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誤嚥性肺炎を科学する68~食形態の工夫、リクライニング、頸部回旋といった代償法を用いることがある。デメリットもあるため、十分な評価と観察をしながら進めよう

  • 1 日前
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代償法

リクライニング・頸部回旋による誤嚥リスク軽減の技術


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  • 食形態の工夫、リクライニング、頸部回旋といった代償法を用いることがある。デメリットもあるため、十分な評価と観察をしながら進めよう

摂食嚥下障害の程度や症状によって、代償法といわれる手法を要することがあります。代償法には食形態の調整を含みますが、食形態の工夫については第6章「3つの工夫 ①食形態」(70〜79ページ)で解説しましたので、本項では食形態の工夫以外の代償法について説明します。

リクライニング

背もたれを使い体幹を背側に傾けることで、食塊や水分が咽頭の背側(後側)寄りを通過しやすくする手法です。体幹後傾位とよぶこともあります。

🧠 メカニズム

気道は体幹の腹側(前側)に位置していますので、飲み込むものを背側(後側)に移動させることができれば誤嚥するリスクを軽減できるという効果を期待して実施します。咽頭残留が多いような摂食嚥下障害でリクライニングを用いると、残留した食塊や水分が嚥下後に喉頭に侵入しにくくなります。嚥下反射惹起が高度に遅延しているような場合、嚥下前に誤嚥することを軽減することも期待できます。

リクライニングすることで食物は重力にしたがって咽頭の背側をとおりやすい

30°〜60°気道(前側)咽頭(後側)食物重力

リクライニング(30°〜60°)―咀嚼・嚥下・食物認知にデメリットとなる場合もあるので、益と害を勘案する

角度設定

主な対象・効果

注意点

30°

咽頭残留が多い・嚥下反射遅延が高度な方

食物認知・食欲低下のリスク大

45°

中等度の嚥下障害全般

体幹・頸部筋緊張増大に注意

60°

軽度の誤嚥リスクがある方

健常者でも食べにくい角度

⚠ リクライニングのデメリット

なんでもリクライニングすればよいというわけではありません。筋肉量や筋力が低下した摂食嚥下障害者では、リクライニングすることで頸部や体幹の筋緊張充進、舌根沈下、頸部過伸展となる場合があります。また、患者さんの上肢動作能力を奪ってしまうことにもつながる場合や、視野に食器が入りにくくなり食物認知を妨げることがありますので、設定したゴールと咽頭残留の程度などを勘案して、リクライニングが必要か常に検討すべきでしょう。

頸部回旋

リクライニングは食塊や水分をできるだけ咽頭の背側寄りを通過させることを目的とした手法でしたが、頸部回旋は、左右どちらかの咽頭を通過させることを目的とした手技です。

🔄 メカニズム

頭部を左右に回旋すると回旋側の中・下咽頭腔は虚脱し、嚥下すると食塊や水分は右側の咽頭を通過します。頭部を右向きに回旋すると左側の咽頭を通過します。つまり、患側に頸部を回旋させることで、健側(機能が保たれている側)の咽頭を通過させる手法です。

📋 頸部回旋を検討すべき場合

  • 片側の咽頭収縮機能低下

  • 片側の上部食道括約筋開大不全

  • 嚥下造影検査の正面視で、左右どちらかを優位に食塊が通過し、非優位側に残留が多い所見

  • 嚥下内視鏡検査で、片側性に喉頭侵入を伴う咽頭残留が認められる所見がある場合

| 頸部回旋の原理(患側=左側の例)

正面患側(虚脱)健側(通過)患側へ回旋食物の流れ患側(左)に頭を回旋→ 患側咽頭が虚脱→ 健側(右)咽頭を通過→ 誤嚥・残留リスク↓

頸部回旋 ―患側に頸部を回旋する(この場合は左側が患側)。頸部回旋時には片側の咽頭だけを食物が通過する

⚠ 頸部回旋のデメリット

ただし、機能がある程度保たれているにもかかわらず、頸部回旋で一側嚥下を続けることは、患者さんにとって機能的デメリットになる可能性があります。健側の咽頭を有効活用する一方で、常時使用することで健側への過負荷が生じうることも念頭に置いてください。

代償法を用いる際の原則

📌 実践の鉄則

代償法(リクライニング・頸部回旋)には明確な効果が期待できる反面、必ずデメリットも存在します。① 十分な評価(嚥下造影・嚥下内視鏡など)に基づいて適応を判断する② 実施中は常に観察を続け、益と害を勘案する③ 必要がなくなれば速やかに中止・変更を検討する④ 担当医・言語聴覚士など多職種と連携して進める

Tags

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