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攻めの栄養療法を科学する22~回復期|「回復させるための栄養」が主役になる時期
回復期は、 脳卒中・大腿骨近位部骨折・廃用症候群 などにおいて、病状が安定した段階を指します。回復期リハビリテーション病棟に入院する**65歳以上の高齢者では、中等度以上の栄養障害を有する患者が約44%**に及ぶと報告されています。 Nishioka らの研究では、 大腿骨近位部骨折かつ低栄養の高齢者において、栄養状態の改善が ADL 改善と独立して関連していた ことが示されています。 回復期における栄養管理のポイント 回復期病棟の入院期間は、疾患により 最短60日、最長180日 と定められています。急性期病院での安静や侵襲、あるいは必要量に満たない栄養管理により、 サルコペニア 低栄養 をすでに発症している症例も少なくありません。 そのため回復期では、 短期目標(入院前半):栄養状態の改善 長期目標(退院時):ADL・身体機能の最大化 を明確に設定することが重要です。 回復期における「攻めの栄養療法」の考え方 回復期では、 原則としてほぼすべての患者が「攻めの栄養療法」の適応 となります。褥瘡や尿路感染症などの合併症がある場合でも、 治療と並行
2025年12月22日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する21~はじめに|栄養療法は「治療の基盤」
栄養療法は、健康の維持・増進のみならず、生活習慣病やさまざまな疾患の 治癒・改善を支える重要な治療の一部 です。患者が何らかの栄養障害に陥った場合、 適切な栄養スクリーニングと栄養アセスメントを行い、早期に栄養状態を維持・改善する方策を講じること は、医療の基本とされています。 近年の研究により、栄養療法は以下の点で患者予後を改善することが示されています。 創傷治癒の促進 感染症合併の予防 治療反応性の向上 在院日数の短縮 医療費の削減 病期(セッティング)によって異なる「攻めの栄養療法」 2018年度の厚生労働省・病床機能報告では、平均在院日数の中央値は以下の通りでした。 高度急性期:9日 急性期:14日 回復期:51日 慢性期:234日 このように 医療のセッティングによって在院日数・患者背景・関与する職種・ゴール設定は大きく異なります 。そのため、「攻めの栄養療法」の対象患者や適応も、セッティングごとに考える必要があります。 本稿では、 急性期医療における栄養療法の考え方 を中心に解説します。 急性期医療における栄養療法の特徴 ICU患者に
2025年12月21日読了時間: 5分


攻めの栄養療法を科学する⑳~サルコペニアの摂食嚥下障害(Sarcopenic dysphagia: SD)とは
― 「医原性サルコペニア」を起こさないことが最大の予防 ― ■ ここがポイント サルコペニアの摂食嚥下障害(SD) とは、 全身と嚥下関連筋群のサルコペニア によって生じる摂食嚥下障害 医原性サルコペニア は、医療行為によって新たに生じるサルコペニアで、SDの誘因になりうる SDの治療法は確立されていないが、 リハビリテーション栄養 (高エネルギー・高たんぱく質を含む“攻めの栄養管理”+運動介入)が有用な可能性がある ■ はじめに サルコペニアの摂食嚥下障害(Sarcopenic dysphagia: SD)とは、 全身および嚥下に関わる筋群のサルコペニアが原因となって生じる嚥下障害 です¹)。 SDの背景には、 加齢に伴う 一次性サルコペニア 活動低下、低栄養、疾患(侵襲・悪液質)などによる 二次性サルコペニア が含まれます¹)。 そしてSDを語る上で特に重要なのが、 治療の過程で生じる「医原性サルコペニア」を発症させないこと です。医原性サルコペニアは、SDを誘発・増悪させる要因になり得るため、 予防が極めて重要 です。 SDの治療はまだ確立
2025年12月20日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する⑲~低栄養とサルコペニアの診断と重症度判定
