誤嚥性肺炎を科学する44~
- 13 分前
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寝たきりではない要介護高齢者には、活動量確保と低栄養改善のための食支援がリハ栄養となる
通所サービスなどを利用して活動量を増やし、腎機能に応じたタンパク質摂取を心がけよう
要介護高齢者は日常生活の活動量があまり多くありません。ADLの一部に介助を要する方を想定しています。筋肉量・筋力を維持・増加させるために、リハ栄養のコンセプトを使った栄養ケアには高い価値があります。
🧑🦽 ケース①:誤嚥性肺炎予防のためのリハ栄養プログラム
📋 事例
83歳のSさん(女性)。3年前の大腿骨近位部骨折の手術後から要介護認定を受けています。歩行器歩行、入浴と更衣に介助が必要です。体重は軽く、BMIは18.0 kg/m²と推定されています。疲れやすく、1人で外出することはなく屋内生活が中心です。
プラン 1 | プラン 2 | |
運動 | 座ってできる体操(毎日)(図5-12)
立ち上がりパワーリハ(図5-13)
| 通所サービス利用
階段昇降パワーリハ
|
栄養 | カロリー・タンパク質増量
| 食事中の姿勢に注意
|
🪑
座ってできる体操(図5-12)
椅子に座ったまま四肢・体幹を動かすストレッチ。転倒リスクが高い方でも安全に行えます。
無理のない範囲で工夫する
🧍
立ち上がりパワーリハ(図5-13)
手すりをつかんで椅子から立ち上がる動作を繰り返す。起立筋・臀部・下肢・上肢に同時に負荷をかけられます。
手すりをつかんで立ち上がる
誤嚥性肺炎 治療中のケース(認知症あり)
🏥 ケース②:誤嚥性肺炎治療中のリハ利用プログラム
📋 事例
85歳のYさん(男性)。要介護3の認定を受けています。認知症が高度で食事動作にも不自由があるため食事介助が必要です。車いすに座る・立つことはできますが、歩行器を使った歩行はできません。誤嚥性肺炎を起こしたのは今回で2回目です。
プラン 1 | プラン 2 | |
運動 | 日中の起床・離床(図5-14)
| 集団体操
|
栄養 | 誤嚥リスクを軽減した食事介助(図5-15)
| 禁食の場合は……
|
⚠️ 食事介助時の姿勢・ポジショニングのポイント(図5-15)
座り方(前後左右のバランス)に注意し、顎が上がらないよう介助者も同じ目線の高さで座る
頸部前屈位(あごを少し引いた姿勢)を保つことで誤嚥リスクが下がる
食形態も体調に合わせて嚥下調整食への変更を柔軟に検討する
体調不良・活気低下時は特に注意が必要
💡 在宅ケアで押さえたいポイント
🚌
通所サービスはリハ栄養の強力な味方
屋内にこもりがちな要介護高齢者にとって、通所サービスへの参加は活動量の増加・社会参加・食欲向上という複数の効果をもたらします。デイサービスでの体操や遊びリテーションも積極的に活用しましょう。
🥛
低栄養改善には補助食品・牛乳を活用
BMIが低い要介護高齢者には、主食・主菜を増やすのが難しい場合も多いです。牛乳・栄養補助食品を間食として取り入れることで、無理なく総カロリー・タンパク質を底上げできます。なお、腎機能が低下している場合はタンパク質量の調整が必要です。
🪑
「座って体操」から始める筋力づくり
転倒リスクが高く歩行が不安定な方でも、椅子に座ったままできるストレッチ・立ち上がり動作で十分な筋負荷をかけられます。毎日少しずつ継続することが重要です。
🦷
禁食中でも口腔ケアを手抜きしない
口腔内の細菌が肺炎の原因となる不顕性誤嚥を悪化させます。禁食中であっても口腔ケアは継続でき、「食べられる口づくり」として早期の経口摂取再開につながります。
🧠
認知症があっても「模倣」で体操は可能
認知機能が低下していても、集団で体操するときの「模倣する力」は比較的保たれやすいとされています。集団嚥下体操・体操教室などを通じて、楽しみながら嚥下・全身機能を維持しましょう。
📝 まとめ
要介護高齢者のリハ栄養の柱は活動量確保+低栄養改善
座ってできる体操・立ち上がりパワーリハなど安全に実施できる運動を毎日継続する
通所サービスを積極的に活用して外出機会・活動量・社会参加を増やす
牛乳・補助食品を活用し、腎機能に応じてタンパク質を確保する
食事介助時は姿勢・頸部ポジショニング・食形態に細心の注意を払う
禁食中も口腔ケアを継続し、早期経口摂取再開を目指す
※ 本記事は医療従事者・患者家族向けの情報提供を目的としています。個別のケア方針については担当医・管理栄養士・リハビリスタッフにご相談ください。




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