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逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

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在宅医療を科学する24~「そこに誰かいる?」脳が作り出す不思議な体験:幻視と実在感(FP)の正体
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様から、「誰もいないはずなのに、そこに誰かが立っている」「後ろに誰か気配を感じる」といったお話を聞くことがあります。 これらは決して「気のせい」や単なる「認知症の進行」ではなく、脳の特定のネットワークの働きが変化することで起こる医学的な症状です。今回は、スライド資料をもとにそのメカニズムを解説します。 1. 「幻視」とは:実際にはないものがハッキリ見える体験 幻視(Visual Hallucination)は、実際には存在しないものを、あたかも「見えている」と確信する知覚体験です。 主な原因: 視覚系の異常活動や、目から入った情報を正しく統合できない障害によって生じます。 代表的な疾患: レビー小体型認知症(典型的で鮮明な人物幻視が多い)、パーキンソン病、加齢性視覚障害(シャルル・ボネ症候群)、あるいは薬剤(抗コリン薬、L-DOPA、ステロイドなど)の影響で起こることもあります。 2. 「存在感(Feeling of Presence)」とは:姿は見えないが気配を
2月19日読了時間: 3分


在宅医療を科学する24~「そこに誰かいる?」幻視と実在感(FP)の違いと脳のメカニズム
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様が、実際にはいないはずの「人」や「気配」を感じることがあります。これらは脳の働きの変化によって起こる症状であり、大きく分けて「幻視」 と 「実在感(FP)」の2つのパターンがあります。 今回は、それぞれの特徴と脳内で何が起きているのかについて解説します。 1. 「幻視」と「実在感(FP)」はどう違う? 患者様が「誰かいる」と訴えられた際、その体験の質によって以下のような違いがあります 。 比較項目 幻視 (Visual Hallucination) 実在感 (Feeling of Presence: FP) 訴えの内容 「孫の姿が見える」など具体的・鮮明 「誰かがいる気がする」という感覚 本人の洞察 実際には存在しないと理解している 実在を信じる傾向がある 主な行動 仏壇に手を合わせるなど冷静な対応 孫の布団を準備するなど、存在に固執した行動 感情の状態 恐怖を感じることは少ない 不安や緊張が強い 環境
2月18日読了時間: 3分


在宅医療を科学する23~「そこに誰かいる?」パーキンソン病の幻視と実在感(FP)の違いを知る
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様が、「知らない人が立っている」「誰かが後ろにいる気がする」といった、目に見えないはずのものを訴えられることがあります。 これらは単なる「気のせい」や「認知症の進行」だけではなく、脳の神経ネットワークが関係して起こる特有の症状です。「幻視」 と 「実在感(Feeling of Presence:FP)」の違いについて解説します。 1. 「幻視」とは:実際にはないものがハッキリ見える 幻視は、実際には存在しないものを、あたかも「見えている」と確信する知覚体験です。 視覚系の異常活動や、目から入った情報を正しく統合できない障害によって生じます。 主な原因疾患: レビー小体型認知症(典型的)やパーキンソン病、薬剤の影響(抗コリン薬など)。 脳の仕組み: 視覚情報を処理する「視覚連合野」の過剰な活動や、注意機能のネットワークの解離が関わっています。 2. 「幻視」と「実在感(FP)」の違い 「見える」という体験は、その鮮明さや本人の受け止め方によって大きく2つに分けられま
2月17日読了時間: 3分


在宅医療を科学する22
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 今回は、意外と知られていない「お口の中の細菌」の実態と、それが全身の健康、特に誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)にどう関わっているかについて解説します。 1. 歯垢1gは「糞便」と同じ細菌数!? お口の中には数えきれないほどの細菌が住み着いており、常に増殖を続けています。 驚くべきことに、「歯垢(プラーク)1グラム中には、糞便1グラム中とほぼ同じくらいの細菌がいる」という説もあります。 手入れが不十分なお口の中には、なんと 100億個以上 の細菌が生息している可能性があるのです。 2. なぜ口腔ケアが「誤嚥性肺炎」を防ぐのか 誤嚥性肺炎は、お口の中の細菌が唾液や食べ物と一緒に誤って肺に入ってしまうことで起こります。 つまり、「お口の中の細菌数を減らすこと(口腔保清)」は、肺炎を未然に防ぐための非常に理にかなった対策なのです。 特に、以下の場所は細菌や汚れが溜まりやすいため、入念なケアが必要です: 歯垢が溜まりやすい場所 磨き残しが多い場所 食渣(食べかす)が溜まりやすい場所 舌の表面(舌背:ぜっぱい) 3.
2月16日読了時間: 2分


