攻めの栄養療法を科学する②~【リハ栄養】“リハ × 栄養”を同時に行うと回復力が最大化する理由
- 賢一 内田
- 12 分前
- 読了時間: 3分

低栄養・サルコペニア・フレイルの患者さんは、“リハビリだけ”ではなかなか改善が進まないことがあります。
その理由はシンプルで、動かすためのエネルギーとタンパク質が足りていないからです。
そんな時に効果を発揮するのが、今回のテーマ「リハ栄養(リハビリテーション栄養)」 です。
◆ リハ栄養とは?
リハ栄養は「ICF(国際生活機能分類)による全人的評価」+「栄養障害・サルコペニア・栄養摂取量の評価」+「リハと栄養の同時介入」を組み合わせたアプローチです。
定義としては、
低栄養・サルコペニア・フレイルを改善し、機能・活動・参加(QOL)を最大化するためのリハからみた栄養管理、栄養からみたリハ
とされています。
ポイントは、リハも栄養も「同時に行う」こと。
昔は「食べられるようになったらリハをしよう」という考え方でしたが、現在は リハ × 栄養の同時介入が最も効果的 とエビデンスで示されています。
◆ リハと栄養を同時に行うとどうなる?
複数のメタアナリシスにより、
筋肉量の増加
筋力の改善
歩行速度の向上
除脂肪体重の増加
が確認されています。
特に、
レジスタンストレーニング(筋トレ)+
たんぱく質を含む栄養介入
を組み合わせた高齢者では、筋力の増加が単独介入の数倍になったという報告まであります。
さらにガイドライン(リハ栄養診療ガイドライン2018)でも、
脳血管疾患
大腿骨近位部骨折
急性疾患後の患者
に対して「強化型栄養療法+リハ」 が推奨されています。
◆ リハ栄養ケアプロセス(図の説明)
いただいた図のとおり、リハ栄養は下記の5つのステップで進めます。
① リハ栄養アセスメント・診断推論
ICFを用いて「からだ」「こころ」「環境」まで全人的に評価します。
② リハ栄養診断
栄養障害
サルコペニア
栄養素摂取量の不足
フレイルなど“何が問題なのか”を特定します。
③ リハ栄養ゴール設定(SMART)
具体的(Specific)
測定可能(Measurable)
達成可能(Achievable)
関連性がある(Relevant)
期限付き(Time-bound)
というSMARTな形で明確に設定します。
例:「2週間以内に体重+0.5kg」「1か月以内に歩行速度を0.1m/s改善」 など。
④ リハ栄養介入
“リハから見た栄養管理”(栄養状態を改善して機能を伸ばす)
“栄養から見たリハ”(栄養管理を基盤としてリハ効果を最大化)
双方からアプローチします。
⑤ リハ栄養モニタリング
効果を評価し、継続・調整・中止を判断します。
このサイクルを回すことで、質の高いリハ栄養ケアが実現します。
◆ リハ栄養の本質は「その人の“生活”を取り戻す」こと
リハ栄養は単なる栄養補給ではありません。
食べられる
動ける
生活に参加できる
自分らしさを取り戻せる
この“人間の生活機能”全体を支えるのがリハ栄養です。
在宅医療でも非常に大切な概念で、栄養不足に気づきにくい患者さんほど大きな効果を得られます。
「痩せてきた」「動けなくなってきた」その背景にあるのは、しばしば栄養とリハの両輪不足です。
気になる方はお気軽にご相談ください。


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