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逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

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在宅医療を科学する41~RS3PEとPMR:似て非なる2つの炎症疾患を見分けるポイント
はじめに 「手足がむくんでいる」「肩や腰がこわばって動かしにくい」——高齢者のこうした訴えの裏に、見逃してはならない炎症疾患が潜んでいることがあります。 今回は、似たような症状を持ちながらも本質的に異なる2つの疾患、 RS3PE(緩解性血清陰性対称性滑膜炎・浮腫) と PMR(リウマチ性多発筋痛症) について解説します。 RS3PEとは?——手・足の"むくみ"が主役の滑膜炎 RS3PE(Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema) は、その名の通り「浮腫を伴う血清陰性対称性滑膜炎」です。 主な特徴 手・足背の著明な浮腫(むくみ) が最大の特徴 手指・足趾の腱鞘滑膜炎を伴うことが多い リウマトイド因子(RF)陰性 高齢者(特に60歳以上)に好発 比較的急速に発症することが多い 注意すべきポイント:悪性腫瘍の合併 RS3PEでは、 悪性腫瘍(がん)の合併に特に注意が必要 です。 RS3PEは腫瘍随伴症候群として発症することがあり、特に消化器がん・肺がん・血液腫
3月8日読了時間: 3分


在宅医療を科学する38~RS3PEとPMR——鑑別が難しい理由と見分けるポイント
RS3PEとPMR——鑑別が難しい理由と見分けるポイント タグ: #RS3PE #PMR #リウマチ性多発筋痛症 #浮腫 #高齢者医療 #在宅医療 #炎症疾患 #ステロイド #鑑別診断 #内科 なぜ鑑別が難しいのか? RS3PE(Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema)とPMR(Polymyalgia Rheumatica:リウマチ性多発筋痛症)は、臨床の現場でしばしば混同される疾患です。 その理由は明確で、この2つの疾患には 3つの大きな共通点 があります。 高齢発症 :どちらも主に60歳以上の高齢者に発症します 炎症所見 :CRPや赤沈の上昇など、明らかな炎症反応を伴います ステロイド反応性 :どちらも少量〜中等量のステロイドに劇的に反応します これだけ共通点が多ければ、鑑別に迷うのは当然のことです。 同時に併存することもある さらに厄介なのは、 両疾患が同時に存在するケースがある という点です。 実際、PMR患者の**約10〜30%**においてRS3P
3月5日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する4~メカニズムとリスク
誤嚥性肺炎は、本来は食道へ送られるべき食べ物や唾液が誤って気道に入り、そこに含まれる細菌によって引き起こされる細菌性肺炎です。 原因は食べ物だけではない : 臥床(がしょう)時や就寝時にむせずに気道へ入っていく唾液も、重要な原因となります。 お口の健康が直結 : 口腔衛生状態を良好に保つことで細菌量を減らせますが、不良な場合は原因菌の保有量が増えてしまいます。 高い死亡率と後遺症 : 死亡率が約15%と高いだけでなく、回復後も食べる機能、身体機能、認知機能が低下し、QOLが悪化する恐れがあります。 なぜ発症するのか?「抵抗力」と「侵襲性」のバランス 誤嚥したからといって、必ずしも肺炎になるわけではありません。発症は、肺の「個体の抵抗力」 と、誤嚥物の 「侵襲性(しんしゅうせい)」のバランスが崩れた時に起こります。 肺の抵抗力(守る力) 誤嚥物の侵襲性(攻める力) 喀出力 : 咳で異物を出す力(咳嗽反射)、気道粘膜の機能 病原性 : 細菌の種類や化学的な強さ(酸・アルカリなど) 免疫力 : 局所リンパ球や好中球などの防御反応 量・侵入部位 :...
