在宅医療を科学する43~高齢者に多い巻き爪(陥入爪)は、一見些細なトラブルに見えますが、爪周囲炎から重篤な感染症・潰瘍へと進行するリスクがあります。
- 12 分前
- 読了時間: 3分

高齢者に多い巻き爪(陥入爪)は、一見些細なトラブルに見えますが、爪周囲炎から重篤な感染症・潰瘍へと進行するリスクがあります。本記事では、在宅診療で経験した実際の症例をもとに、見逃せないサインと適切な対処法を解説します。
📋 病歴・経過
病 歴
発症初期
左足第1趾に爪周囲炎を契機とした感染を認め、膿瘍形成のため排膿および抗菌外用剤・内服にて加療を開始。
経過中
感染は一時軽快するも、壊死組織が残存し、以後も創部は乾燥と浸出を繰り返す経過をたどった。
約1か月後
第一趾に加え踵・外足部にも潰瘍が拡大。PAD(末梢動脈疾患)に伴う皮膚変化も併存。
治療・転帰
外用剤(スルファジアジン銀クリーム)とデブリ処置を継続し、感染はコントロールされた。
🔍 この症例から学ぶポイント
① 爪周囲炎が重症化しやすい背景
高齢者では皮膚の菲薄化・免疫機能低下・末梢循環障害が重なりやすく、爪周囲炎が単なる局所感染に留まらず蜂窩織炎・骨髄炎・敗血症へ発展するリスクがあります。特に糖尿病やPAD(末梢動脈疾患)を合併している場合は要注意です。
② PAD(末梢動脈疾患)の合併に注意
⚠️ PAD合併時の注意点
足背動脈・後脛骨動脈の触診を必ず確認
ABI(足関節上腕血圧比)検査の活用
血流障害があると創傷治癒が著しく遅延する
壊死・潰瘍の拡大傾向に素早く気づくことが重要
③ 使用した外用剤:スルファジアジン銀クリーム
スルファジアジン銀(商品名:ゲーベンクリームなど)は、広域抗菌スペクトルを持つ外用抗菌薬で、熱傷・慢性創傷・感染潰瘍に広く使用されます。創面を湿潤に保ちながら感染をコントロールする効果があり、デブリ処置と組み合わせることで治癒促進が期待できます。
④ デブリ処置の重要性
壊死組織が残存すると感染の温床となり、創傷治癒が妨げられます。在宅でも適切なデブリードマン(壊死組織の除去)を継続することが、感染コントロールの鍵となります。
✅ 在宅ケアでのチェックポイント
🦶
爪の観察
巻き爪・発赤・腫脹・排膿
🌡️
感染徴候
熱感・疼痛・膿・臭気
🩸
循環評価
足背動脈の触知・皮膚色調
📈
基礎疾患
糖尿病・PAD・免疫抑制
訪問看護・訪問診療の際には、足趾・踵・足底全体を観察し、わずかな変化も見逃さないことが早期発見・重症化予防につながります。
🏷️ タグ
高齢者ケア巻き爪爪周囲炎感染症足部潰瘍PAD末梢動脈疾患スルファジアジン銀デブリ処置在宅医療創傷ケア訪問診療糖尿病合併症フットケア症例報告
🗂️ 関連記事
フットケア
糖尿病患者の足病変〜早期発見のための観察ポイント
創傷管理
在宅での褥瘡・慢性創傷マネジメントの基本
感染症対策
在宅医療における抗菌薬の適正使用




コメント