誤嚥性肺炎を科学する30~禁食中の口腔衛生
- 3 時間前
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― 食べていないからこそ、口腔ケアが必要な理由 ―
在宅医療の現場では、
・脳卒中後・神経難病・進行がん・腸閉塞・終末期
などの理由で「禁食」となる患者さんが少なくありません。
しかし、ここで重要な事実があります。
食べていないことが、誤嚥性肺炎のリスクを高めることがある。
本日はその理由を整理します。
1. 禁食で何が起こるのか
■ 唾液が減る
禁食中は唾液分泌が著しく低下します。
唾液には
✔ 抗菌作用✔ 口腔内の洗浄作用✔ 潤滑作用
があります。
唾液が減ると、口腔は一気に「細菌優位環境」になります。
2. 口腔内細菌の変化
研究では、
経腸栄養・禁食患者では
・MRSA・腸内細菌・クレブシエラ・プロテウスなどの検出率が有意に上昇することが示されています。
つまり、
食べない=口がきれいになる
ではなく、
食べない=病原菌が増えやすい環境になる
のです。
3. 禁食と誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎は
「食べ物を誤嚥する」だけが原因ではありません。
実際には、
✔ 唾液✔ 口腔内分泌物✔ 細菌を含んだ痰
を不顕性に誤嚥することが主な原因です。
禁食により
唾液減少
口腔乾燥
細菌増殖
嚥下反射低下
が起こるため、
かえって肺炎リスクが上がる可能性があるのです。
4. 脳への刺激低下という問題
口腔は重要な感覚器官です。
口に触れる味わう温度を感じる
これらは脳への求心性刺激です。
大脳皮質への感覚刺激の30~40%は口や食べる器官からの入力と言われています。
禁食中は
✔ 味覚刺激なし✔ 咀嚼刺激なし✔ 温度刺激なし
つまり、脳への入力が大きく低下します。
結果として
・廃用進行・嚥下機能低下・中枢神経活動低下
が起こり得ます。
5. 禁食中にすべきこと
禁食が避けられない場合でも、
✔ 徹底した口腔清掃
✔ 保湿
✔ 機能的口腔ケア
✔ 味覚刺激(可能な範囲で)
を行う必要があります。
例えば
・甘味や香りを含む保湿剤・スポンジブラシでの刺激・舌・頬のマッサージ・唾液腺マッサージ
などは有効です。
在宅医療の視点
終末期であっても、
「口をきれいに保つ」ことは単なる清潔保持ではありません。
それは
✔ 誤嚥性肺炎予防✔ 神経刺激の維持✔ 意識レベルの維持✔ QOLの保持
につながります。
禁食=口腔ケア不要
ではありません。
むしろ
禁食こそ、積極的な口腔ケアが必要なのです。
禁食中に起こること:
・唾液減少・細菌増殖・誤嚥性肺炎リスク上昇・脳刺激低下
だからこそ、
禁食中こそ口腔ケアを。
在宅医療では、口腔は「命の入り口」です。
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