2月13日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する3~誤嚥性肺炎のメカニズムと「守る力」の重要性
高齢者の命と生活の質(QOL)に深く関わる疾患、それが「誤嚥(ごえん)性肺炎」です。単にお薬で治すだけでなく、日々のケアを通じて「発症させない、悪化させない」ための知識を深めましょう。 1. 誤嚥性肺炎とは:メカニズムとリスク 誤嚥性肺炎は、本来は食道へ送られるべき食べ物や唾液が誤って気道に入り、そこに含まれる細菌によって引き起こされる細菌性肺炎です。 原因は食べ物だけではない : 臥床(がしょう)時や就寝時に、むせずに気道へ入っていく唾液(不顕性誤嚥)も、重要な原因となります。 お口の健康が直結 : 口腔衛生状態が不良であれば細菌量が増え、発症リスクが高まります。 負の連鎖を防ぐ : 死亡率が約15%と高いだけでなく、回復後も「食べる機能」「身体機能」「認知機能」が低下し、生活の質(QOL)が悪化する恐れがあります。 2. なぜ発症するのか?「抵抗力」と「侵襲性」のバランス 誤嚥したからといって、必ずしも肺炎になるわけではありません。発症は、肺の「個体の抵抗力」 と、誤嚥物の 「侵襲性(しんしゅうせい)」のバランスが崩れた時に起こります。 肺の
2月12日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する2~誤嚥性肺炎とは:メカニズムとリスク
誤嚥性肺炎は、本来は食道へ送られるべき食べ物や唾液が誤って気道に入り、そこに含まれる細菌によって引き起こされる細菌性肺炎です。 原因は食べ物だけではない : 臥床(がしょう)時や就寝時にむせずに気道へ入っていく唾液も、重要な原因となります。 お口の健康が直結 : 口腔衛生状態が不良であれば細菌量が増え、発症リスクが高まります。 高い死亡率と後遺症 : 死亡率が約15%と高いだけでなく、回復後も食べる機能や身体機能、認知機能が低下し、生活の質(QOL)が悪化する恐れがあります。 なぜ発症するのか?「抵抗力」と「侵襲性」のバランス 誤嚥したからといって、必ずしも肺炎になるわけではありません。発症は、肺の「個体の抵抗力」 と、誤嚥物の 「侵襲性(しんしゅうせい)」のバランスが崩れた時に起こります。 肺の抵抗力(守る力) 誤嚥物の侵襲性(攻める力) 喀出力 : 咳で異物を出す力、気道粘膜の機能 病原性 : 細菌の種類や化学的な強さ(酸など) 免疫力 : 肺の免疫細胞(リンパ球、好中球など) 量・部位 : 誤嚥した量や、肺のどこまで入ったか 誤嚥性肺炎を防
2月11日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する1~「誤嚥性肺炎」:そのメカニズムと予防の重要性
高齢者の健康において、最も注意すべき疾患の一つが「誤嚥(ごえん)性肺炎」です。 今回は、当クリニックの資料をもとに、誤嚥性肺炎がなぜ起こるのか、そして防ぐために何が大切なのかを分かりやすくまとめました。 1. 誤嚥性肺炎とはどのような病気か? 誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液などが誤って気道(肺の方)に入ってしまうことで、そこに含まれる細菌が肺で炎症を引き起こす 細菌性肺炎 です。 実は、食べ物だけでなく「唾液」も大きな原因となります。特に寝ている間に、むせることなく唾液が気道へ流れ込んでしまうことで肺炎が起こるケースも少なくありません。 2. なぜ「予防」がこれほど重要なのか 誤嚥性肺炎は、単に「肺が苦しくなる病気」だけでは済まない、大きなリスクを抱えています。 高い死亡率: 高齢者にとって非常に命に関わる疾患です。 負の連鎖: 一度発症すると、肺炎そのものが治った後も、「食べる力(嚥下機能)」「身体機能」「認知機能」が大きく低下してしまうことがあります。 つまり、肺炎を繰り返すことで、ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)が一段ずつ階段を降
2月10日読了時間: 2分


攻めの栄養療法を科学する63~【専門医解説】糖尿病の「攻めの栄養療法」:血糖値だけを見ない新しい管理
