パーキンソン病を科学する25⑤~【厳しい現実】Phase 3に進んだパーキンソン病治療薬はわずか28件― 対症療法が大多数、疾患修飾療法はわずか3件
- 賢一 内田
- 4 日前
- 読了時間: 3分

新薬開発における「Phase 3」とは、多くの患者に実際に投与して有効性と安全性を確認する段階です。このステージまで進むには、前段階(Phase 1・2)での成績をクリアし、かつ十分な支持と資金が必要となるため、実に狭き門。
2020年時点で、パーキンソン病治療薬のうちPhase 3に進んだのは28研究しかありません(J Parkinson’s Dis. 2020年報告より)。
■ Phase 3に進んだ28件の内訳は?
治療の種類 | 件数 | 割合 |
対症療法(Symptomatic Therapies) | 25件 | 約89% |
疾患修飾療法(Disease Modifying Therapies) | 3件のみ | 約11% |
■ 対症療法の主力は「ドーパミン系アプローチ」
円グラフからも分かる通り、**ドーパミン作動薬を中心とする対症療法が約6割(57.1%)**を占めます。具体的な薬剤名としては、以下のようなものがリストアップされています:
Levodopa-carbidopa intestinal gel(デュオドーパ)
Apomorphine、Safinamide、Tavapadonなど
ABBV-951、IPX203といった進行中の注目株も含まれます
■ 一方、疾患修飾療法は「3剤のみ」
疾患修飾療法(DMT)は、パーキンソン病の進行そのものを抑えることを目的としています。しかしPhase 3に進んでいるのはわずか3件:
Memantine(メマリー):もともとアルツハイマー治療薬として知られるNMDA受容体拮抗薬
Exenatide(GLP-1受容体作動薬):糖尿病治療から神経保護への転用が期待
Lingzhi(霊芝):伝統的な漢方成分、抗炎症作用に着目
■ まとめ:開発の現実と希望のあいだで
Phase 3まで進める疾患修飾療法は、ごくわずか。それは、以下のような理由によるものです:
進行抑制という評価軸の難しさ
長期かつ大規模な試験設計の必要性
臨床上の有効性を見極めにくいこと
それでも、GLP-1作動薬や霊芝など異分野からのアプローチが台頭していることは、新たな希望と言えるかもしれません。
📌 関連情報
出典:J Parkinson’s Dis. 2020;10(3):757–774
出現薬剤例:Memantine, Exenatide, Lingzhi(霊芝)など
当院では、パーキンソン病やALSなどの神経難病、がんの終末期医療に特化した在宅医療を、逗子・葉山・横須賀・鎌倉エリアを中心に展開しています。
医師・訪問看護師・ケアマネジャーが連携し、**「住み慣れた自宅で、安心して過ごす」**ための医療と支援を提供しています。
🎥 YouTubeで在宅医療をやさしく学ぶ
📺 内田賢一の在宅医療チャンネル – YouTube現場の訪問診療医が、パーキンソン病・神経難病・終末期ケアについてわかりやすく・深く・実践的に解説しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!
🔗 詳しくはこちら
💬 関連タグ
#パーキンソン病 #ハネムーン期 #治療後期 #ウェアリングオフ#ドーパミン製剤 #ドパミンアゴニスト #MAO-B阻害薬 #COMT阻害薬 #在宅医療#神経難病 #終末期医療 #さくら在宅クリニック #内田賢一

Comentarios