― GLIM criteria と AWGS をどう使い分けるか ― ■ 低栄養の診断(GLIM criteria) ● 診断 現症基準と病因基準のそれぞれ1項目以上に該当する場合、低栄養と診断 します。GLIM criteria では、スクリーニング後にこの診断ステップへ進むことが前提とされています。 ● 重症度分類 低栄養と診断された場合、 現症基準(体重減少・低BMI・筋肉量減少) をもとに重症度を判定します。 重症度は以下の2段階です。 中等度低栄養(Stage 1) 重度低栄養(Stage 2) アジア人における低BMIの基準については長らく検討課題とされてきましたが、 Maedaら により、日本人に適した基準が提唱されました⁶)。 日本人における低BMIの基準(GLIM) 中等度(Stage 1) - 70歳未満:<18.5 kg/m² - 70歳以上:<20.0 kg/m² 重度(Stage 2) - 70歳未満:<17.0 kg/m² - 70歳以上:<17.8 kg/m² ■ GLIM criteria における低栄養の
2025年12月19日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する⑱~低栄養とサルコペニアをどう評価するか
― GLIM criteria と AWGS を用いた実践的アプローチ ― ■ ポイント整理 低栄養の診断 は GLIM criteria を用い、 ①スクリーニング → ②アセスメント → ③診断 → ④重症度判定 の手順で行う サルコペニア は進行性・全身性の骨格筋疾患であり、転倒・骨折・身体障害・死亡率増加と関連する サルコペニアの診断 には、 アジア人の基準である AWGS を用いることが望ましい ■ はじめに 2010年、European Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)により サルコペニアの定義 が発表され、2018年に改訂(EWGSOP2)されました¹,²)。 EWGSOP2では、 「サルコペニアは、進行性・全身性に生じる骨格筋疾患であり、転倒、骨折、身体障害、死亡率といった不良な転帰の増加に関連する」 と定義されています²)。 この定義は、 サルコペニアが高齢者に限らず、若年者にも生じうる疾患である ことを示唆しています。さらに EWGSOP2 では、 低栄
2025年12月18日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する⑰~KTバランスチャートを使用する際の注意点
KTバランスチャートの各段階には、 到達目標・次のステップへ進むための評価基準・必要な達成目標 が明確に示されています。そのため、評価を行う際には KTバランスチャート エッセンスノート ⁴)を活用し、評価者間で基準を共有したうえで、 正確な評価と多職種によるディスカッションを繰り返すこと が重要です。 また、KTバランスチャートは 「点数を上げること」自体を目的とするツールではありません。 終末期にある方では、病状の進行に伴いスコアが低下していくこともあります。そのような場面では、 点数を維持することが最善なのか 本人のQOL(生活の質)を考えたときに、どのような支援が適切なのか をあらためて考える必要があります。 数値の変化を「評価」ではなく「意味づけ」する視点 が求められます。 ■ 予防から小児まで広がる活用可能性 KTバランスチャートは、終末期だけでなく フレイル高齢者への予防的アプローチ にも活用可能です。 フレイル予防の視点では、口腔機能・身体活動・栄養状態・社会参加の維持を早期に評価できる 健康寿命延伸を目的とした介入ポイントを可
2025年12月17日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑮~口からの摂取をあきらめないための
多職種による「攻める」アプローチ ■ KTバランスチャートが示す多職種連携の視点 口から食べることをあきらめない ためには、一職種だけではなく、 多職種がそれぞれの専門性を持ち寄り、重なり合いながら関わること が不可欠です。 KTバランスチャートの13項目は、以下のように各職種の専門性に沿って構成されています。 食べる意欲 全身状態 呼吸状態 口腔状態 認知機能(食事中) 咀嚼・送り込み 嚥下 姿勢・耐久性 食事動作 活動 摂食状況レベル 食物形態 栄養 これらは一見、**「担当職種が決まっている項目」**のように見えますが、実際には 専門分野を越えて互いが関与することで、チームとしての力が最大化 されます。 KTバランスチャートは、「誰が悪い」「どこができない」ではなく、 チームでどう支えるかを考える共通言語 として機能します。 ■ 口からの摂取をあきらめないための 摂食嚥下調整食と栄養補給の考え方 ● 食物形態(KT⑫)の考え方 KTバランスチャートの⑫「食物形態」では、摂取状況に応じた段階的な分類が行われます。その目的は、 安全・安楽・自律
