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逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

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誤嚥性肺炎を科学する45~ケア提供者の取り組み次第で患者さんの栄養状態が左右されるのですから、専門職として誇りをもったケアを提供しましょう。
Message 寝たきり高齢者は活動量がきわめて落ちているため、呼吸・嚥下にかかわる筋や腰背部・体幹筋への重力負荷が重要である 日中は起床してもらい、嗜好に合わせて工夫した高タンパク質食の提供を検討してみよう 寝たきりですべてのADLに介助を要する場合、リハ栄養の考え方を使わなければ 単に寝かせきりのケアになってしまいます。 関節は拘縮し、日内リズムも悪くなり、摂食量が維持できなくなります。ケア提供者の取り組み次第で患者さんの栄養状態が左右されるのですから、専門職として誇りをもったケアを提供しましょう。 🛏 ケース①:誤嚥性肺炎予防のためのリハ栄養プログラム 📋 事例 72歳のTさん(男性)。10年前にくも膜下出血を患って以来、寝たきり状態です。摂食嚥下障害もあり、現在は総義歯を装着し、ミキサー食を摂取しています。70代になってから誤嚥性肺炎を2回発症。体重は直近1年で3kg減少しています。 プラン 1 プラン 2 運動 日中の離床(図5-16) リクライニング車いすを活用して日中は居間で過ごす リクライニング角度はできるだけ大きく上げて調整
3月11日読了時間: 6分


誤嚥性肺炎を科学する44~
Message 寝たきりではない要介護高齢者には、活動量確保と低栄養改善のための食支援がリハ栄養となる 通所サービスなどを利用して活動量を増やし、腎機能に応じたタンパク質摂取を心がけよう 要介護高齢者は日常生活の活動量があまり多くありません。ADLの一部に介助を要する方を想定しています。 筋肉量・筋力を維持・増加させるために、リハ栄養のコンセプトを使った栄養ケアには高い価値があります。 🧑🦽 ケース①:誤嚥性肺炎予防のためのリハ栄養プログラム 📋 事例 83歳のSさん(女性)。3年前の大腿骨近位部骨折の手術後から要介護認定を受けています。歩行器歩行、入浴と更衣に介助が必要です。体重は軽く、BMIは18.0 kg/m²と推定されています。疲れやすく、1人で外出することはなく屋内生活が中心です。 プラン 1 プラン 2 運動 座ってできる体操(毎日)(図5-12) 椅子に座ってできる四肢や体幹のストレッチ運動で筋肉や関節の柔軟性を高める 立ち上がりパワーリハ(図5-13) 椅子に座る・立ち上がる運動をゆっくり行い、起立筋・臀部・下肢筋、上肢に
3月10日読了時間: 5分


誤嚥性肺炎を科学する43~フレイル高齢者の場合は、積極的な筋負荷と栄養摂取を行おう
Message フレイル高齢者の場合は、積極的な筋負荷と栄養摂取を行おう(禁食の場合は、禁食期間を短くできるように食べる支援技術を磨こう) フレイル高齢者とは、身体機能に明らかな障害はなく日常生活が自立しているものの、 体重減少・筋機能低下・疲労感・活動量低下 などをいくつか満たす「少し弱ってきた高齢者」のことです。完全に健常ではないこの段階での介入が、誤嚥性肺炎予防に直結します。 🏃 ケース①:誤嚥性肺炎予防のためのリハ栄養プログラム 📋 事例 75歳のHさん(男性)。最近食事中にむせることが気になっています。また、横断歩道では歩行者信号が青のうちに渡りきれなくなってきました。 Hさんのような「むせ+歩行速度の低下」はフレイルの典型サインです。以下の2つのプランで 運動と栄養をセットに アプローチします。 プラン 1 プラン 2 運動 全身の体操(毎日) ラジオ体操・テレビ体操などの全身運動 下肢筋力増強パワーリハ(手すりを持ってのスクワットなど) ウォーキング(毎日) 30分以上の有酸素運動で代謝亢進・持久力向上 階段昇降パワーリハ(下肢
3月9日読了時間: 4分


誤嚥性肺炎を科学する42~リハビリテーション栄養の考え方を取り入れよう
