top of page

誤嚥性肺炎を科学する28~高齢期の不思議な感覚と向き合う:心のサインと「お口の健康」の深い関係

  • 1 日前
  • 読了時間: 3分

― “清潔”だけで終わらせない、機能を守るケア ―

さくら在宅クリニック院長 内田 賢一

口腔ケアは「清掃」だけではありません

在宅医療の現場で強く感じるのは、口腔ケアは命を守るケアであるということです。

特に要介助者の場合、口腔ケアは「本人が行うセルフケア」ではなく、ケア提供者が主体的に実施する“他動的ケア”になります。

そして重要なのは、

✔ 口腔を清潔に保つこと✔ 清掃後の“回収・排出”を徹底すること✔ 口腔機能を維持する“機能的ケア”を行うこと

この3点です。

① 口腔保清:基本は変わらない

自立している方も、要介助の方も、口腔保清の基本は同じです。

✅ 歯と歯の間

✅ 歯と歯ぐきの境目

✅ 粘膜

✅ 舌

を丁寧に清掃します。

乾燥している口は、そのまま磨かない

口腔内が乾燥している場合、いきなりブラッシングすると粘膜を傷つけてしまいます。

まずは

・保湿剤・少量の水分・湿らせたガーゼ

湿潤環境をつくってから清掃しましょう。

これだけで痛みが減り、清掃効率も大きく変わります。

② 「回収・排出」が最重要ポイント

セルフケアが困難な方では、口腔内環境が悪化していることが多くあります。

ブラッシングで浮き上がった細菌や汚れを必ず回収・排出することが重要です。

うがいができない場合

✔ 乾いたガーゼは使わない(粘膜損傷の原因)✔ 少し湿らせたガーゼでやさしく拭き取る✔ 可能なら体位を工夫して自然排出を促す

最近では保湿剤を含んだ清拭用ガーゼも市販されています。

誤嚥性肺炎を防ぐ上で、この「回収・排出」の徹底は極めて重要です。

③ 機能的口腔ケア:ここが差になる

要介助者への口腔ケアでは、清掃と並行して「機能的ケア」を行うことができます。

これが非常に大切です。

頬のストレッチ

頬の内側を清掃しながら、外側へ軽くストレッチ。

✔ 表情筋✔ 口輪筋

の柔軟性維持につながります。

舌のケアと舌ストレッチ

ガーゼで舌の先端を持ち、軽く引き出すことでストレッチ効果が得られます。

また、

スプーンや指で舌を上下・左右に軽く押し、舌の反発力を利用する方法もあります。

これは舌筋トレーニングに近い効果を持ちます。

唾液腺マッサージ

唾液は天然の抗菌物質です。

✔ 耳の前(耳下腺)✔ あごの下(顎下腺)✔ 舌の裏(舌下腺)

をやさしく刺激すると唾液分泌が促進されます。

口腔乾燥の改善だけでなく、嚥下機能維持にも重要です。

表情筋・口周囲筋のケア

親指と人差し指で顔の皮膚をつまみ、やさしく伸ばす。

後頸部筋群の軽いストレッチも有効です。

口腔は「顔の筋肉」と一体です。

口腔ケアは“全身ケア”である

口腔ケアを丁寧に行うことで、

✔ 誤嚥性肺炎の予防✔ 栄養状態の改善✔ 発語の改善✔ QOL向上

につながります。

そして機能的口腔ケアは、単なる清掃を超えた“リハビリ的要素”を持ちます。

まとめ

要介助者への口腔ケアは、

① 清潔にする② 必ず回収・排出する③ 機能を守るケアを同時に行う

この3点が柱です。

コメント


© 2021 湘南在宅研究所 All Rights Reserved.

情報通信機器を用いた診療の初診において向精神薬を処方しておりません

bottom of page