今回は、合併症予防と筋肉量維持を両立させる「攻めの栄養療法」のポイントを解説します。 1. 血糖コントロールの目標設定 糖尿病治療の本来の目的は、合併症の発症と悪化を防ぐことです 。日本糖尿病学会では、合併症予防の目安として以下の数値を掲げています 。 HbA1c : 7.0%未満 空腹時血糖値 : 130mg/dL未満 食後2時間血糖値 : 180mg/dL未満 「攻めの栄養療法」では、これらの数値目標に加えて、**「筋肉量の測定」**を重視します 。血糖値を抑えることだけをゴールにせず、活動量に見合ったエネルギーを摂取し、サルコペニアの発症・悪化を防ぐことが重要です 。 2. 攻めの栄養療法に必要な「評価項目」 多角的な視点で患者様の状態を把握することが、適切な栄養設計の第一歩です 。 身体計測 : BMI、血圧だけでなく、 握力や歩行速度、筋肉量 を評価します 。 食事・活動量 : 実際の摂取エネルギー量に加え、運動量や運動時間、生活習慣を確認します 。 低血糖のリスク : 薬物療法の内容と、低血糖の有無や頻度を把握します 。 3. 高齢者
2月4日読了時間: 2分


医療監修のお知らせ|オメガ3脂肪酸解説動画を監修しました
このたび、 QLife(エムスリーグループ) より医療監修のご依頼を受け、 オメガ3脂肪酸に関する医療解説動画 の監修を担当いたしました。 公開動画はこちら 【医師監修】オメガ3脂肪酸って健康にいいの?~食べ物とサプリの違いも解説~ ▶ https://www.youtube.com/watch?v=D_zFUp5j9OY 本動画では、医療現場でも患者さんから質問を受けることの多い「オメガ3脂肪酸」について、以下の点を中心に解説しています。 オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)とは何か 食事(魚)から摂る場合と、サプリメントの違い 「体にいい」と言われる理由と、誤解されやすい点 すべての人に必要なのか? 医学的に注意すべきポイント 慢性疾患・高齢者・在宅医療の視点からの考え方 「健康に良い=誰にでも・多ければ多いほど良い」という単純な話ではなく、 疾患背景・栄養状態・生活状況を踏まえて考える重要性 を、一般の方にも分かりやすく構成されています。 本監修では、 特定の食品・サプリを 過度に推奨しない エビデンスと臨床現場のバランス 患者さんが「安心し
1月3日読了時間: 2分


攻めの栄養療法を科学する26~各種疾患・合併症における禁忌事項
慢性心不全|「増やす栄養」と「抑える栄養」のバランスが鍵 慢性心不全とは 心不全は、 「心臓に器質的・機能的異常が生じ、心ポンプ機能の代償機構が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感・浮腫が出現し、運動耐容能が低下する臨床症候群」 と定義されます。 慢性心不全における栄養管理の柱は、 体液バランス(ナトリウム管理) 適正なエネルギー・たんぱく質量の確保 です。 慢性心不全における栄養量の基本 エネルギー・たんぱく質量 サルコペニアやフレイルを合併しやすい慢性心不全では、 エネルギー :30 kcal/kg/day 以上 たんぱく質 :1.2~1.5 g/kg/day が推奨されています。 腎機能障害を伴う場合の注意点 ただし、 eGFR < 45 mL/分/1.73m²(CKD G3b 以上) を認める場合は、 たんぱく質:0.6~0.8 g/kg/day へ制限する必要があります。 👉 腎機能を無視した高たんぱく設定は禁忌 であり、「攻めの栄養療法」の落とし穴となります。 ナトリウム(塩分)管理の考え方 ナトリウムは細胞外液の浸透圧維持に関与するため
2025年12月26日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する25~各種疾患・合併症における禁忌事項
脂質異常症|「量を増やす」だけでは悪化する 脂質異常症とは 血中の リポたんぱく は、コレステロールや中性脂肪といった脂質を運搬し、全身を循環しています。通常、脂質は生体内のホメオスタシスにより一定範囲に保たれていますが、何らかの原因で血中脂質レベルが異常になると 脂質異常症 と診断されます。 脂質異常症では、 LDLコレステロール(LDL-C)の高値 中性脂肪(TG)の高値 HDLコレステロール(HDL-C)の低値 が、 冠動脈疾患や動脈硬化の主要な危険因子 となります。 脂質異常症と栄養療法の基本 脂質異常症に対する栄養療法の基本は、👉 「過剰なエネルギー摂取を避けること」 です。 一般的に推奨される栄養組成は以下の通りです。 脂質エネルギー比:20~25% 糖質エネルギー比:50~60% 加えて、 飽和脂肪酸の制限 一価・多価不飽和脂肪酸への置換 トランス脂肪酸の低減 が重要とされています。 脂質エネルギー比の低下は LDL-C の低下 に寄与し、炭水化物エネルギー比の調整は 高TG血症や低HDL-C に一定の改善効果を示します。 脂質
