攻めの栄養療法を科学する46~免疫調整経腸栄養剤とは
- 1月17日
- 読了時間: 3分

―「免疫を上げたい」時に、誰にでも使ってよいわけではない―
免疫調整経腸栄養剤(Immunonutrition)とは、免疫増強効果が期待される栄養素を強化した経腸栄養剤です。
主に以下の栄養素が強化されています。
グルタミン
アルギニン
核酸
n-3系脂肪酸
抗酸化ビタミン など
主な投与対象
消化管の待機手術患者
外傷患者 など
術前に免疫賦活栄養剤を投与することで、術後感染症の減少などの効果が報告されており、消化器外科のメジャーな待機手術でルーチンに推奨する報告もあります。
インパクト(Impact)とMEINの違い
🔹 インパクト
栄養組成に大きな偏りがある
2週間以上の長期投与は栄養状態改善には不向き
短期・周術期使用が前提
🔹 MEIN
栄養の「質」を調整した設計
栄養インバランスが少なく、長期摂取が可能
⚠️ 重要な注意点
ALI(急性肺障害)
重症敗血症などの重症感染症患者
では、有効性が示されないばかりか、死亡率上昇の報告もあるため、使用は推奨されません。
👉 「免疫を上げたいから使う」ではなく、病態選択が最重要です。
リハビリテーション栄養用の栄養剤
リハビリテーションと栄養管理を同時に行う場面では、リハ栄養用に設計された栄養食品も有効な選択肢となります。
主な製品例
リハデイズ
メディミル ロイシンプラス
リハたいむゼリー
アミノエールゼリー ロイシン40
リハサポートmini
サルコファイバー など
※ 総合栄養剤の中にも、リハ栄養患者の経管栄養に適した組成の製品があります。
高粘度経管栄養剤という選択肢
固形化経腸栄養剤(ゲル化)
固形化経腸栄養剤とは、寒天などを用いて液体栄養剤をゲル化し、
「重力に抗して形態を保つ硬さ」
を持たせたものです。
特徴
生理的な形態に近い
以下の改善効果が期待される
嘔吐
栄養剤リーク
下痢
課題
調理に手間と時間がかかる
多数のシリンジや設置スペースが必要
一方で、寒天は安価・入手容易という利点から、在宅や施設で採用されることも少なくありません。
半固形状栄養剤(胃瘻用)
特徴
粘度:約5,000~20,000 mPa・s
主に胃瘻用として使用
日本で開発・発展し、多くの臨床的有用性が報告されています。
2014年には、👉 ラコールNF配合経腸用半固形剤(医薬品)も登場しました。
半固形栄養剤に期待される効果
① 胃食道逆流の減少
誤嚥性肺炎の減少
嘔吐の防止
② 栄養剤リークの減少
スキントラブルの防止
③ 小腸通過時間の延長
下痢の軽減
投与後高血糖の抑制
ダンピング症候群の防止
④ 投与時間の短縮
褥瘡悪化の予防
リハビリ時間の確保
介護負担の軽減
使用時の注意点(重要)
粘度測定方法はメーカーごとに異なり、統一されたガイドラインは未整備
投与方法に注意
加圧バッグ
カテーテルチップシリンジ
スクイーザー
手で絞り出す方法
腹部を圧迫しない投与姿勢を徹底する
👉 「半固形だから安全」ではなく、投与方法と姿勢管理が効果と安全性を左右します。
まとめ|特殊栄養剤ほど「使いどころ」が重要
免疫調整栄養剤は周術期・外傷など限定的適応
重症感染症では使用しない判断が重要
リハ栄養用・高粘度栄養剤は目的別に使い分ける
半固形栄養剤は誤嚥・下痢・時間短縮の切り札になり得るが、万能ではない
栄養剤は「種類」よりも「適応と使い方」。それが、攻めの栄養療法の本質です。
🔗 在宅医療・栄養管理・リハ栄養の実践はこちら👉 https://www.shounan-zaitaku.com/
#免疫調整栄養#Immunonutrition#経腸栄養#経管栄養#半固形栄養#高粘度栄養剤#リハ栄養#誤嚥性肺炎予防#下痢対策#在宅医療#訪問診療#高齢者医療#攻めの栄養療法#湘南在宅クリニック




コメント