Message リハビリテーション栄養の考え方を取り入れよう 運動と栄養をペアで考えて行い、筋力・体力の向上を目指そう 誤嚥性肺炎のリスクがある方の栄養管理は、「何を食べるか」だけを考えていては不十分です。 身体活動・社会参加・生活環境・個性など多角的に評価し、運動と栄養をセットで支援する「リハビリテーション栄養(リハ栄養)」 の考え方がとても大切です。 🌿 リハ栄養とは何か? 「リハビリテーション栄養」という言葉から、リハビリテーション患者だけの話と誤解されることがあります。しかし広い意味では、 障害をもつ方・障害リスクがある方すべての栄養管理 を含みます。 食べる機能(摂食嚥下)と呼吸する機能はどちらも筋機能に左右されます。筋肉は運動がなければ弱っていきます。そして、 栄養は筋肉をつくる最重要因子 です。 🏃 運動 + 🥗 栄養 → 💪 筋肉・体力の向上 図5-8:リハ栄養の基本 / 運動と栄養をペアで考えて行い、筋肉・体力の向上を目指す 感染症の発症や感染症との闘病には体力(=栄養状態)の低下も関わっています。体力とは「その人に見合
3月8日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する41~栄養評価方法あれこれ
― 低栄養を「1つの検査値」で判断してはいけない ― 在宅医療では、 低栄養の評価 が非常に重要です。しかし臨床現場では今でも 「アルブミンが低い=低栄養」 と単純に判断されてしまうことがあります。 これは 大きな誤解 です。 低栄養の診断は、 単一の検査値ではなく複数の要素を総合的に評価すること が重要です。 低栄養評価の基本 低栄養は以下のような 複数の項目 を総合して判断します。 低栄養を判断する要素 摂取量不足 体重減少 筋肉量低下 皮下脂肪減少 浮腫 身体機能低下(握力・歩行能力など) これらのうち 2項目以上該当すれば低栄養を疑う とされています。 体重変化は非常に重要 栄養評価では、体重変化が非常に重要な指標です。 目安としては 短期間 1〜4週間で体重2%以上減少 中期 2〜6ヶ月で体重5%以上減少 これらがある場合は 低栄養の可能性が高い と考えます。 栄養スクリーニングツール 臨床では次のようなツールがよく使われます。 代表的ツール MNA-SF (Mini Nutritional Assessment Short Form)
3月7日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する40~栄養量目標(カロリー)
― 誤嚥性肺炎を防ぐためのエネルギー管理 ― 誤嚥性肺炎は、やせて体力が低下した高齢者に多く発症します。 だからこそ重要なのは、 “どれだけ食べられているか” です。 ■ 点滴しているから安心、ではない 入院中や在宅治療中に、 「点滴しているから大丈夫」 と思っていませんか? 維持液(3号液)500mLに含まれるカロリーは 100kcal未満 です。 仮に1日4本入れても約300kcal前後。 これは、必要カロリーには全く足りません。 ■ カロリーの基本目安 高齢者の1日エネルギー目安は ▶ 現体重(kg) × 30kcal 体重50kgなら 約1,500kcal/日 が基準です。 ■ 活動量で調整する 活動量によって補正します。 ✔ アクティブな方:1.1〜1.4倍✔ ベッド上中心:0.8〜0.9倍 つまり、動く人ほどエネルギーが必要です。 ■ 低栄養の場合は上乗せ 体重増加を目標にする場合、 ▶ 200〜500kcal/日 上乗せ 例: 体重40kg室内ADL自立体重増加目標1kg/月 30kcal × 40kg = 1,200kcal+ 2
3月6日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する39~タンパク質と筋肉― 誤嚥性肺炎を防ぐために、筋肉を守る ―