2025年12月15日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する⑭~「口から食べる」を本気で支えるために
― KTバランスチャートと“攻めの栄養管理” ― ■ 口から食べることを「攻めていく」ために 口から食べることを守り、さらに一歩前へ進めるためには、 評価を可視化できるツール が欠かせません。その中で有効なのが KTバランスチャート です。 KTバランスチャートは、✔ 信頼性・妥当性が検証された評価ツール であり、✔ 摂食嚥下・栄養・生活全体を包括的に捉えることができます。 経口摂取へ挑むためには、「危険だから控える」ではなく、 状況を見極めた上で栄養ルートを選択し、早期から経口摂取を支援する“攻めの栄養管理” が重要です。 ■ はじめに 私たちは皆、 経口摂取の重要性 をよく理解しています。栄養補給において、経口摂取が他の方法と比べてどれほど価値のあるものかも、十分に認識しています。 しかし―― 「本当に行動できているか?」「挑み続けているか?」 と問われると、 外的圧力や阻害因子を理由に、踏みとどまってはいないでしょうか。 私が初めて 「口から食べる幸せを守る会」代表・小山珠美氏 の講演を拝聴した際、経口摂取を願う患者・家族に寄り添いなが
2025年12月14日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑬~【口から食べることをあきらめないために】
食べることは、単なる栄養摂取行為ではありません。 家族と同じ食卓を囲む 食べ物の香り・味・温度・食感を楽しむ 外食というレジャーを楽しむ 人と共有する時間と体験を持つ これらの“付加価値”が、人の活動・参加・生活の質(QOL)を支えています。 高齢者にとって 「口から食べられない」 という事実は、身体機能だけでなく、 活動・参加・精神面 に大きな影響を与える重大な問題です。 ▼ 経口摂取は100%安全でない。しかし、代替手段もまたリスクを持つ 重度の嚥下障害では誤嚥や窒息のリスクがあるため、医療者が慎重な判断をすることは当然ですが、 静脈栄養:カテーテル感染、電解質異常、腸管不使用による免疫能低下 経管栄養:逆流、誤嚥、下痢、留置トラブル 栄養補給の代替手段も 決して100%安全ではありません。 さらに、経口摂取をしない期間が長引けば長引くほど、 嚥下機能そのものが低下していきます。 だからこそ、医療者が“とりあえず禁食”という判断を安易に下すことは避けるべきです。 ▼ 攻めの栄養療法が果たす役割 攻めの栄養療法とは、 必要な栄養量を確保し
2025年12月13日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑫~【サルコペニア嚥下障害に対する治療】
― 栄養 × リハ × 多職種連携による「攻めの栄養療法」 ― サルコペニアを背景とした摂食嚥下障害は、従来の嚥下リハビリだけでは改善が難しいことが知られています。その理由は、嚥下筋の筋力低下だけでなく、 全身の低栄養・筋量低下 が同時に進行しているためです。 そこで重要になるのが、 「攻めの栄養療法(アグレッシブ・ニュートリション)」 を用いた包括的アプローチです。 ▼ 1. 低栄養とサルコペニアを改善する ― 攻めの栄養療法の役割 回復期リハ病棟での多施設研究では、 低栄養リスクが高い患者ほど、経口摂取の獲得が困難である と報告されています。 しかし現場では、 低栄養のリスクが十分に認識されていない 認識されていても栄養介入不足という問題がしばしば見受けられます。 ● 栄養不足が続くと何が起こるか? 全身の筋肉量が減少 嚥下筋も萎縮 嚥下機能低下 → 食べられない → さらなる低栄養 ADL・QOL低下 この悪循環を断ち切るには、 筋肉と栄養状態を同時に改善する“攻めの栄養療法”が不可欠 です。 ▼ 攻めの栄養療法の有効性:症例報告(3
2025年12月12日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑪~【疾病構造の変化とサルコペニア嚥下障害への新しい対応】
