脈硬化を抑制する防御因子として働きます。
高トリグリセライド血症の注意点
高TG血症は、👉 急性膵炎の重要なリスク因子であるため、
糖質制限
アルコール制限
が必要となります。
脂質異常症における「攻めの栄養療法」の注意点
脂質異常症患者に対して、
薬物療法
運動療法
を併用していたとしても、👉 過剰なエネルギー摂取は明確なリスクとなります。
特に注意すべき栄養パターンは以下です。
炭水化物エネルギー比が 60%以上
肉類などの 動物性たんぱく質中心の食事
飽和脂肪酸を多く含む油脂類を主体とした食事
これらは、
LDL-C上昇
動脈硬化の進行
を助長するため、「攻めの栄養療法」としては不適切です。
まとめ|脂質異常症では「攻めすぎない」判断が重要
脂質異常症は動脈硬化・心血管疾患の基盤病態
エネルギー過剰は、病態を確実に悪化させる
「体重を増やす」=「予後改善」ではない
攻めの栄養療法は👉 脂質異常症のコントロールが前提条件
脂質異常症を合併する患者では、**量よりも「質」と「配分」**を重視した栄養管理が不可欠です。
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