誤嚥性肺炎は、「肺の病気」だけではありません。 実はその背景には、 筋肉量の低下 があります。 ■ なぜ筋肉が重要なのか 筋肉は、 ✔ 体を動かす✔ 呼吸を助ける✔ 飲み込む✔ 咳をする✔ 免疫力を支える すべてに関わっています。 筋肉量が低下すると、 ・体力低下・免疫力低下・嚥下力低下 が起こり、 誤嚥性肺炎のリスクが高まります。 ■ 入院で筋肉はさらに減る 誤嚥性肺炎で入院すると、 ✔ 安静✔ 食事量低下✔ 活動量低下 が重なり、筋肉量はさらに低下します。 その結果、 「肺炎は治ったのに歩けない」 という状態になることも少なくありません。 だからこそ、 誤嚥性肺炎の予防・治療には“筋肉への介入”が必要 なのです。 ■ 筋肉はタンパク質からできている 筋肉は常に ・合成(同化)・分解(異化) を繰り返しています。 タンパク質摂取が不足すると、分解が優位になり、筋肉量は減少します。 ■ どれくらいのタンパク質が必要か? 健常高齢者の目安は ▶ 1.0〜1.2g/kg/日 体重50kgの方なら50〜60g/日が目安です。 ただし、 腎機能が高度に低
3月5日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する37~脱水は、誤嚥性肺炎を悪化させる
― 水分管理は、在宅医療の要です ― 在宅医療で見落とされがちな問題。 それが 「脱水」 です。 脱水は単なる“水分不足”ではありません。 ✔ 感染症を引き起こす✔ 感染症を悪化させる✔ 死亡リスクを高める 重要な危険因子です。 ■ なぜ高齢者は脱水になりやすいのか 高齢者では、 ・体内の水分保持量が少ない・喉の渇きを感じにくい・自発的に飲水しない・嚥下障害がある といった要因が重なります。 特に摂食嚥下障害がある方は、 「自分で十分な水分を摂れない」 という前提で考える必要があります。 ■ 脱水と誤嚥性肺炎の関係 脱水が起こると、 ✔ 唾液量が減る✔ 唾液の性状が変化する✔ 口腔乾燥が進む その結果、 ✔ 口腔内の細菌環境が悪化✔ 唾液嚥下時の誤嚥リスク上昇 につながります。 つまり、 脱水は誤嚥性肺炎の土壌を作る のです。 ■ 誤嚥性肺炎治療中こそ水分管理が重要 誤嚥性肺炎の治療中は点滴が行われることもあります。 しかし、 点滴=循環血液量が十分 とは限りません。 維持液(3号液など)は体液バランスに従って血管外や細胞内へ分布します。 重
3月4日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する36~日中の起床が、誤嚥性肺炎を防ぐ
― 背もたれ60度が、命を守る ― 在宅医療の現場で、よく見かける場面があります。 「ベッドは起こしているから大丈夫です」 しかし、角度を確認すると30度、あるいは45度。 実はそれでは不十分なのです。 ■ なぜ“日中の起床”が重要なのか 誤嚥性肺炎を治療中の患者さん、あるいは予防したい高齢者にとって、 日中にしっかり起きていること は非常に大きな意味を持ちます。 ポイントは、 ▶ 背もたれ60度以上▶ できれば座位に近い姿勢 です。 ■ 首の筋肉は“3kg”を支えている 体重40kgの方で、頭の重さは約3kgあります。 日中しっかり起きていれば、その3kgを首や体幹の筋肉で支えています。 しかし、 ・30度・45度・半端なリクライニング では、首にかかる負荷が不足します。 すると何が起こるか? ✔ 頸部筋の萎縮✔ 嚥下に関わる筋力低下✔ 飲み込む力の弱化 につながります。 ■ 不十分な角度は「口が開く」 30〜45度の中途半端な角度では、 ・口が開きやすくなる・顎を閉じる筋肉が働きにくい という現象が起こります。 その結果、 ✔ 口腔乾燥✔ 唾
3月3日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する35~日中の離床が、患者さんの未来を変える
― 離床は“リハビリテーション”のひとつです ― 在宅医療の現場で、私たちが何度も向き合う言葉があります。 それは 「今日はずっと寝ていました」 という一言です。 しかし、実は―― “日中の離床”そのものが重要なリハビリテーション なのです。 ■ 離床とは何か? 離床とは、単に「ベッドから起きること」ではありません。 座る 車椅子に乗る 食卓に移動する デイサービスに行く 日光を浴びる これらすべてが、身体にとって意味のある活動です。 就寝時間以外にベッドから離れて過ごすことは、身体機能の維持に直結します。 ■ 離床がもたらす5つの効果 ① 筋量・筋機能の維持 立位や座位をとるだけで、背筋・腹筋・頸部筋などに重力がかかります。 筋肉は「使われて初めて維持」されます。寝たままの生活は、想像以上に筋力低下を早めます。 ② 末梢循環調節機能の維持 臥床が続くと、起立時に血圧が下がる「起立性低血圧」が起こりやすくなります。 離床は、血管や自律神経の働きを保つ大切な刺激です。 ③ 心肺負荷の軽減 横になっている時間が長いと、血液が肺にうっ滞しやすくなります