日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進み、医療の中心は「治す医療」から “併存疾患を抱える高齢者の生活を支える医療” へと変化しています。こうした疾病構造の変化の中で、摂食嚥下障害も従来のアプローチだけでは十分に改善できないケースが増えてきました。 特に、高齢者では下記の要因が複雑に絡み合い、嚥下機能が低下しやすくなります。 ■ 高齢者の嚥下低下と関係する要因 併存疾患(心疾患、脳疾患、腎不全、感染症など) ポリファーマシー(多剤服用) 認知症による食行動変化 活動量低下 低栄養 サルコペニア これらが重なると、単純な「嚥下訓練」だけでは改善しないケースが多く見られます。 ■ サルコペニアを伴う嚥下障害では“従来型リハだけでは不十分” 従来の摂食嚥下訓練は、構造的・神経学的障害に対しては効果的でした。しかし近年増えている サルコペニア(筋肉量低下)を背景とした嚥下障害 では、 嚥下筋そのものが萎縮 全身の筋力低下により姿勢保持が困難 呼吸筋力低下により誤嚥リスク増大 食事量低下 → さらなる低栄養 → 筋力低下(悪循環) というメカニズ
2025年12月11日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑩~【攻めの栄養療法の重要性】
― 高齢者の経口摂取を守るために ― ■ はじめに 日本では急速な高齢化に伴い、要介護高齢者の数が増え続けています。要介護となる主な原因として、 認知症 脳卒中 骨折 高齢者の衰弱(フレイル) などが挙げられ、これらの患者さんの多くは 低栄養 を合併しています。 特に入院中の高齢者では、 不必要な安静 不必要な禁食(点滴管理) が続くことで、摂食嚥下機能が急速に低下し、結果として 経口摂取ができなくなる ことがあります。 このようなケースでは「嚥下訓練だけ」で経口摂取を回復することは難しく、 同時に栄養状態を改善しなければ嚥下機能が戻らない 場合も少なくありません。 そのため近年、「攻めの栄養療法(リハ栄養)」が注目されており、経口摂取を継続するうえで不可欠なアプローチとなっています。 ■ 経口摂取が困難になる理由 摂食嚥下障害(嚥下障害)は、さまざまな後天的要因で起こります。 ● ① 器質的な変化 舌がん 咽頭・喉頭がん 歯の脱落・不良補綴 など、嚥下に必要な構造そのものが障害されるパターン。 ● ② 機能的な変化 脳血管疾患(脳梗塞・脳
2025年12月10日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑨~【EBMに基づく臨床意思決定】
目の前の患者に「診療ガイドライン」をどう適用するか リハ栄養診療ガイドラインを理解するためには、 EBM(Evidence-Based Medicine)=科学的根拠に基づいた医療 の考え方が不可欠です。EBMは「研究エビデンスだけ」で決めるものではなく、次の3つが重なった領域こそが、もっとも望ましい臨床判断とされています。 ● EBMを構成する3つの柱 研究エビデンス (scientific evidence) 患者の価値観・行動 (patient values) 医療者のスキル・経験・専門性 (clinical expertise) さらに、 臨床状況・社会環境 も必ず判断に影響します。 ▼ ガイドラインは「そのまま当てはめればよい」ものではない 診療ガイドラインは、あくまで “より良い意思決定を支援するための道標” です。 実際の臨床では、以下の点を丁寧に確認する必要があります。 【1】患者固有の状況を把握する 多疾患併存 栄養状態・身体機能 家族背景・介護力 経済的・社会的状況 在宅 or 病院などの医療環境 ガイドラインに記載され
2025年12月9日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑧~【リハ栄養診療ガイドライン2018】
