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創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する⑤~入浴後の更衣で皮膚が裂けた!?高齢者に多い「スキンテア」とは

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

70代女性Aさんは、入浴後に着替えをしている最中、**右前腕部に「スキンテア(skin tear)」**と呼ばれる皮膚裂傷を起こしました。発生時には出血もあり、スタッフはすぐにぬるま湯で傷を洗浄しましたが、Aさんは「強い痛み」を訴えていました。

スキンテアとは?

スキンテア(skin tear)とは、転倒や衣服の擦れなどちょっとした外力で皮膚が裂けてしまう高齢者に多い外傷です。加齢により皮膚が薄くなっている方では特に注意が必要です。

発生直後に行うべきケアとは?

スキンテアが起きた直後に行うケアは、以下の通りです:

皮弁(めくれた皮膚)をやさしく元の位置に戻す出血を防ぐため、創部を軽く圧迫し止血創に適したドレッシング材(創傷被覆材)で保護

たとえば、ハイドロコロイドドレッシングソフトシリコーン付きポリウレタンフォームが使われることが多いです。創が浅く皮膚がきれいに戻せる場合は、皮膚接合用テープ+非固着性ガーゼで対応することもあります。

このケースのSTAR分類は?

スキンテアはSTAR分類という評価方法で状態を見極めます。

  • Aさんの場合、皮弁はまだ残っていて元に戻せる状態であったため、**「Type 1(完全に戻せる)」**に該当します。

このようなケースでは、皮膚を保護しつつ、二次感染を防ぎながら自然治癒を促すケアが必要です。

再発を防ぐには?スキンテアの予防ケア

スキンテアは、予防が何よりも重要です。

今後Aさんのような方で、入浴後の更衣などのタイミングで再発を防ぐためには:

🔹 皮膚の乾燥を防ぎ、保湿剤を日常的に使用🔹 衣類やタオルをこすりつけずにやさしく使用🔹 ベッド柵や家具の角など、接触による外力を減らす工夫🔹 介助時には長袖や腕カバーを使用し、皮膚保護

といった対策が効果的です。

まとめ

高齢者の皮膚はとてもデリケート。日常のちょっとした刺激で裂けてしまうこともあります。**「スキンテアを起こさせないケア」**を心がけることが、生活の質(QOL)を保つ第一歩です。

皮膚トラブルが起きた際は、痛みを軽減し、皮膚を守るための正しい対応を早めにとることが大切ですね。🌸 スキン‐テアの正しい理解とケアで患者さんのQOLを守ろう

スキン‐テアは高齢者に多く見られる創傷であり、正確な評価と分類がとても大切です。STAR分類を活用し、早期発見・適切な対応につなげましょう。

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