3月2日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する33~マンツーマンで行うリハビリテーション
― 誤嚥性肺炎治療中にこそ必要な介入 ― 誤嚥性肺炎の治療中、患者さんはどうしても ベッド上安静 活動量低下 食事量減少 となります。 その結果、 ✔ 廃用症候群✔ ADL低下✔ 嚥下機能低下✔ 再誤嚥 のリスクが急速に高まります。 そこで重要なのが、 マンツーマンで行うリハビリテーション です。 1. 誤嚥性肺炎とリハビリの関係 誤嚥性肺炎の治療中にリハビリを行うことで ADL維持 再入院予防 死亡率低下 が期待できると報告されています。 しかし在宅では、 療法士が常時介入できるとは限りません。 だからこそ、 医師・看護師・介護士が 日常ケアの中でリハビリを実施する ことが重要です。 実践編:在宅でできるマンツーマンリハ ① 耐久性訓練 誤嚥性肺炎の治療中は臥床時間が増えます。 臥床により 下肢筋力低下 体幹筋力低下 起立耐性低下 が急速に進みます。 実践例 ✔ 座位保持訓練✔ 立位保持✔ 短距離歩行 「少しだけ負荷を増やす」ことがポイントです。 ② ADL訓練 ADL(日常生活動作)は最も重要なリハビリです。 トイレ動作 更衣 食事動作 洗面
3月1日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する32~誤嚥性肺炎の予防とケアとしてのリハビリテーション
― 「リハビリ=訓練」ではない ― 誤嚥性肺炎は、在宅医療で最も頻度の高い重篤疾患のひとつです。 しかし、誤嚥性肺炎の予防は「嚥下訓練だけ」ではありません。 重要なのは、 障害者へのケアすべてがリハビリである という視点です。 1. リハビリの広い意味 リハビリには ✔ 狭義(療法士による疾患別リハ)✔ 広義(生活を支えるすべての支援) があります。 誤嚥性肺炎予防に関わるのは、主にこの「広義のリハビリ」です。 2. 疾患別リハビリ(狭義) 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行う 嚥下評価 嚥下訓練 呼吸リハビリ 姿勢調整 は非常に重要です。 しかし、それだけでは不十分です。 3. 集団体操の役割 体操は ✔ 心肺機能維持✔ 日中覚醒促進✔ 日内リズム調整 に役立ちます。 複数人で行う体操は、 集団意識 競争意識 社会参加意欲 を刺激し、導入・継続しやすいという利点があります。 4. 口腔ケアは「口のリハビリ」 口腔ケアは単なる清掃ではありません。 ✔ 口腔清掃✔ 機能的口腔ケア✔ 唾液腺刺激 を組み合わせることで、 「食べるための口」を維持し
2月26日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する31~リハビリテーションとは何か
― 在宅医療における「広い意味のリハビリ」 ― 「リハビリをお願いします。」 在宅医療の現場で、日常的に耳にする言葉です。しかし、この“リハビリ”という言葉、正しく理解されているでしょうか。 1. リハビリには2つの意味がある まず大切なのは、 リハビリには“広義”と“狭義”がある ということです。 ■ 狭義のリハビリ 理学療法士(PT)作業療法士(OT)言語聴覚士(ST) が行う、疾患別・専門的訓練。 いわゆる「機能回復訓練」です。 ■ 広義のリハビリ WHOはリハビリを、 「能力や状態の低下を最小限にし、社会参加を可能にするためのすべての支援」 と定義しています。 つまり、 ✔ 日常生活支援✔ 口腔ケア✔ 排泄介助✔ 栄養支援✔ 環境整備✔ 福祉用具導入 これらすべてが、広い意味でのリハビリです。 2. 要介護高齢者へのケアはリハビリである 歩行訓練だけがリハビリではありません。 安全に移乗する 自力で食事を続ける 排泄を維持する 会話能力を保つ 口腔機能を守る これらはすべて「能力の維持」という意味でリハビリです。 在宅医療では、 ケアその