2025年12月25日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する24~侵襲|高度侵襲下では「攻めの栄養療法」は禁忌
侵襲とは何か 侵襲 とは、重症感染症・大手術・多発外傷・熱傷など、 生体を傷害し、生体恒常性を大きく乱す刺激 を指します。 侵襲が加わると、生体内では以下が生じます。 内因性エネルギー供給(endogenous energy supply)の増大 ストレスホルモン・炎症性サイトカインの大量分泌 一方、栄養療法は**外因性エネルギー供給(exogenous energy supply)**に相当します。生体のエネルギー需要は、👉 内因性+外因性エネルギーの合計で満たされる という点が重要です。 「必要量=外因性投与」は危険 侵襲下で、 エネルギー必要量と同量の外因性エネルギーを投与 すると、実質的には overfeeding(過剰栄養) となる可能性があります。 その結果、最も問題となる合併症が 高血糖 です。 侵襲時に高血糖が起こる理由 侵襲時には、 肝臓・骨格筋のグリコーゲンが消費される 肝グリコーゲンは 12~24時間程度で枯渇 その後は 乳酸 アミノ酸 を材料とした 糖新生 によりグルコースが供給されます。 飢餓時と異なる重要な点は
2025年12月24日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する23~はじめに|「攻めの栄養療法」は万能ではない
「攻めの栄養療法」 とは、体重や筋肉量を増やすことを目的に、 エネルギー消費量に加えて“エネルギー蓄積量”を考慮して必要量を設定する栄養療法 です。 ただし、単純にエネルギー量を増やせばよいわけではありません。 糖質・脂質・たんぱく質の配分 患者の病態や合併症 リハビリテーション・運動療法の併用 これらを考慮せずに行うと、 病態の悪化 代謝性合併症 脂肪のみの増加 を招く可能性があります。 特に、 リハビリや運動療法を併用しない「攻めの栄養療法」は、筋肉ではなく脂肪を増やすだけ になりやすく、必ずしも患者の利益にはなりません。 そのため、「攻めの栄養療法」は👉 すべての患者に適応される治療ではない 👉 禁忌を理解したうえで、適切な対象に限定して実践する ことが重要です。 本稿では、 攻めの栄養療法を行う際に必ず理解しておくべき禁忌事項 を、特に重要な「低栄養・飢餓状態」を中心に解説します。 低栄養患者における禁忌①|飢餓状態 飢餓とは何か 飢餓 とは、社会的・経済的要因や疾患を背景に、 長期間にわたり栄養摂取が不足し、慢性的な栄養障害をきたし
2025年12月23日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する21~はじめに|栄養療法は「治療の基盤」
栄養療法は、健康の維持・増進のみならず、生活習慣病やさまざまな疾患の 治癒・改善を支える重要な治療の一部 です。患者が何らかの栄養障害に陥った場合、 適切な栄養スクリーニングと栄養アセスメントを行い、早期に栄養状態を維持・改善する方策を講じること は、医療の基本とされています。 近年の研究により、栄養療法は以下の点で患者予後を改善することが示されています。 創傷治癒の促進 感染症合併の予防 治療反応性の向上 在院日数の短縮 医療費の削減 病期(セッティング)によって異なる「攻めの栄養療法」 2018年度の厚生労働省・病床機能報告では、平均在院日数の中央値は以下の通りでした。 高度急性期:9日 急性期:14日 回復期:51日 慢性期:234日 このように 医療のセッティングによって在院日数・患者背景・関与する職種・ゴール設定は大きく異なります 。そのため、「攻めの栄養療法」の対象患者や適応も、セッティングごとに考える必要があります。 本稿では、 急性期医療における栄養療法の考え方 を中心に解説します。 急性期医療における栄養療法の特徴 ICU患者に
2025年12月21日読了時間: 5分


攻めの栄養療法を科学する⑬~【口から食べることをあきらめないために】
