攻めの栄養療法を科学する51~経管栄養におけるルートの選択とその特徴
- 賢一 内田
- 2 日前
- 読了時間: 3分

― 患者背景に応じた“最適解”を考える ―
経管栄養を行う際には、
消化管の構造・機能
経管栄養を行う予定期間
誤嚥リスクの有無
などを総合的に評価し、経鼻アクセスまたは**消化管瘻アクセス(胃瘻・空腸瘻・PTEGなど)**を選択します。
一般に、
施行期間が4週間未満と予想される場合:経鼻アクセス
4週間以上の長期管理が見込まれる場合:消化管瘻の使用
が望ましいとされています。
経鼻胃管(NGチューブ)
経鼻胃管は、非侵襲的に挿入可能であり、ベッドサイドで施行できる手技です。一方で、気管内誤挿入や、それに伴う経腸栄養剤の誤注入には十分な注意が必要です。
留置後の確認は、
聴診のみでは不十分
X線撮影や胃液吸引による確認が望ましい
とされています。
〈当院で使用する主な症例〉
入院中に経口摂取量が持続的に低下し、 静脈栄養による体液・電解質補正や食環境調整を行っても 必要栄養量の半量も摂取できない場合
在宅で経口摂取していた患者さんが、 急激な摂取量低下を契機に入院となった場合
脱水を静脈栄養で補正後、 一時的な低栄養状態を改善したい場合
胃瘻(PEG)
胃瘻は、長期経腸栄養管理の第一選択となるルートです。経鼻胃管と比べて本人の不快感が少なく、
太めのチューブが使用可能
チューブが短く、閉塞しにくい
といった利点があります。
また、半固形栄養剤の使用が可能であり、逆流を予防しながら高エネルギー投与が行いやすい点も大きな特徴です。
〈当院で使用する主な症例〉
重度の嚥下障害により経口摂取が困難で、 自宅・施設など長期療養先で安定した栄養確保が必要な場合
嚥下障害があるものの、 「口から食べる楽しみ」を少量でも継続したい場合 → 必要栄養量は胃瘻で確保し、経口摂取は補助的に実施
進行性神経難病において、 確実な薬剤投与・栄養管理が必要な場合 (パーキンソン病のOFF時間帯対策など)
将来的な病状進行を見据え、早期から胃瘻を選択することが有効となるケースも少なくありません。
空腸瘻(Jejunostomy)
空腸瘻は、
胃全摘術
食道亜全摘術
膵頭十二指腸切除術
などの開腹手術時に造設されることが多いルートです。
注意点として、造設時にカテーテル周囲の腸管が屈曲・癒着し、腸閉塞を起こす可能性があります。
PEG-J・PEJ(空腸アクセス)
胃運動低下
食道裂孔ヘルニア
などにより、胃への注入では胃食道逆流・誤嚥性肺炎のリスクが高い場合、空腸へのアクセス(PEG-J、PEJ)が選択されます。
その他の経管栄養ルート
● PTEG
経皮経食道胃管挿入術(PTEG)は、
胃切除・胃全摘術後
腹水などによりPEGが困難な症例
を対象として、本邦で開発された方法です。
● 間欠的口腔食道経管栄養(IOE)
栄養注入時のみ、口腔から第2食道狭窄部までチューブを挿入します。食道蠕動を誘発し、より生理的な食塊移動に近づけることで、下痢や胃食道逆流の減少が期待されます。
〈当院で使用する症例〉
ワレンベルグ症候群などに伴う食道入口部開大不全
バルーン拡張術を行う際、 NGチューブ留置ができない場合の代替手段
ルート選択において大切なこと
経管栄養のルート選択は、「どれが正解か」ではなく、「その患者さんにとって何が最適か」を考えるプロセスです。
病態・予後・生活の場を見据えながら、柔軟に、段階的に選択していくことが重要だと考えます。
👉 在宅医療・栄養管理に関する情報はこちらhttps://www.shounan-zaitaku.com/
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