2月25日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する30~禁食中の口腔衛生
― 食べていないからこそ、口腔ケアが必要な理由 ― 在宅医療の現場では、 ・脳卒中後・神経難病・進行がん・腸閉塞・終末期 などの理由で「禁食」となる患者さんが少なくありません。 しかし、ここで重要な事実があります。 食べていないことが、誤嚥性肺炎のリスクを高めることがある。 本日はその理由を整理します。 1. 禁食で何が起こるのか ■ 唾液が減る 禁食中は唾液分泌が著しく低下します。 唾液には ✔ 抗菌作用✔ 口腔内の洗浄作用✔ 潤滑作用 があります。 唾液が減ると、口腔は一気に「細菌優位環境」になります。 2. 口腔内細菌の変化 研究では、 経腸栄養・禁食患者では ・MRSA・腸内細菌・クレブシエラ・プロテウスなどの検出率が有意に上昇することが示されています。 つまり、 食べない=口がきれいになる ではなく、 食べない=病原菌が増えやすい環境になる のです。 3. 禁食と誤嚥性肺炎 誤嚥性肺炎は 「食べ物を誤嚥する」だけが原因ではありません。 実際には、 ✔ 唾液✔ 口腔内分泌物✔ 細菌を含んだ痰 を不顕性に誤嚥することが主な原因です。 禁食に
2月24日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する29~要介助者への口腔ケア
― 清潔だけで終わらせない「機能を守るケア」 ― 在宅医療の現場で強く感じるのは、 口腔ケアの質が、その人の予後やQOLに直結する ということです。 とくに要介助者では、口腔ケアは「セルフケア」ではなく ケア提供者が主体となって行う他動的口腔ケア になります。 今日は、そのポイントを整理します。 1. 要介助者の口腔ケアは“他動的ケア” 自立している方の口腔ケアは「指導」が中心ですが、要介助者ではケア提供者が主体となります。 押さえるべき基本は同じです。 ✔ 歯と歯の間✔ 歯と歯肉の境目✔ 粘膜✔ 舌✔ 清掃後の回収・排出✔ 最後に保湿 この一連の流れを省略しないことが重要です。 2. 乾燥した口はそのまま磨かない 口腔内乾燥を認める場合、 いきなりブラッシングをすると✔ 粘膜損傷✔ 出血✔ 痛み✔ ケア拒否 につながります。 まずは ・保湿剤・湿らせたガーゼ・スポンジブラシ で湿潤環境を作ってから清掃を行います。 これは非常に重要なポイントです。 3. 「回収・排出」が最重要 ブラッシングや清掃で浮き上がった細菌は 必ず口腔外へ排出させる
2月23日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する28~高齢期の不思議な感覚と向き合う:心のサインと「お口の健康」の深い関係
― “清潔”だけで終わらせない、機能を守るケア ― さくら在宅クリニック院長 内田 賢一 口腔ケアは「清掃」だけではありません 在宅医療の現場で強く感じるのは、 口腔ケアは命を守るケアである ということです。 特に要介助者の場合、口腔ケアは「本人が行うセルフケア」ではなく、ケア提供者が主体的に実施する“他動的ケア”になります。 そして重要なのは、 ✔ 口腔を清潔に保つこと✔ 清掃後の“回収・排出”を徹底すること✔ 口腔機能を維持する“機能的ケア”を行うこと この3点です。 ① 口腔保清:基本は変わらない 自立している方も、要介助の方も、口腔保清の基本は同じです。 ✅ 歯と歯の間 ✅ 歯と歯ぐきの境目 ✅ 粘膜 ✅ 舌 を丁寧に清掃します。 乾燥している口は、そのまま磨かない 口腔内が乾燥している場合、いきなりブラッシングすると粘膜を傷つけてしまいます。 まずは ・保湿剤・少量の水分・湿らせたガーゼ で 湿潤環境をつくってから清掃 しましょう。 これだけで痛みが減り、清掃効率も大きく変わります。 ② 「回収・排出」が最重要ポイント...