食べることは、単なる栄養摂取行為ではありません。 家族と同じ食卓を囲む 食べ物の香り・味・温度・食感を楽しむ 外食というレジャーを楽しむ 人と共有する時間と体験を持つ これらの“付加価値”が、人の活動・参加・生活の質(QOL)を支えています。 高齢者にとって 「口から食べられない」 という事実は、身体機能だけでなく、 活動・参加・精神面 に大きな影響を与える重大な問題です。 ▼ 経口摂取は100%安全でない。しかし、代替手段もまたリスクを持つ 重度の嚥下障害では誤嚥や窒息のリスクがあるため、医療者が慎重な判断をすることは当然ですが、 静脈栄養:カテーテル感染、電解質異常、腸管不使用による免疫能低下 経管栄養:逆流、誤嚥、下痢、留置トラブル 栄養補給の代替手段も 決して100%安全ではありません。 さらに、経口摂取をしない期間が長引けば長引くほど、 嚥下機能そのものが低下していきます。 だからこそ、医療者が“とりあえず禁食”という判断を安易に下すことは避けるべきです。 ▼ 攻めの栄養療法が果たす役割 攻めの栄養療法とは、 必要な栄養量を確保し
2025年12月13日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑫~【サルコペニア嚥下障害に対する治療】
― 栄養 × リハ × 多職種連携による「攻めの栄養療法」 ― サルコペニアを背景とした摂食嚥下障害は、従来の嚥下リハビリだけでは改善が難しいことが知られています。その理由は、嚥下筋の筋力低下だけでなく、 全身の低栄養・筋量低下 が同時に進行しているためです。 そこで重要になるのが、 「攻めの栄養療法(アグレッシブ・ニュートリション)」 を用いた包括的アプローチです。 ▼ 1. 低栄養とサルコペニアを改善する ― 攻めの栄養療法の役割 回復期リハ病棟での多施設研究では、 低栄養リスクが高い患者ほど、経口摂取の獲得が困難である と報告されています。 しかし現場では、 低栄養のリスクが十分に認識されていない 認識されていても栄養介入不足という問題がしばしば見受けられます。 ● 栄養不足が続くと何が起こるか? 全身の筋肉量が減少 嚥下筋も萎縮 嚥下機能低下 → 食べられない → さらなる低栄養 ADL・QOL低下 この悪循環を断ち切るには、 筋肉と栄養状態を同時に改善する“攻めの栄養療法”が不可欠 です。 ▼ 攻めの栄養療法の有効性:症例報告(3
2025年12月12日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑪~【疾病構造の変化とサルコペニア嚥下障害への新しい対応】
日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進み、医療の中心は「治す医療」から “併存疾患を抱える高齢者の生活を支える医療” へと変化しています。こうした疾病構造の変化の中で、摂食嚥下障害も従来のアプローチだけでは十分に改善できないケースが増えてきました。 特に、高齢者では下記の要因が複雑に絡み合い、嚥下機能が低下しやすくなります。 ■ 高齢者の嚥下低下と関係する要因 併存疾患(心疾患、脳疾患、腎不全、感染症など) ポリファーマシー(多剤服用) 認知症による食行動変化 活動量低下 低栄養 サルコペニア これらが重なると、単純な「嚥下訓練」だけでは改善しないケースが多く見られます。 ■ サルコペニアを伴う嚥下障害では“従来型リハだけでは不十分” 従来の摂食嚥下訓練は、構造的・神経学的障害に対しては効果的でした。しかし近年増えている サルコペニア(筋肉量低下)を背景とした嚥下障害 では、 嚥下筋そのものが萎縮 全身の筋力低下により姿勢保持が困難 呼吸筋力低下により誤嚥リスク増大 食事量低下 → さらなる低栄養 → 筋力低下(悪循環) というメカニズ
2025年12月11日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する③~【攻めの栄養療法をどう実践する?】
――リハ栄養ケアプロセスに沿った実践ステップ―― 低栄養・サルコペニア・フレイルがある患者さんでは、**「食べられるようになったらリハをする」**では遅く、 栄養 × リハビリを同時に進める“リハ栄養”が極めて重要 です。 中でも今回のテーマである 攻めの栄養療法(アグレッシブ・ニュートリション) は、リハ栄養ケアプロセスの中でどう実践するかがカギになります。 ◆ 攻めの栄養療法の成否は「アセスメント」と「ゴール設定」で決まる 攻めるべきかどうかは、 対象者をどれだけ深く把握できたか(アセスメント)目指す姿をどれだけ明確に描けたか(ゴール設定) で決まります。 ▶ リハ栄養アセスメント・診断推論 ここで行うのは、 なぜ体重が減ったのか なぜサルコペニアになったのか 栄養摂取不足の原因は?(量/内容/嚥下/環境) 疾患ストレス・炎症は? ICFの観点での生活機能は? という 原因の深掘り です。 ▶ リハ栄養ゴール設定 次に、 「この人はどの状態に戻りたいのか(あるべき姿)」 を具体化します。 例: 1か月で体重+1kg 2週間で歩行距離を+20