在宅医療を科学する20~パーキンソン病と向き合う:幻視への理解と、命を守る「お口のケア」
パーキンソン病(PD)といえば、手のふるえや歩きにくさといった「体の動き(運動症状)」がまず思い浮かぶかもしれません。しかし、実はそれと同じくらい、あるいはそれ以上に患者様やご家族を悩ませるのが、「幻視」や「認知機能の変化」といった目に見えにくい症状です。 今回は、パーキンソン病に伴うこれらの症状との向き合い方についてお話しします。 1. 実際にはないものが見える「幻視」と「気配感」 パーキンソン病の比較的早い段階から現れることがあるのが、 幻視 や 気配感 です。 幻視: 「部屋の隅に知らない人が立っている」「壁のシミが虫に見える」といった、実際には存在しないものが見える症状です。 気配感: 誰もいないのに「すぐ後ろに誰かがいる気がする」「横を誰かが通り過ぎた気がする」と感じる現象です。 これらは脳内の情報のやり取りがスムーズにいかなくなることで起こる、病気特有の症状です。「本人の意識がしっかりしているのに、おかしなことを言う」と驚かれるかもしれませんが、「脳が見せている症状」であることを理解することが第一歩です。 2. 「物忘れ」とは少し
2月14日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する20~お口の中は細菌がいっぱい?誤嚥性肺炎を防ぐ「個別ケア」のすすめ
こんにちは。皆さんは、自分のお口の中にどれくらいの細菌が住んでいるかご存知でしょうか? 今回は、意外と知られていない「口腔内細菌」の実態 と、健康を守るための 「口腔ケアの考え方」についてお話しします。 1. お口の中の細菌数は「糞便」に匹敵する!? 口腔内には数えきれないほど多くの種類の細菌が「常在菌」として生着し、常に増殖を続けています。 驚くべきことに、一説では「歯垢(プラーク)1g中に含まれる細菌数は、糞便1g中とほぼ同じ」 と言われています。手入れが行き届いていないお口の中には、なんと 100億個以上もの細菌が生息している可能性があるのです。 2. なぜ「お口の掃除」が命を守ることにつながるのか お口の中の細菌をコントロールすることは、単に「スッキリする」以上の大きな意味があります。 お口の細菌の一部は、呼吸器官(肺)に侵入することで「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を引き起こす原因になります。 そのため、 口腔内の細菌数を減らすこと(口腔保清)は、誤嚥性肺炎の予防に直結する 非常に理にかなった対策なのです。 3. 細菌が溜まりやすい
2月14日読了時間: 2分


在宅医療を科学する19~高齢者の「幻覚・幻聴」——その原因と知っておきたい5つの背景
在宅介護の中で、ご本人が「そこに誰かいる」「知らない人の声がする」と訴え、驚かれた経験はありませんか?高齢者の幻覚や幻聴は、単なる「物忘れ」や「認知症」の一言で片付けられるものではなく、さまざまな医学的背景が隠れています。 今回は、スライド資料に基づき、高齢者の幻覚・幻聴を引き起こす主な原因について解説します。 高齢者の幻覚・幻聴:なぜ起こるのか? 高齢者の幻覚(実際にはないものが見える)や幻聴(実際にはない音が聞こえる)には、主に5つの原因が考えられます。 1. レビー小体型認知症(DLB) もっとも代表的な原因の一つです。非常に鮮明な「幻視」が特徴で、「知らない子供が部屋の隅に座っている」「虫が這っている」といった具体的な訴えが多く見られます。 2. 老年期うつ病 高齢者のうつ病では、強い不安感とともに「自責的幻聴(自分を責める声)」や「被害妄想」が現れることがあります。単なる心の持ちようではなく、適切な治療が必要な病態です。 3. せん妄(せんもう) 身体の病気や環境の変化、入院などをきっかけに、脳が一時的に混乱状態に陥ることを指します。急
2月13日読了時間: 2分