成人がん・急性疾患の最新エビデンスと、EBMに基づくガイドラインの読み解き方 リハビリテーションと栄養療法は、どちらも患者さんのQOL(生活の質)や回復過程に強く影響します。「リハ栄養診療ガイドライン2018」では、主要4疾患(脳血管疾患/大腿骨近位部骨折/成人がん/急性疾患)について、 患者個別の状態に応じた“強化型栄養療法”の有効性 が検討されています。 この記事では、特に質問の多い 成人がん・急性疾患領域 のポイントと、ガイドラインを読み解くための EBM(Evidence Based Medicine)の考え⽅ までを分かりやすくまとめました。 ▼【成人がん】リハ+栄養指導のプログラムは行うべきか? ● CQ 不応性悪液質を除く成人がん患者に、リハビリと栄養指導を組み合わせたプログラムを行うべきか? ● 推奨(一定の推奨はしない/エビデンス非常に低い) 補助化学療法・放射線治療を受ける成人がん患者において、現時点では リハ+栄養指導プログラムを一律に推奨できるだけのエビデンスは不足 しています。 ただし―― 患者・家族の意向 病状
2025年12月8日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する⑦~【リハ栄養診療ガイドライン2018】
4つの主要疾患に対する “強化型栄養療法” の意義をわかりやすく解説 在宅医療・リハビリテーションの現場では、栄養状態が患者さんの回復に大きく影響します。そのエビデンスを体系的に整理したのが 「リハ栄養診療ガイドライン2018」 です。 本ガイドラインでは、日本リハ栄養学会が中心となり、4つの疾患領域について “強化型栄養療法” を行うべきかどうか を GRADE システムに基づいて検討しています。 ◆ 強化型栄養療法とは? 通常の食事提供や給食サービスに加えて、 個別栄養アセスメント 栄養指導・栄養カウンセリング 経口補助栄養(ONS)の活用 経腸栄養/静脈栄養の適切な併用 などを組み合わせ、 患者ごとの状態に合わせて栄養介入を最適化すること を指します。 【1】脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など) ● CQ リハを実施している高齢の脳血管疾患患者に、強化型栄養療法は行うべきか? ● 推奨(弱い推奨・エビデンス低) 急性期の高齢脳血管疾患患者では、 死亡率 感染症の合併 QOL を改善する可能性があるため、 強化型栄養療法を弱く推奨 すると
2025年12月7日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑦~【リハ栄養診療ガイドライン2018】
4つの主要疾患に対する “強化型栄養療法” の意義をわかりやすく解説 在宅医療・リハビリテーションの現場では、栄養状態が患者さんの回復に大きく影響します。そのエビデンスを体系的に整理したのが 「リハ栄養診療ガイドライン2018」 です。 本ガイドラインでは、日本リハ栄養学会が中心となり、4つの疾患領域について “強化型栄養療法” を行うべきかどうか を GRADE システムに基づいて検討しています。 ◆ 強化型栄養療法とは? 通常の食事提供や給食サービスに加えて、 個別栄養アセスメント 栄養指導・栄養カウンセリング 経口補助栄養(ONS)の活用 経腸栄養/静脈栄養の適切な併用 などを組み合わせ、 患者ごとの状態に合わせて栄養介入を最適化すること を指します。 【1】脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など) ● CQ リハを実施している高齢の脳血管疾患患者に、強化型栄養療法は行うべきか? ● 推奨(弱い推奨・エビデンス低) 急性期の高齢脳血管疾患患者では、 死亡率 感染症の合併 QOL を改善する可能性があるため、 強化型栄養療法を弱く推奨 すると
2025年12月6日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑥~【診療ガイドラインを“使いこなす”ということ】
――EBMとリハ栄養の実践から考える、臨床判断のあり方―― リハ栄養診療ガイドライン2018が発表されて以来、臨床現場では「どの患者に、どこまで介入すべきか?」という判断場面が増えています。 しかし、ガイドラインは そのまま自動的に当てはめれば良い“マニュアル”ではありません。 重要なのは、「目の前の患者にどう適応するか」を考える医療者の姿勢です。 図にあるように、EBMの臨床決定には次の3つが重なり合います。 研究エビデンス 患者の価値観・行動 医療者のスキル・経験 そしてこれらを包むのが、臨床の状態や環境です。 ガイドラインを活かす鍵は、この“重なり合い”にあります。 ◆ 1. ガイドラインをそのまま当てはめてはいけない理由 信頼できる診療ガイドラインであっても、 すべての患者に一律に適用できるわけではありません。 まず必要なのは、 併存疾患 社会的背景 栄養状態 家族の支援体制 リハの受けられる環境など、患者個人の状況を丁寧に把握すること。 そのうえでガイドラインに照らし、 この患者にとってエビデンスは妥当か ガイドラインの推奨が“利益>不
