攻めの栄養療法を科学する45~病態別経腸栄養剤とは?
- 1月16日
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―「必要な人に、必要な期間だけ」使う栄養戦略―
各種病態に伴う代謝異常の予防・是正を目的に、栄養素の組成を調整したものを**「病態別経腸栄養剤」**と呼びます。
ただし重要な前提として、経腸栄養を受ける患者さんの9割以上は、標準的な半消化態栄養剤で安全に耐用可能とされています。
つまり、👉 すべての患者に病態別栄養剤が必要なわけではありません。標準組成で代謝状態や栄養状態が保てない場合に、はじめて使用を検討します。
また名称から医薬品を想起しがちですが、肝不全用の2製剤を除き、ほとんどが食品である点も重要です。
肝不全用経腸栄養剤
特徴と目的
BCAA(分岐鎖アミノ酸)を多く含有
Fischer比(BCAA / AAA)を高めた設計
肝硬変では BCAA低下・AAA上昇 が生じる
改善を狙う代謝異常
アミノ酸インバランス
糖質貯蔵量低下
インスリン抵抗性増大に伴う糖利用障害
製品区分
医薬品:
成分栄養剤:ヘパンED
半消化態栄養剤:アミノレバンEN
食品:ヘパスⅡ など
糖尿病用経腸栄養剤
目的
摂取後血糖上昇の抑制
設計の工夫
糖質と脂質の割合・質を調整
低GI設計、脂質比率増加など
主な製品(例)
グルセルナーREX
アイソカル グルコパルTF
タピオンα
ディムス/ディムスアセプパック
明治インスロー
リソース グルコパル(計13品目・7種類)
👉 血糖コントロールが標準栄養剤で不十分な場合に検討します。
腎不全用経腸栄養剤
特徴
たんぱく質・電解質(K・Pなど)制限
水分制限に対応した高エネルギー設計
対象
CKD(慢性腎臓病)
ステージに応じた栄養管理が必要
注意点
長期使用により、制限された栄養素の欠乏を招く可能性
定期的なモニタリングを行い、👉 標準栄養剤との使い分けが重要
急性腎不全では?
原因疾患への対応が最優先
腎不全用栄養剤の必要性は低いことが多い
呼吸不全用経腸栄養剤
特徴
脂質増量・糖質減量
呼吸商(RQ)に配慮した高エネルギー設計
製品
プルモケアEx(※現在1種類)
実臨床での考え方
糖尿病用製品の中にも同様の設計思想のものあり
有効性は明確に証明されていないため、👉 標準組成の経腸栄養剤で問題ないケースが多い
がん患者用経腸栄養剤
背景
がん悪液質に伴うがん誘発性体重減少(CIWL) は、
疼痛コントロール
抗がん剤反応性など治療効果にも影響
特徴
EPA(エイコサペンタエン酸)を強化
エビデンス
進行すい臓がん患者において、**EPA含有栄養剤(プロシュア)**は標準栄養剤と比較し、体重減少抑制効果が報告されています。
まとめ|病態別栄養剤は「切り札」ではなく「選択肢」
原則は標準的な半消化態栄養剤
代謝・栄養状態が維持できない場合に病態別を検討
全員に使うものではない
定期的な評価と標準栄養剤への戻しも重要
病態別経腸栄養剤は、“必要な患者に、必要な期間だけ”使う。それが、攻めの栄養療法における基本姿勢です。
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