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創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する23~便失禁時の皮膚トラブルを防ぐケアの工夫

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分

便失禁は皮膚への影響が大きく、特に水様便や泥状便が続く場合には、皮膚炎や褥瘡悪化の原因となります。その理由のひとつが、便に含まれる「消化酵素」と「腸内細菌」です。

消化酵素と皮膚のダメージ

水様便には、食べ物を分解するための消化酵素が活性化したまま含まれており、皮膚に付着すると化学的な刺激となってびらんや皮膚潰瘍を引き起こします。また、便中の大腸菌などの細菌は創部を汚染し、感染リスクを高めます。

創傷部が肛門に近い場合の工夫

褥瘡などの創部が肛門に近接している場合、排泄物の侵入を防ぐ工夫が必要です。

  • ドレッシング材の縁をフィルム材でカバー特に殿裂部(お尻の割れ目)では、ポリウレタンフィルムを肛門を挟むように山型に2枚貼付することで、動きに追従しやすく剥がれにくくなります。

  • ハイドロコロイドやストーマ用皮膚保護材の使用肛門と創部の間に「堤防」として設置することで、便の流入を防ぎつつ、皮膚の保護効果も得られます。

下痢便対策に有効な製品例

泥状~水様便の吸収には、「便失禁専用」のパッドやシートの活用が効果的です。

  • Sケア軟便安心パッド(エリエール)

  • アテントお肌安心パッド

  • 軟便モレを防ぐシート(リブドゥ)

これらは、便をスポット的に吸収し、広がりを防ぐ構造となっており、アウター用オムツと組み合わせて使用します。肛門部にポリエステル繊維綿を当てることで、便がスムーズにパッドへ誘導され、皮膚の汚染や摩擦も軽減できます。

難治性の下痢や大量の下痢便への対応

  • 便失禁管理システム(例:フレキシシール)直腸内に挿入し、バルーンで固定する器具。持続的な排便を集めることができ、皮膚の清潔を保てます。※肛門部や直腸に病変がある場合は使用できません。医師管理下での使用が必要です。


  • 肛門部のパウチング人工肛門用のストーマ装具を応用し、肛門に装着して便を回収。便の皮膚接触を避けるだけでなく、皮膚保護材の効果で軽度のびらんの改善も期待できます。

まとめ

便失禁は皮膚に大きなダメージを与えやすく、放置すると褥瘡の悪化や感染の原因となります。専用のパッドや保護材の活用、創部周囲のバリア構築など、現場でできる工夫を取り入れることで、患者さんの快適さと皮膚の健康を守ることができます。

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