攻めの栄養療法を科学する33~各種疾患・合併症における禁忌事項
- 賢一 内田
- 14 分前
- 読了時間: 3分
● 慢性心不全

―「攻めたいが、攻めすぎてはいけない」代表的病態 ―
■ 慢性心不全とは
心不全とは、
「心臓の器質的・機能的異常により、心ポンプ機能の代償機転が破綻し、呼吸困難・倦怠感・浮腫を生じ、運動耐容能が低下する臨床症候群」
と定義されます。
慢性心不全では、循環・体液・代謝・栄養状態が密接に絡み合います。
■ 慢性心不全における栄養管理の基本
慢性心不全の栄養管理で重要なのは、次の2点です。
適正なエネルギー量の確保
体液バランスに関わるナトリウム(塩分)管理
■ 推奨されるエネルギー・たんぱく質量
● エネルギー量
サルコペニア・フレイルを合併しやすいため、
30 kcal/kg/day 以上
が目安とされます。
● たんぱく質量
1.2~1.5 g/kg/day
が推奨されます。
👉 ここだけ見ると「攻めの栄養療法」が必要に見えますが、重要な落とし穴があります。
■ 腎機能障害を伴う場合の禁忌
慢性心不全では、腎機能障害を合併するケースが非常に多いのが現実です。
● eGFR < 45 mL/分/1.73m²
(CKD G3b 以上)を認める場合
たんぱく質:👉 0.6~0.8 g/kg/day へ制限
👉 腎機能を無視した高たんぱく設定は禁忌👉 心不全悪化・尿毒症リスクを高めます。
■ ナトリウム(塩分)管理の重要性
ナトリウムは、細胞外液の浸透圧維持に深く関与します。
● 長期的な過剰摂取により
浸透圧上昇
血管内水分量増加
浮腫・うっ血・心不全増悪
を引き起こします。
● 食塩摂取基準
男性:7.5 g/日 未満
女性:6.5 g/日 未満
さらに、
高血圧・CKDの重症化予防目的では👉 男女とも 6.0 g/日 未満
が推奨されています。
■ 攻めの栄養療法で注意すべきポイント
● るい痩・サルコペニアを伴う場合
エネルギー不足は明確な悪化因子
エネルギー量の確保は重要
● しかし、以下は禁忌
腎機能障害を無視した高たんぱく設定
塩分増加を伴う「量だけ増やす食事」
特に、
エネルギー確保を目的に👉 副食量を増やす👉 加工食品を多用する
と、知らないうちに塩分過剰となる危険があります。
■ 「減塩しすぎ」もまた問題
一方で、
極端な減塩
味気なさによる食欲低下
は、
摂取エネルギー低下
栄養不良
フレイル進行
につながります。
👉 減塩と栄養確保のバランスが極めて重要です。
■ 結論
慢性心不全における攻めの栄養療法の考え方
エネルギー:👉 不足は禁忌
たんぱく質:👉 腎機能を無視した高負荷は禁忌
塩分:👉 過剰も極端な制限も禁忌
慢性心不全では、
「攻める部分」と「守る部分」を同時に判断する栄養管理
が求められます。
■ 在宅医療・高齢者医療での視点
心不全患者はフレイル・サルコペニアを合併しやすい
体重増加=改善とは限らない👉 浮腫・体液貯留の可能性
栄養は👉 心・腎・体液のバランスを見ながら微調整
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