2月22日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する27~自立している方向けの機能的口腔ケア(2)
―「話す・笑う・呼吸する」ことが、食べる力を支える ― こんにちは。今回は、自立度が比較的高い方に向けた**機能的口腔ケア(後編)**です。 口腔の機能は大きく分けて4つあります。 ✔ 食べる✔ 話す✔ 笑う✔ 呼吸する これらはすべて連動しています。 「食べる」だけを鍛えるのでは不十分です。 ① 話す機能へのケア 発語には、 口唇 頬 舌 下顎 咽頭 喉頭 の協調運動が必要です。 ▶ パタカラ体操 「パ・タ・カ・ラ」 パ:口唇 タ:舌先 カ:舌根 ラ:舌の巧緻性 食前の準備体操として非常に有効です。 日常でできること ✔ 挨拶を促す✔ 短い会話を増やす✔ 模倣発声を行う 認知機能が低下している場合も、簡単な発語誘導で十分です。 ② 笑う機能へのケア 笑うとき、 表情筋 呼吸筋 発声筋 が同時に働きます。 笑いは 最高の口腔リハビリ です。 笑いを引き出す方法 ✔ 楽しかった思い出を聞く✔ 集団体操で誘い笑い✔ 喜びを共有する 「笑ってください」では笑えません。 感情を動かすことが重要です。 ③ 呼吸する機能へのケア 呼吸と嚥下は密接に関連してい
2月21日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する26~自立している方向けの機能的口腔ケア(1)
― 「食べる力」を自分で守るトレーニング ― こんにちは。今回は、 ある程度自立している方に向けた機能的口腔ケア をまとめます。 「まだ普通に食べられるから大丈夫」その今こそ、機能を維持するタイミングです。 なぜ今やるのか? 嚥下機能は 気づかないうちに少しずつ低下 します。 特に影響を受けるのは: 口輪筋 表情筋 舌 咀嚼筋 頸部筋 これらを“使い続けること”が最大の予防です。 ① 口を大きく動かす体操 「あ・い・う・え・お」を 誇張するくらい大きく 発声します。 ポイント: ✔ 口輪筋の収縮✔ 表情筋の可動性✔ 口唇閉鎖力の維持 食物残渣の除去能力にも関与します。 ② 舌を大きく動かす体操 前後・左右・上下に動かします。 ✔ 舌の可動域維持✔ 食塊形成の安定✔ 咽頭への送り込み強化 舌圧低下は誤嚥リスクに直結します。 ③ 大唾液腺マッサージ 耳下腺顎下腺舌下腺 を優しく刺激します。 ※強く押しすぎない※顎下部は特に注意 唾液分泌維持は誤嚥予防の基本です。 ④ 首・肩の柔軟体操 姿勢が悪いと嚥下は不安定になります。 ✔ 頸部筋の柔軟性✔ 肩の可
2月20日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する25~ケア提供者が行う機能的口腔ケア
― 口腔のリハビリテーションという視点 ― こんにちは。今回は「機能的口腔ケア」について整理します。 口腔ケアは“清潔にすること”だけではありません。 食べる・飲み込む・話す機能を守るケア こそが、在宅医療では重要です。 機能的口腔ケアとは? ケア提供者が行う代表的な介入には、 ✔ 唾液腺マッサージ✔ 表情筋のストレッチ✔ 舌の可動域拡大ストレッチ✔ 舌の抵抗訓練✔ 開口運動✔ 頸部筋マッサージ などがあります。 これらはすべて、 誤嚥性肺炎予防と摂食嚥下機能の維持 に直結します。 ① 唾液腺マッサージ 唾液分泌の維持は最優先課題です。 耳下腺 顎下腺 舌下腺 をターゲットにします。 乾燥がある場合は、ジェルやクリームで湿潤させてから実施します。 唾液は嚥下の潤滑油であり、防御因子です。 ② 表情筋のストレッチ 表情筋は骨に固定されていない特殊な筋肉です。 つまむ 広げる 把持してマッサージ といった手技で可動性を保ちます。 同時に耳下腺刺激にもなります。 ③ 舌の可動域拡大ストレッチ 嚥下時の送り込み運動(咽頭への移送)には、舌の運動性が不可欠
2月19日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する24~口腔保清
― 誤嚥性肺炎を防ぐための「基本であり最重要ケア」― こんにちは。今回は「口腔保清(こうくうほせい)」について整理します。 口腔ケアには大きく2つあります。 機能的口腔ケア(嚥下・発語機能への介入) 口腔保清(清潔保持) どちらか一方だけでは不十分です。 丁寧な保清があってこそ、誤嚥性肺炎予防の効果が最大化します。 口腔保清の基本ステップ ① 歯磨き 歯がある場合、歯磨きは最重要です。 歯垢は「細菌の塊」。歯と歯の間、歯と歯肉の境目は特に残りやすい部位です。 機械的に除去することが基本です。 ② 粘膜清掃 細菌は歯だけに存在するわけではありません。 頬粘膜 歯ぐき 口蓋 にも付着しています。 スポンジブラシなどで優しく機械的に清掃します。 ③ 舌のブラッシング 舌は構造が複雑で、細菌が付着しやすい部位です。 舌苔の増加は、✔ 細菌増殖✔ 口臭✔ 誤嚥リスク増大 につながります。 舌専用ブラシを使用し、傷つけないように行います。 ④ うがい・排出 清掃後、細菌は口腔内に散らばっています。 そのままでは唾液とともに誤嚥されます。 可能ならうがい 困難
2月18日読了時間: 2分
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