攻めの栄養療法を科学する52~攻めの投与方法
- 賢一 内田
- 1 日前
- 読了時間: 3分
― 高エネルギー投与を安全に成立させるために ―

「攻めの栄養療法」を実践する際、最大の課題の一つが高エネルギー投与をいかに無理なく行うかです。1 kcal/mL の標準的な栄養剤を用いると、必要エネルギー量を満たすために非常に大きな投与ボリュームとなります。
特に、
体格の小さい高齢者
胃食道逆流のリスクが高い患者
では、そのままでは投与が困難なケースも少なくありません。
以下では、
必要エネルギー量:2600~3000 kcal
必要たんぱく質量:60~120 g
必要水分量:1800~2000 mL
1回注入量:約500 mL
を想定した実践例を示します。
① 液体栄養剤
間欠投与
基本的には胃排泄時間を考慮し、先に水を投与してから高濃度栄養剤を注入します。水分は就寝前や注入間の時間を活用し、不足分を補充することで1日必要水分量を確保します。
この方法は、高価な栄養剤を使用せずに実施できるため、第一選択として対応しやすい方法です。
【投与方法①】
水 150 mL
20~30分後
高濃度栄養剤 1000 kcal(500 mL)×3回
1日合計
エネルギー:3000 kcal
たんぱく質:90 g
水分量:1980 mL
投与速度:200 mL/時
【投与方法②】
※ 高齢者、または腎機能悪化リスクがある場合
水 150 mL
高濃度栄養剤 1000 kcal(500 mL)×2回
腎配慮型栄養剤 800 kcal(500 mL)×1回
1日合計
エネルギー:2800 kcal
たんぱく質:63 g
水分量:1846 mL
逆流対策を重視する場合
粘度調整食品を先に注入し、その後に通常の栄養剤を注入する方法もあります。胃内でとろみが形成され、逆流予防を目的として使用されます。
【投与方法】
水 100 mL
粘度調整食品+高濃度栄養剤 1000 kcal(500 mL)×3回
1日合計
エネルギー:3000 kcal
たんぱく質:120 g
水分量:1838 mL
② 持続注入
栄養ポンプを使用し、少量を継続的に注入する方法です。細菌感染予防のため、8時間以上の継ぎ足しは行わず、バッグやイリゲーターを交換します。
リハビリが可能な場合:夜間投与を検討
合併症が強い場合:投与速度を極力低下
必要に応じて、
末梢静脈栄養の併用
夜間のみの注入
といった工夫も有効です。
【投与方法①:夜間投与】
栄養剤 2600 kcal(1300 mL)
補液 172 kcal(1000 mL)
108 mL/時 ×12時間
1日合計
エネルギー:2772 kcal
たんぱく質:88.4 g
水分量:1904 mL
【投与方法②:消化態栄養剤】
※ 空腸投与・下痢対策時
消化態栄養剤 3000 kcal(2000 mL)
水 300 mL
95.8 mL/時
1日合計
エネルギー:3000 kcal
たんぱく質:105 g
水分量:1830 mL
③ 半固形栄養剤
半固形栄養剤は、口径の大きい胃瘻ルートを使用します。
メリット
逆流予防
短時間投与
下痢予防
消化管の自然な蠕動を促進
自然滴下法や加圧バッグを用いた短時間注入が、在宅現場でも広がっています。
注意点
高粘度タイプは逆流・漏れ防止に有用だが、加圧や手技の負担が増える
水分は別途補充が必要 (目安:食前30分、または食後2時間)
逆流リスクが高い場合は水にもとろみを付与する
【投与方法①:高粘度タイプ】
水 300 mL
30分後
半固形栄養剤 1000 kcal(500 mL)×3回
1日合計
エネルギー:3000 kcal
たんぱく質:108 g
水分量:1890 mL
【投与方法②:とろみ状流動食】
※ 逆流リスクが低い場合
水 200 mL
30分後
とろみ状流動食 1000 kcal ×3回
1日合計
エネルギー:3000 kcal
たんぱく質:120 g
水分量:1800 mL
攻めの投与で大切な視点
攻めの投与とは「量を増やすこと」ではありません。
患者の体格・病態・逆流リスク
消化管の耐用性
リハビリ量・生活リズム
を踏まえ、最も安全で継続可能な方法を組み立てることが、結果として「攻め」につながります。
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