top of page
逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

神奈川県逗子市桜山2-2-54
TEL 046-874-9475
FAX 050-3145-2736
平日9時~17時
検索


在宅医療における認知症について61~ 認知症を「予防する」ために知っておきたいこと
― 特に“薬”が与える影響について ― 認知症の方を支えるご家族、とくに子世代からは、 「自分も認知症になるのでは…」 と心配の声を聞くことが少なくありません。 これまでの数多くの疫学研究から、認知症の発症にはいくつかの“危険因子”があることがわかっています。 ■ 変えられない危険因子 代表的なものは以下の3つです。 加齢 :年齢が上がるほど発症リスクが高まる 遺伝(アポリポタンパクE ε4) :アルツハイマー病の発症リスクを高める 教育年数 :教育期間が長いほど発症しにくい傾向 しかし、これらは「知ったところで避けようがない」因子ばかり。そこで注目されるのが、**“変えられる要素=予防可能な因子”**です。 一般臨床の現場で取り組める予防要因は大きく3つあります。 医薬品(薬の影響) 生活習慣病(高血圧・糖尿病など)の管理 生活習慣(運動・睡眠・栄養など) 本記事では、その中でも特にエビデンスが蓄積している**「薬と認知症リスク」**にフォーカスします。 ■ 1. ベンゾジアゼピン(BZD)系薬と認知症リスク ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、不
2 日前読了時間: 4分


在宅医療における認知症について60~認知症の「病状説明」をどう行うか― 告知の限界と、軽症例における慎重な対応 ―
🔹 病状説明の前提:「告知は技術的に不可能」 認知症の診断や病名の説明(病状説明)は、患者本人や家族・介護者との協力関係を築くうえで欠かせないステップです。しかし、まず押さえておくべき 大前提 があります。 それは、 認知症の「確定診断」を技術的に行うことは現状では不可能である ということです。 認知症の確定診断は 病理診断 (脳組織を直接調べる方法)によってのみ可能です。私たちが日常臨床で行っているのは、あくまで 臨床診断 ですが、その診断基準は不完全であり、 病理診断と一致しないケースも少なくない ことが知られています。 つまり、医師の診断は「最善の推定」にすぎず、 “確定告知”は医学的に成立しない のです。 🔹 「軽症だからこそ伝えるべき」は誤り しばしば、「軽度の認知症なら理解力が保たれているから、本人に診断名を伝えるべきだ」と言われます。一見もっともらしい意見ですが、実はこの考え方には大きな誤解があります。 理由はシンプルで、 軽症であればあるほど診断が難しいから です。 軽症例では症状があいまいで変動も多く、専門医でも確定に至らな
4 日前読了時間: 3分


在宅医療における認知症について41~うつと認知症 〜似て非なる2つの疾患〜
65歳以上の方が**「気分が落ち込む」「何もやる気がしない」 と訴えた場合、単なるうつ病とは限りません。実は、その背後に 認知症性疾患**が潜んでいることがあります。高齢者の「うつ」と「認知症」は症状が重なりやすく、**鑑別(見分けること)**が非常に重要です。 💡...
10月6日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について40~抑うつ症状・アパシーにコリンエステラーゼ阻害薬は効くのか?
認知症治療薬として広く用いられている コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン) 。記憶障害への効果は知られていますが、「抑うつ」や「アパシー(意欲低下)」などの精神症状にも効くのでしょうか? 🔍 ガイドラインにおける記載...
10月5日読了時間: 2分


在宅医療における認知症について39~抗認知症薬はBPSDに効くのか? ― 科学的根拠を検証する
認知症の行動・心理症状(BPSD)は、物忘れなどの中核症状がきっかけで生じることが多いため、「認知機能を改善する抗認知症薬を使えば、間接的にBPSDも改善できるのでは?」という考え方があります。 日本の「BPSDガイドライン(第2版)」でも、抗認知症薬をBPSDへの第一選択...
9月27日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について38~認知症の非薬物療法 ― 科学的にわかっていること、いないこと
認知症の行動・心理症状(BPSD)に対しては、薬に頼らず行える 非薬物療法 も数多く研究されています。ここでは、臨床研究の結果から「効果があるとされるもの」と「効果が乏しいもの」を整理してご紹介します。 効果があるとされる非薬物療法 1. 集団活動・音楽療法・五感刺激...
9月26日読了時間: 2分


在宅医療における認知症について37~身体疾患に潜むBPSD悪化要因 ― 感染症・脱水・痛み・感覚障害に注意
認知症の人にみられる行動・心理症状(BPSD)が悪化したとき、背後に 身体的な原因 が隠れていることがあります。 実際、在宅でBPSDを抱える認知症の方を対象にした調査では、血液検査や尿検査によって 尿路感染症・高血糖・貧血など未診断の病態が34.1%に見つかった...
9月25日読了時間: 2分