在宅医療を科学する18~失禁関連皮膚炎(IAD)とは?褥瘡(床ずれ)との見分け方と発生のメカニズム
日々の介護現場で直面することの多いおむつかぶれですが、専門的にはIAD(失禁関連皮膚炎)と呼ばれます。一見、褥瘡(床ずれ)と似ていますが、その原因や対処法は大きく異なります。 今回は、IADが起こる仕組みと、褥瘡との適切な見分け方について図解とともに解説します。 1. IADと褥瘡、どう見分ける? 適切なケアを行うためには、まず目の前の皮膚トラブルがIADなのか褥瘡なのかを正しく鑑別することが重要です。 比較項目 おむつかぶれ(IAD) 褥瘡(床ずれ) 発生部位 排泄物が接触する広範囲 骨が突出している部位に一致 範囲 拡散的(広がりがある) 限局的(部分的) 皮膚の特徴 主に発赤 紫斑や黒色壊死が見られることもある 深さ 真皮まで 皮下組織や筋層に及ぶこともある 2. IADが発生するドミノ倒しのメカニズム IADは、おむつ内の過酷な環境によって皮膚のバリア機能が崩壊することで起こります。そのプロセスは以下の通りです。 浸軟(ふやけ) :おむつ内の高温多湿環境により、皮膚がふやけます。 バリア機能障害 :ふやけた皮膚はバリア機能が低下し、経皮水
2月12日読了時間: 2分


在宅医療を科学する17~失禁関連皮膚炎(IAD)はどうして起こる?発生のメカニズムを詳しく解説
日々のスキンケアにおいて、おむつを使用されている方に避けて通れない課題のひとつが**IAD(失禁関連皮膚炎)**です。今回は、添付の図解「IAD発生メカニズム」に基づき、なぜ皮膚障害が起こるのか、そのプロセスを分かりやすく解説します。 IAD発生の3つの大きな要因 IADは、単一の原因ではなく、複数の要素が重なり合って発生します。 おむつ内の過酷な環境 :おむつを使用することで、皮膚は常に「高温多湿」の状態にさらされます。 化学的刺激 :排泄物(便や尿)に含まれる成分による刺激です。 機械的刺激 :おむつや洗浄時の「摩擦・ずれ」による物理的なダメージです。 皮膚がダメージを受けるステップ 画像では、健康な皮膚が炎症に至るまでのドミノ倒しのようなプロセスが示されています。 浸軟(ふやけ)とバリア機能の低下 :高温多湿環境で皮膚がふやけると、外部刺激から身を守る「皮膚バリア機能」が障害されます。 pHの上昇と細胞の損傷 :バリアが弱まった状態で便や尿の化学的刺激を受けると、皮膚のpHが上昇し、角化細胞が損傷してしまいます。 炎症の連鎖...
2月11日読了時間: 2分


在宅医療を科学する16~なぜ高齢者は「おむつかぶれ」になりやすい?IADのメカニズムと皮膚の特徴
介護の現場で多くの方が悩まれる「おむつ周りの赤みやただれ」。これは単なる肌荒れではなく、IAD(失禁関連皮膚炎)という皮膚障害です。 なぜ高齢になると皮膚トラブルが起きやすくなるのか? そのメカニズムと高齢者特有の皮膚の状態について解説します。 1. 高齢者の皮膚はなぜ「弱くて脆い」のか? 加齢とともに、私たちの皮膚は外からの刺激に非常に弱くなります。主な特徴は以下の通りです。 バリア機能の低下 : 皮脂の欠乏や細胞間の脂質が減ることで、外からの刺激を通しやすくなります。 皮膚の菲薄化(ひはくか) : 皮膚が薄くなり、わずかな摩擦やズレでも傷つきやすくなります。 免疫力の低下 : 細菌やカビなどの感染症に対する抵抗力が落ちています。 感覚の鈍化 : 痛みや不快感に気づきにくく、発見が遅れることがあります。 2. IAD(失禁関連皮膚炎)発症のメカニズム IADは、尿や便が皮膚に長時間接触することで起こりますが、その裏には複数の悪循環が潜んでいます。 ① 皮膚の「ふやけ(浸軟)」 尿や便に含まれる水分によって、皮膚が白くふやけた状態になります。ふや
2月10日読了時間: 2分


