攻めの栄養療法を科学する48~経管栄養法(Tube Feeding)の特徴
- 賢一 内田
- 3 日前
- 読了時間: 4分

― 適応・有用性・利点を整理する ―
経管栄養法とは
経管栄養法(tube feeding)は、腸管が機能している場合に選択される代替栄養法です。経口摂取が困難であっても、消化・吸収能が保たれていれば適応となります。
たとえば、
嚥下困難や意識障害により経口摂取が困難な場合
クローン病などで、消化された栄養剤を用いながら腸管の安静を保ちたい場合
などが代表的な適応です。
経管栄養法の適応
▶ 十分な治療効果が期待できる場合
消化管機能が正常な場合 (嚥下困難、意識障害など)
消化管機能がやや低下しているが、安静を要する場合 (比較的軽症の消化管外傷、短腸症候群、炎症性腸疾患など)
▶ 比較的治療効果が期待できる場合
消化吸収能が低下しており、経口摂取のみでは栄養障害に陥るリスクがある場合 (放射線性腸炎など)
がん化学療法・放射線療法による食欲低下があるが、 下痢などの腹部症状を伴わない場合
経管栄養法の禁忌
以下のように、腸管を安全に使用できない状態では禁忌となります。
イレウス
ショック状態
腸管虚血 など
また、難治性下痢や循環動態が不安定な状態では、十分な治療効果が期待できない場合があります。
経管栄養の臨床的有用性
経管栄養が静脈栄養に比べて明らかに有用なのは、
急性期の比較的重症症例
在宅医療などの慢性期の長期栄養管理
です。
特に、食道がんなど侵襲の大きい手術後や重症症例では真価を発揮します。実際、食道がん切除術後においては、静脈栄養より経管栄養で管理した方が早期退院が可能であったとの報告もあります。また、重症腹部外傷患者では、肺炎などの感染性合併症が静脈栄養より有意に少なかったとされています。
一方、在宅などの慢性期栄養管理においても経管栄養は有用です。静脈栄養と比べて厳格な無菌操作が不要であり、長期管理に適している点が大きな利点です。
嚥下困難症例では、
経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
経鼻胃管
による栄養管理が行われます。食事摂取量がやや低下した段階では静脈栄養が選択されがちですが、長期的に必要栄養量の確保が困難と判断される場合には、早期から経管栄養を検討することが望ましいと考えられます。
経管栄養法の利点
① 腸管粘膜と機能の維持
腸管を使用しない状態が続くと、廃用性萎縮が生じます。経管栄養を行うことで腸管粘膜の萎縮は防止されます。動物実験では、成分栄養 → 半消化態栄養 → 食物繊維添加 → 天然食品の順で、粘膜萎縮予防効果が高いことが示されています。
② 免疫能の維持
腸管は人体最大の免疫器官であり、全身の50~80%の免疫細胞が集積しています。経管栄養によって腸管を使用することで、
腸管バリア機能の維持
bacterial translocation の回避
全身免疫能の賦活
が期待されます。
③ 侵襲後の代謝亢進を抑制
侵襲後に分泌されるストレスホルモンを抑制し、
代謝亢進
筋タンパク分解
を抑える効果があります。
④ 胆汁うっ滞・肝障害の回避
生体の吸収能に応じた栄養吸収が行われるため、静脈栄養で問題となりやすい肝機能障害や胆汁うっ滞が起こりにくい特徴があります。
⑤ 消化管の生理機能を活かせる
腸蠕動運動や消化管ホルモン分泌など、本来の消化・吸収機能を活かした生理的な投与方法です。
⑥ 合併症が少ない
代謝性合併症(糖代謝異常、電解質異常、re-feeding syndrome など)が少ない
中心静脈栄養(TPN)に伴うカテーテル関連血流感染や気胸がない
⑦ 長期管理が容易
長期栄養管理が必要な場合、経腸栄養(EN)が第一選択となります。
⑧ 経済的
同等のエネルギー・栄養素を投与した場合、TPNと比較して費用は約1/2~1/3とされ、医療経済的にも有利です。
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