在宅医療における認知症について36~抗精神病薬と高齢者 ― 薬が精神症状を悪化させることもある
高齢者に意欲低下や寝たきりといった状態が出てきたとき、その原因のひとつに 抗精神病薬 が隠れていることがあります。 抗精神病薬が原因となるケース 多くは「精神症状が出たので薬を追加したら、かえって悪化した」というパターンです。例えば: 食欲低下に対してスルピリドを処方した...
9月24日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について35~徹底的に減薬 ― BPSD悪化を防ぐために
厚生労働省の「安心と希望の介護ビジョン」検討会で、有識者から BPSD(認知症の行動・心理症状)悪化の主な要因 として以下の3つが挙げられました。 薬剤(37.7%) 身体合併症(23.0%) 家族・介護環境(10.7%) つまり、最も大きな悪化要因は 薬剤=処方薬...
9月23日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について35~アルコール依存症 ― 説得してもやめられないのはなぜか?
「お酒は体に悪い」と聞いたことがある方は多いでしょう。脳が萎縮する、認知症のリスクになる ― このあたりまでは一般的な知識として知られています。 しかし実は、 断酒によって脳萎縮や認知機能の低下が回復する可能性がある ことは、あまり知られていません。これは、断酒を促すうえで...
9月22日読了時間: 2分


在宅医療における認知症について34~アルコールという危険因子 ― 認知症や精神症状との関わり
アルコールは「脳を働かないようにする方向」に作用します。飲み始めは陽気に見えても、量が増えるにつれて感情が抑えられなくなったり、歩行が困難になったり、最終的には呼吸が止まる危険さえあります。 「お酒を飲むと元気になる」と思っている方もいますが、それは前頭葉の理性が抑制された...
9月21日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について33~まずは断酒から ― 精神症状を「認知症のせい」と決めつけない大切さ
認知症の人にみられる行動や心理症状を、医療の現場では BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動・心理症状) と呼びます。BPSDには、幻覚・妄想・抑うつ・不安・多幸・無為・興奮・易刺激性・脱...
9月20日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について32~コリンエステラーゼ阻害薬のスイッチングと使い方の注意点
スイッチングは有効か? 系統的レビューによると、最初に使ったコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンなど)が 無効だった場合や副作用で中止した場合 、別の薬剤にスイッチすると「効く」「副作用が少ない」可能性があります。ただし、...
9月12日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について31~コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチン ― 併用に意味はある?
1. 併用療法のメタ解析から 中等度~高度アルツハイマー病 での併用療法は、単独療法に比べて 統計学的には改善あり 。 ただし、その差はごく小さく、 臨床的な意味があるかは不明 。 海外で行われた メマンチン28mg/日 の併用RCTでは有意差が出たが、 国内未承認量...
9月11日読了時間: 2分


在宅医療における認知症について30~メマンチンの検証 ― 本当に効くの?副作用は?
1. メマンチンの効果(コクランレビューから) プラセボ対照RCTを解析した大規模レビューでは、 中等度~高度のアルツハイマー病 で以下の改善が確認されました: SIB(認知機能) :+2.97点(100点満点) ADCS-ADLsev(日常生活動作)...
9月10日読了時間: 2分


在宅医療における認知症について29~海外データからみるコリンエステラーゼ阻害薬の「現実解」
まず結論 認知機能検査( ADAS-cog )の平均改善は 2~3点 程度で、 臨床的に意味があるとされる4点以上 には届かないことが多い。 “効いた”と実感できる人は約10人に1人(NNT≈10) 。著効は 約40人に1人(NNT≈42) 。...
9月9日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について28~レビー小体型認知症(DLB)に対する抗認知症薬の有効性まとめ
日本でDLBの効能・効果を持つ薬はドネペジルのみ (2018年時点)。ただし「どこまで効くのか」は疾患特性に合わせた評価が必要です。 要点(先に結論) 効きやすい領域 :DLBの 認知機能 (特に10mg/日でMMSEの改善)。 効きにくい領域...
9月8日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について27~メマンチン(メマリー®)とは?
アルツハイマー型認知症の治療薬の一つに メマンチン があります。中等度~高度の患者さんに使われるお薬で、ドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害薬とは作用機序が異なるのが特徴です。 作用の仕組み メマンチンは NMDA受容体拮抗薬...
9月7日読了時間: 2分


在宅医療における認知症について26~リバスチグミン(イクセロン®パッチ)とは?
アルツハイマー型認知症の治療薬の一つに リバスチグミン があります。現在、日本では貼付剤(パッチ)のみが使用できます。 作用機序と特徴 リバスチグミンは「アセチルコリンエステラーゼ」と「ブチリルコリンエステラーゼ」という酵素を両方阻害します。...
9月6日読了時間: 2分


在宅医療における認知症について23~抗認知症薬の適用範囲と用法 ― わかりやすいまとめ
適用範囲の違い 抗認知症薬は大きく4種類ありますが、それぞれ使える病気や進行度が異なります。 ドネペジル :軽度・中等度・高度のアルツハイマー病+レビー小体型認知症 ガランタミン :軽度~中等度のアルツハイマー病のみ リバスチグミン...
8月29日読了時間: 2分
bottom of page