在宅医療を科学する14~なかなか治らないおむつかぶれ、実は「IAD(失禁関連皮膚炎)」かもしれません
在宅療養において、ご家族や介護スタッフ様を悩ませるトラブルの一つに「皮膚の赤みやただれ」があります。「いつものおむつかぶれかな?」と市販薬を塗ってもなかなか改善しない場合、それは単なる“かぶれ”ではなく、IAD(失禁関連皮膚炎)という状態かもしれません。 今回は、治療に難渋したある女性のケースを通して、IADの正体とその対策について解説します。 1. 治療に難渋した症例(Case 2) ある女性の患者様は、偽膜性腸炎や尿路感染症を繰り返し、入退院を重ねておられました。ようやく自宅退院となりましたが、その後、皮膚の状態が急激に悪化してしまったのです。 ご家族や訪問スタッフが、抗菌外用剤や抗真菌外用剤、最新のドレッシング材(被覆材)、さらには水分を弾く撥水系外用剤など、あらゆる手段を試しました。しかし、皮膚の状態は一向に改善せず、広範囲にわたる強い赤み(紅斑)や、皮膚が剥けてジュクジュクとした「びらん」が広がってしまいました。 2. IAD(失禁関連皮膚炎)とは何か? この患者様のように、尿や便(あるいはその両方)が長時間皮膚に接触し続けることで生じ
2月9日読了時間: 2分


在宅医療を科学する14~治療に難渋する皮膚炎:在宅復帰後に直面した広範な紅斑とびらんへのアプローチ
在宅医療の現場では、病院での治療を経て帰宅された後、急激な身体の変化に直面することがあります。今回は、退院後に皮膚症状が悪化し、多角的な治療を試みても改善に難渋したある女性の症例をご紹介します。 1. 患者様の背景(病歴) この患者様は、もともと「偽膜性腸炎」や「尿路感染症」を繰り返しており、入退院を頻繁に重ねておられました。感染症との戦いが続くなか、ようやく自宅退院を迎えられたという背景があります。 2. 自宅退院後の急激な悪化 住み慣れた自宅へ戻られた後、残念ながら皮膚炎が増悪してしまいました。その症状は非常に重く、単なる赤みを超え、以下のような深刻な状態を呈しました。 広範な紅斑: 皮膚の広い範囲が赤く腫れ上がる。 びらん: 皮膚の表面が剥がれ落ち、ジュクジュクとした「ただれ」が生じる。 3. 試みられた治療と直面した困難 在宅チームでは、標準的な皮膚科的治療を含め、あらゆる手段を講じました。 外用剤の活用: 抗菌外用剤や抗真菌外用剤など、感染を疑ったアプローチ。 物理的保護: ドレッシング材(被覆材)による患部の保護。 外部刺激の
2月8日読了時間: 2分


在宅医療を科学する13~血糖値が正常でも要注意!SGLT2阻害薬と「正常血糖性ケトアシドーシス」
糖尿病治療の現場で広く使われている「SGLT2阻害薬」。非常に優れたお薬ですが、服用中に「血糖値は高くないのに、体の中が酸性になる(アシドーシス)」という特殊な緊急事態が起きることがあります。 これを正常血糖性ケトアシドーシス(Euglycemic DKA)と呼びます。 ● 通常のDKAと何が違うの? 通常の糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、インスリン不足によって血糖値が 300mg/dL以上 という著しい高血糖を伴います。 しかし、SGLT2阻害薬を服用している場合、血糖値が 150〜200mg/dL といった「一見正常に近い値」であっても、ケトン体が過剰に蓄積し、重篤な状態に陥ることがあります。 項目 通常の糖尿病性DKA 正常血糖性DKA 血糖値 300mg/dL以上 150〜200mg/dL ケトン体 増加(++) 著明に増加(++++) 原因 インスリン不足 SGLT2阻害薬 ● なぜ血糖値が上がらないのに危険なの? SGLT2阻害薬によって尿糖が排泄されると、体内のインスリンが低下し、逆にグルカゴンが増加します。これにより脂肪分解
2月7日読了時間: 2分


