攻めの栄養療法を科学する31~各種疾患・合併症における禁忌事項
- 2026年1月1日
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● 肝不全・肝性脳症
― たんぱく質を「増やすほど危険」になる病態 ―
■ 肝臓は栄養代謝の中枢臓器
肝臓は、栄養代謝の司令塔ともいえる臓器であり、以下の重要な役割を担っています。
血糖値の維持
グリコーゲン・アミノ酸・乳酸からの糖新生
脂肪酸からのケトン体産生
アミノ酸代謝・尿素サイクルによるアンモニア処理
そのため、肝機能障害=栄養代謝そのものの破綻を意味します。
■ 肝不全で起こるアミノ酸バランスの異常
肝不全では、血中アミノ酸バランスが大きく崩れます。
● 上昇するもの
芳香族アミノ酸(AAA)
チロシン
フェニルアラニン
トリプトファン
● 低下するもの
分岐鎖アミノ酸(BCAA)
ロイシン
イソロイシン
バリン
BCAAは、
エネルギー産生
血中アンモニア代謝
に利用されるため、肝不全では消費されやすく低下します。
■ 急性肝障害と慢性肝不全の違い(重要)
● 急性肝障害
たんぱく質合成能が急激に低下
適切なたんぱく質補充が必要
● 慢性肝不全
高たんぱく摂取が窒素負荷となる
肝性脳症を誘発・増悪させる危険
👉 「肝疾患=高たんぱくが良い」とは限らない👉 病態の見極めが不可欠です。
■ 肝性脳症が起こるメカニズム
肝不全では、
肝臓の尿素サイクル機能低下
アンモニア処理能の低下
により、高アンモニア血症を来します。
この状態で、
たんぱく質を過剰摂取
攻めの栄養療法を実施
すると、
👉 肝性脳症の進行👉 肝性昏睡のリスク増大
につながります。
■ 肝不全の栄養療法で必須となる評価
肝不全患者では、以下の評価を行わずに「たんぱく質を増やす」ことは極めて危険です。
● 必須評価項目
血中アンモニア値
BTR(分岐鎖アミノ酸/チロシンモル比)
👉 BTR低下は肝性脳症リスク上昇のサイン
■ 攻めの栄養療法を行う際の原則
肝不全患者における攻めの栄養療法は、
一律に行ってはならない
たんぱく質不耐症の有無を最優先で評価
● 実践のポイント
たんぱく質量は👉 アンモニア値・BTRを見ながら調整
高アンモニア血症を認める場合👉 たんぱく質の過剰摂取は避ける
必要に応じて👉 BCAA製剤の活用を検討
■ 結論
肝不全・肝性脳症における禁忌
評価なしの高たんぱく栄養は禁忌
攻めの栄養療法は👉 肝性脳症を進行させるリスク
栄養管理の目的は👉 代謝是正と意識障害の予防
■ 在宅医療・高齢者医療での視点
肝硬変・肝不全患者は「食事量が少ない=増やすべき」とは限らない
眠気・意識変容・転倒は肝性脳症のサインであることも多い
栄養は👉 QOLと安全性を守るための調整ツール
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