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在宅酸素療法を科学する25~

  • 3 時間前
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在宅酸素療法の適応と効果

「在宅呼吸ケア白書2010」によると、在宅酸素療法(home oxygen therapy:HOT)導入の原因疾患において肺癌は全体の6%と、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(45%)、肺線維症・間質性肺炎・塵肺・膠原病・農夫肺(18%)、肺結核後遺症(12%)についで多い疾患となっている。

肺癌患者にHOTを導入する理由の多くは、原疾患の進行に伴う低酸素血症および呼吸困難の出現である。低酸素血症は、病巣増大に伴う気道閉塞や無気肺、癌性リンパ管症、癌性胸膜炎による胸水貯留、また併存するCOPDや肺炎によるものなど様々な理由で生じ、肺癌終末期にはよくある病態のひとつである。

📋 HOT保険適用基準(高度慢性呼吸不全)

酸素療法を導入する目安としては、HOTの保険適用基準に則り、動脈血酸素分圧(PaO₂)55 Torr以下の者、および60 Torr以下で睡眠時あるいは運動負荷時に著しい低酸素血症をきたす者である。適応条件の高度慢性呼吸不全の項目には「病状が安定した」との文言が含まれているが、癌の終末期であっても上記の低酸素血症の基準を満たせば保険収載されている

酸素療法の効果に関して、低酸素血症が高度の担癌患者については予後や生活の質(QOL)に関するデータはないが、酸素を使用することに議論の余地はない。一方、低酸素血症が軽度あるいは伴わない症例でも呼吸困難は出現し、症状緩和目的に酸素療法が検討されることがある。ただ、その効果については限られた研究しかなく、十分なデータはない。

● 担癌患者における酸素療法の効果に関する研究
● 担癌患者における酸素療法の効果に関する研究
VAS:visual analogue scale,NRS:numeric rating scale
VAS:visual analogue scale,NRS:numeric rating scale

担癌患者の呼吸困難に対する酸素療法

低酸素血症が軽度あるいは伴わない進行癌51症例に対して、鼻カニューレから15分間の酸素投与あるいは空気投与を行ったクロスオーバー試験では、酸素投与群・空気投与群いずれにおいても呼吸困難は改善されたが、両群間に有意差はみられなかった。

同様に、呼吸困難を呈する経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)88%以上の担癌患者239例に対し、7日間にわたり2L/分の酸素投与あるいは空気投与を行い、呼吸困難の緩和・有害事象・QOLについて検討したランダム化比較試験では、いずれの項目においても両群間に有意差を認めなかった。

また呼吸困難に対する緩和的酸素療法の有効性を調べたシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、134例の担癌患者が対象となったが、その有効性は示されなかった。酸素投与の有効性が示せなかった理由のひとつとして、いずれの研究でも、呼吸困難が低酸素血症だけでなく種々の機序が絡み合って生じることを挙げている。


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