2025年12月1日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する②~【リハ栄養】“リハ × 栄養”を同時に行うと回復力が最大化する理由
(さくら在宅クリニック| https://www.shounan-zaitaku.com/)(YouTube|https://www.youtube.com/@fukuroi1971) 低栄養・サルコペニア・フレイルの患者さんは、“リハビリだけ”ではなかなか改善が進まないことがあります。 その理由はシンプルで、 動かすためのエネルギーとタンパク質が足りていない からです。 そんな時に効果を発揮するのが、今回のテーマ 「リハ栄養(リハビリテーション栄養)」 です。 ◆ リハ栄養とは? リハ栄養は 「ICF(国際生活機能分類)による全人的評価」+「栄養障害・サルコペニア・栄養摂取量の評価」+「リハと栄養の同時介入」 を組み合わせたアプローチです。 定義としては、 低栄養・サルコペニア・フレイルを改善し、 機能・活動・参加(QOL)を最大化するためのリハからみた栄養管理、栄養からみたリハ とされています。 ポイントは、 リハも栄養も「同時に行う」こと。 昔は「食べられるようになったらリハをしよう」という考え方でしたが、現在は リハ × 栄養の同時介入
2025年11月30日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する①~【攻めの栄養療法】低栄養・サルコペニア改善のカギは“リハ × 栄養”の両輪です
(さくら在宅クリニック| https://www.shounan-zaitaku.com/)(YouTube|https://www.youtube.com/@fukuroi1971) 在宅医療でもリハビリでも、**「食べられない」「痩せてしまった」「筋力が落ちた」**という場面は日常的です。 そんな時に重要なのが、今日お話しする “攻めの栄養療法(アグレッシブ・ニュートリション)” です。 ◆ 攻めの栄養療法とは? 通常の栄養管理は、「今日使うエネルギーを今日の食事で補う」考え方です。 一方で攻めの栄養療法は、 1日の消費エネルギーに “体重を増やすためのエネルギー” を上乗せする方法 。 特に以下の患者さんに有効とされています。 低栄養 サルコペニア(筋肉量の低下) リハビリを頑張っても改善が乏しいケース リハビリの効果を最大化するための“攻め”の栄養戦略とも言えます。 ◆ なぜ必要なのか? リハビリが必要な方は、病前からの低栄養、急性期での食欲低下、施設入院中の栄養不足などさまざまな理由で 体重・筋肉量が落ちやすい状況 にあります。 研
2025年11月29日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について66~長谷川式簡易知能評価スケール改訂版(HDS-R)
― 日本で最も広く使われる認知症スクリーニング検査 ― HDS-Rは、日本の高齢者における 認知症のスクリーニング を目的に作成された検査です。特に 記憶障害を中心に、大まかな認知機能の低下を捉える ために設計されています。 最高点:30点 20点以下 → 認知症が疑われる 21点以上 → 非認知症とするのが最も弁別性が高い MMSEと同じ「30点満点」ですが、評価している領域や構成・順番が大きく異なります。 MMSEとHDS-Rは同時実施が不可能 であり、役割もやや異なります。 ■ HDS-Rの構造と実施法(MMSEとの比較を交えながら) HDS-Rには 日本文化に特有の配慮 や、 言語・記憶中心の評価 が特徴的にみられます。 以下、各項目の実施ポイントとMMSEとの違いを整理します。 ① 年齢(1点) 「お年はいくつですか?」 誤差2年まで正解 数え年文化に配慮した、日本独自の仕様 MMSEにはこのような“許容範囲”の規定はありません。 ② 時間の見当識(4点) 「今年は何年ですか?」「今日は何月ですか?」など。 MMSE(5点)よ
2025年11月21日読了時間: 4分
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