在宅医療を科学する12~【重要】血糖値が「正常」でも油断禁物?SGLT2阻害薬と「正常血糖性ケトアシドーシス」
糖尿病の治療を受けている方、特に SGLT2阻害薬 を内服されている皆様へ。 「血糖値がそれほど高くないから大丈夫」と思っていても、実は体の中で深刻な状態が起きているかもしれません。 今回は、見逃されやすい「 正常血糖性ケトアシドーシス(euglycemic DKA) 」について解説します。 1. 「正常血糖性」ケトアシドーシスとは? 通常、糖尿病の急性合併症である「ケトアシドーシス(DKA)」は、血糖値が300mg/dL以上の著しい高血糖を伴います。 しかし、SGLT2阻害薬を服用している場合、血糖値が 150~200mg/dL程度 、あるいは250mg/dL以下の「正常~軽度上昇」にとどまっているにもかかわらず、血液が酸性に傾く「アシドーシス」という危険な状態に陥ることがあります。これが「正常血糖性」と呼ばれる理由です。 2. なぜ血糖値が上がらないのに危険なの?(SGLT2阻害薬の影響) SGLT2阻害薬は尿から糖を出す薬ですが、その影響で体の中では以下の連鎖が起きることがあります。 尿から糖が排泄される。 インスリンが低下し、逆にグルカゴ
2月6日読了時間: 2分


在宅医療を科学する11~正常血糖性ケトアシドーシス(euglycemic DKA)を知っていますか?
「血糖値が正常だから大丈夫」その思い込みが、思わぬ体調悪化を見逃す原因になるかもしれません。本日は、特にSGLT2阻害薬を服用中の方やそのご家族に知っておいていただきたい「正常血糖性ケトアシドーシス」について解説します。 1. 正常血糖性ケトアシドーシスとは? 通常、糖尿病の深刻な合併症である「ケトアシドーシス」は、著しい高血糖を伴います。しかし、特定の条件下では 血糖値がそれほど高くない(正常〜軽度上昇程度)にもかかわらず、血液が酸性に傾き(アシドーシス)、生命に関わる状態 になることがあります。これが「正常血糖性ケトアシドーシス(euglycemic DKA)」です。 2. 臨床的な特徴 この病態の最大の注意点は、一般的な血糖測定だけでは異常に気づきにくいことです。具体的な特徴は以下の通りです。 項目 特徴 血糖値 正常〜軽度上昇(≦250 mg/dL) ケトン体 高値 (血中β-ヒドロキシ酪酸の上昇) 血液 pH 低下(アシドーシス) HCO₃⁻ 低値 AG(アニオンギャップ) 増加 3. 注意すべきタイミング 一見元気そうに見えても、以下
2月5日読了時間: 2分


在宅医療を科学する10~血糖を下げるお薬の「意外な落とし穴」?SGLT2阻害薬とケトアシドーシスのしっくり解説
糖尿病の治療でよく使われる「SGLT2阻害薬」。 尿から余分な糖を出すことで血糖値を下げてくれる、とても心強いお薬です。でも、体の中ではちょっとした「勘違い」が起きることがあります。 今回は、知っておきたい副作用「ケトアシドーシス」のしくみを、図解とともに分かりやすくお伝えします! 🧐 体が「お腹ぺこぺこ!」と勘違い? SGLT2阻害薬を飲むと、体の中ではこのような連鎖が起きることがあります。 糖がどんどん尿から出る :血糖値がしっかり下がります。 インスリンが減る :血糖が下がるので、血糖を下げるホルモン「インスリン」の出番が少なくなります。 ホルモンが「飢餓(きが)」と誤解する :糖が足りない!と体が思い込み、代わりにエネルギーを作ろうとして「脂肪を燃やしすぎてしまう」のです。 その結果、燃えカスである**「ケトン体」 という物質が増えすぎてしまい、血液が酸性に傾く危険な状態(ケトアシドーシス)を招くことがあります。これを euglycemic DKA(正常血糖ケトアシドーシス)**と呼び、血糖値が正常なのに体が酸性になるのが特徴です。 ⚠
2月4日読了時間: 2分


攻めの栄養療法を科学する62~
在宅医療や急性期ケアにおいて、既製品のバッグだけでは対応しきれない特殊な病態があります。今回は、水分量を極限まで抑えたい時や、カリウム制限が必要な時の「攻めの処方設計」について解説します。 1. 水分量を制限しつつ高エネルギーを届ける「手作りTPN」 心不全や腎不全など、投与できる水分量に厳しい制限がある場合、既製品では栄養量が不足しがちです。 濃縮処方の設計 : 50%ブドウ糖液、高濃度アミノ酸製剤(アミゼットB)、脂肪乳剤(イントラリポス20%)を直接組み合わせることで、水分量を大幅にカットできます。 減量の実例 : 標準的なTPNで1,800mLかかる栄養量(約1,640kcal)を、この設計により1,300mLまで圧縮可能です。 注意点 : この「手作り」の場合は、ビタミン剤や微量元素だけでなく、ナトリウム、カリウム、リン、マグネシウムなどの電解質を病態に合わせて個別に添加し、厳密にモニタリングする必要があります。 2. カリウム制限が必要な時の「攻めのPPN」 末梢点滴(PPN)の施行中にカリウムを制限しなければならない局面があります。
2月3日読了時間: 2分