2025年12月4日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する⑤~【リハ栄養診療ガイドライン2018のポイントまとめ】
――4疾患に対する最新エビデンスと実践への活かし方―― リハ栄養の実践では、 「どの患者に、どの程度の栄養介入を行うべきか?」 という判断が常に求められます。 その指針となるのが、 リハ栄養診療ガイドライン2018 です。ここでは、ガイドラインが示す重要ポイントをわかりやすくまとめます。 ◆ リハ栄養診療ガイドライン2018の対象疾患 現時点での信頼できるエビデンスをもとに、4つの疾患領域に対して推奨が作成されています。 ● 対象となる4疾患 脳血管疾患 大腿骨近位部骨折 成人がん(不応性悪液質を除く) 急性疾患(acute illness) これらの臨床課題(CQ)に対して、 GRADE system (エビデンス評価方法)に基づき推奨が整理されています。 ◆ 強化型栄養療法とは? ガイドラインにおける「強化型栄養療法」は、通常の食事や給食に加え、 個別の栄養アセスメント 栄養指導、栄養カウンセリング 経口補助食品(ONS) 経腸・静脈栄養 などを組み合わせて行う 積極的な栄養介入 を指します。 ◆ 4疾患の推奨内容(エッセンス) ① 脳血
2025年12月3日読了時間: 4分


攻めの栄養療法を科学する④~【診療ガイドラインとEBM】
――リハ栄養診療ガイドライン2018をどう使うか―― 医療現場では「エビデンスに基づく医療(EBM)」という言葉が欠かせません。しかし、EBMを“現場で実践する”となると、多職種を巻き込むリハ栄養の領域では特に難しさを感じることもあります。 今回は、 「診療ガイドラインとは何か?」「EBMとは何か?」「リハ栄養診療ガイドライン2018をどう活かすのか?」 について分かりやすく整理します。 ◆ 診療ガイドラインとは何か? 診療ガイドラインとは一言でいうと、 “患者と医療者がより良い意思決定をするための道しるべ” です。 厚労省のMinds(ガイドライン選定・評価機構)では次のように定義されています。 重要な医療行為について 信頼性の高いシステマティックレビューと 効果と害のバランスを総合評価し 患者と医療者の意思決定を支援するために作成された文書 つまり、 診療ガイドラインは「拘束力のあるマニュアル」ではありません。 むしろ、 各患者の状況に合わせて“どう応用するか”を考えるための根拠集 という方が正しい理解です。 患者家族からも、「ガイドラインに
2025年12月2日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する③~【攻めの栄養療法をどう実践する?】
――リハ栄養ケアプロセスに沿った実践ステップ―― 低栄養・サルコペニア・フレイルがある患者さんでは、**「食べられるようになったらリハをする」**では遅く、 栄養 × リハビリを同時に進める“リハ栄養”が極めて重要 です。 中でも今回のテーマである 攻めの栄養療法(アグレッシブ・ニュートリション) は、リハ栄養ケアプロセスの中でどう実践するかがカギになります。 ◆ 攻めの栄養療法の成否は「アセスメント」と「ゴール設定」で決まる 攻めるべきかどうかは、 対象者をどれだけ深く把握できたか(アセスメント)目指す姿をどれだけ明確に描けたか(ゴール設定) で決まります。 ▶ リハ栄養アセスメント・診断推論 ここで行うのは、 なぜ体重が減ったのか なぜサルコペニアになったのか 栄養摂取不足の原因は?(量/内容/嚥下/環境) 疾患ストレス・炎症は? ICFの観点での生活機能は? という 原因の深掘り です。 ▶ リハ栄養ゴール設定 次に、 「この人はどの状態に戻りたいのか(あるべき姿)」 を具体化します。 例: 1か月で体重+1kg 2週間で歩行距離を+20
2025年12月1日読了時間: 3分
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