在宅酸素療法を科学する23~肺MAC症とは?原因・症状・経過と在宅医療の視点
- 1 日前
- 読了時間: 3分
肺MAC症とは?
肺MAC症(Mycobacterium avium complex 肺症)は、肺非結核性抗酸菌(NTM)症の中で最も多い疾患です。NTM症は結核菌とは異なる抗酸菌による感染症で、ヒトからヒトへの伝染性はなく、土壌や水中に存在する菌を吸入することで発症すると考えられています。
正確な疫学データは存在しませんが、わが国での推定罹患率は1971年の10万対0.9から増加を続け、2011年の調査では10万対5.7に達しています。死亡統計では2005年のNTM症死亡数は832人(人口10万当たり死亡率33)と報告されており、有病率は10万対33〜65と推定されています。
近年の増加は主にMAC症の増加によるものであり、特に先進国を中心に中高年女性の結節・気管支拡張型が増えています。

肺結核とNTM症はどちらも肺に小粒状影や空洞を呈するため、画像上で鑑別が必要な疾患です。しかし、臨床的な特徴や自然経過は大きく異なります。
肺MAC症の5つの病型 肺MAC症は画像上の特徴から、主に以下の5つの臨床病型に大別されます。比較項目 | 肺結核 | 肺MAC症(NTM症) |
ヒトへの伝染性 | あり(飛沫感染) | なし |
薬物治療 | 確立された治療あり | 決定的な治療薬なし |
治療期間 | 明確な基準あり | 根拠ある基準が不明確 |
進行速度 | 日和見的に発症多い | 緩徐進行が多い |
発症対象 | 基礎疾患を問わない | 基礎疾患がない人にも発症 |
無治療での経過 | 進行しやすい | 緩徐であることが多い |
肺MAC症の5つの病型
肺MAC症は画像上の特徴から、主に以下の5つの臨床病型に大別されます。





肺MAC症は慢性に進行する感染症であり、治療は抗菌薬による薬物療法が中心となりますが、いまだ治癒困難な疾患です。無治療でも進行が緩徐なこともあるため、薬剤の副作用を考慮して経過観察が選択される場合もあります。

肺MAC症が進展すると、患者のBMIは減少し、肺機能所見も悪化します。細気管支領域の病変により末梢気道の吸気流速が低下し、残気量が増加します。さらに進行すると、無気肺・胸膜肥厚・気管支拡張・空洞影といった不可逆的病変が蓄積し、拘束性換気障害を引き起こします。
気管支拡張や空洞形成に伴う下気道の慢性感染が起こりやすくなり、さらに消耗が進み、BMI低下と呼吸機能の低下が進行します。また肺の構造破壊に伴う肺高血圧症を合併する例もあります。
在宅酸素療法(LTOT)との関係
上述のような肺機能低下例や肺高血圧症合併例は、長期酸素療法(LTOT:long-term oxygen therapy)の適応となると考えられています。








コメント