在宅医療を科学する9~血糖値が正常でも要注意?SGLT2阻害薬の落とし穴
現在、糖尿病だけでなく心不全や慢性腎臓病の「特効薬」として、多くの患者様に処方されているのがSGLT2阻害薬(ジャディアンス、フォシーガなど)です。尿から余分な糖を出すことで、血糖を下げ、心臓や腎臓を保護してくれる非常に優れたお薬です。 しかし、この薬を服用している方が、体調不良(シックデイ)に陥った際、稀に「正常血糖性ケトアシドーシス(eu-DKA)」という病態を引き起こすことがあります。 1. 「血糖値が低いから安心」という誤解 通常、糖尿病が悪化して意識障害などを起こす「ケトアシドーシス」は、血糖値が300mg/dLや500mg/dLといった高値になります。 しかし、SGLT2阻害薬を飲んでいると、 血糖値が150〜200mg/dL程度の「それほど高くない数値」でも、血中のケトン体が急増し、体が酸性に傾く重篤な状態 になることがあるのです。 2. 在宅現場で注意すべき「サイン」 訪問看護師さんやご家族に知っておいていただきたいのが、以下の症状です。 激しい倦怠感(ぐったりしている) 吐き気や嘔吐、腹痛 呼吸が荒い、または呼気から甘酸っぱい臭
2月3日読了時間: 2分


在宅医療を科学する8~糖尿病治療の落とし穴?SGLT2阻害薬と「正常血糖ケトアシドーシス」
現在、多くの糖尿病患者さんに処方されている SGLT2阻害薬 。血糖を下げるだけでなく、心不全や腎不全の予後改善にも効果がある非常に優れたお薬ですが、使用にあたっては正しく知っておくべき副作用があります。 今回は、近年注目されている副作用のひとつ、**「SGLT2ケトーシス」**について解説します。 1. SGLT2ケトーシスとは? 通常、糖尿病の重篤な合併症である「ケトアシドーシス」は、著しい高血糖(300〜500mg/dL以上)を伴うのが一般的です。 しかし、SGLT2阻害薬を服用している場合、血糖値がそれほど高くない(200mg/dL以下)にもかかわらず、体内の「ケトン体」が異常に増えて血液が酸性に傾く**「正常血糖性ケトアシドーシス(euglycemic DKA)」**という特殊な状態に陥ることがあります。これが臨床上、非常に重要な注意点です。 2. なぜ血糖値が正常なのにケトーシスが起こるのか SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管でのグルコース再吸収をブロックし、尿から糖を排出させることで血糖を下げます。 この時、体は「糖が足りない」と
2月2日読了時間: 2分


在宅医療を科学する7~高齢糖尿病患者における糖尿病ケトアシドーシス(DKA)の発症例
タグ:在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 | 糖尿病 | 緩和ケア 1. 症例背景 89歳、女性。30年近く糖尿病治療を継続されており、超速効型インスリンおよび持効型インスリン、SGLT2阻害薬の併用療法を行っていました。直近の検査では随時血糖390mg/dL、HbA1c 10.1%とコントロールは不良な状態でした。 加齢に伴いADLが低下し、ベッド上で過ごす時間が増大。外来通院が困難となったため、当院にて糖尿病管理を含む全身管理を行う方針となりました。 2. 経過と往診時の所見 訪問診療開始後、意識障害が出現したとの連絡を受け緊急往診を施行しました。 バイタル・検査所見: 血糖値は252mg/dLと軽度上昇に留まっていましたが、呼吸促進(クスマウル呼吸の疑い)が認められました。 随伴症状: 嘔吐物に血液の混入を確認。 インスリン作用の不足に脱水などの加齢要因が加わり、血糖値が極端に高くない状態でも進行する「正常血糖ケトアシドーシス」の可能性も考慮し、精査・加療のため近隣病院へ緊急搬送となりました。 3. 在宅医療における視点..
2月1日読了時間: 2分
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