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逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

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在宅医療を科学する45~在宅環境での足部多発潰瘍・壊死組織に対するドレッシング管理の実際
この記事のポイント 在宅環境での足部多発潰瘍・壊死組織に対するドレッシング管理の実際 壊死組織(黒色壊死)の観察ポイントと記録のとり方 在宅医療チームによる多職種連携のケアプロセス 症例概要 部位 足部(足底・趾部) 創傷の性状 壊死組織(黒色壊死)を伴う多発潰瘍、浸出液あり 使用材料 非固着性ドレッシング材、吸収パッド ケア環境 在宅(訪問診療・訪問看護) 観察所見と評価 1. 創傷の状態 趾部(主に第1趾・足底側)に 黒色乾性壊死(dry gangrene様) を認める。 壊死組織の辺縁は概ね明瞭で、周囲皮膚との境界は比較的安定している。 足底部には複数の浸出液を伴う潰瘍が存在し、ドレッシング材の汚染(黄色〜褐色滲出液)が観察された。 2. 皮膚周囲の状態 足背・下腿部の皮膚は乾燥・鱗屑を伴い、菲薄化傾向。毛細血管の透見が可能な程度の皮膚菲薄化を認め、 血流障害(末梢動脈疾患:PAD)や糖尿病性神経障害との関連が示唆される所見であった。 📌 在宅ケアでの観察ポイント: 壊死組織の拡大・軟化・悪臭の有無を毎回記録。感染徴候(発赤・熱感・膿
3月12日読了時間: 3分


在宅医療を科学する44~あれれ? いつもと違う経過
【経過報告】足趾の傷、なんか変? ── 在宅医療の現場から あれれ? いつもと違う経過 在宅診療の現場では、毎回の訪問でしっかりと傷の状態を観察することがとても大切です。 今回ご紹介するのは、足の親指(母趾)に傷を抱えている患者さんの経過です。 写真をご覧いただくと、母趾の先端に 黒色壊死様の病変 と周囲の発赤・腫脹が確認できます。前回の訪問時と比較して「あれれ?」と思わず声が出てしまうような変化が見られました。 在宅での創傷観察ポイント 足趾の傷を観察する際、私たちが特に注意しているポイントをご紹介します。 1. 色の変化 黒色・暗紫色 → 壊死や血流障害のサイン 赤色・発赤の拡大 → 炎症・感染の広がりの可能性 黄色・白色滲出液 → 感染や壊死組織の存在 2. 腫脹・熱感 足背や趾間まで腫れが広がっていないか、触れたときの熱感はどうか、毎回丁寧に確認します。 3. 臭気 感染が進行すると特有の臭気が生じることがあります。見た目だけでなく、嗅覚も大切な診断ツールです。 4. 境界線の変化 壊死と正常組織の境界(デマルケーション)が明確にな
3月11日読了時間: 2分


在宅医療を科学する41~RS3PEとPMR:似て非なる2つの炎症疾患を見分けるポイント
はじめに 「手足がむくんでいる」「肩や腰がこわばって動かしにくい」——高齢者のこうした訴えの裏に、見逃してはならない炎症疾患が潜んでいることがあります。 今回は、似たような症状を持ちながらも本質的に異なる2つの疾患、 RS3PE(緩解性血清陰性対称性滑膜炎・浮腫) と PMR(リウマチ性多発筋痛症) について解説します。 RS3PEとは?——手・足の"むくみ"が主役の滑膜炎 RS3PE(Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema) は、その名の通り「浮腫を伴う血清陰性対称性滑膜炎」です。 主な特徴 手・足背の著明な浮腫(むくみ) が最大の特徴 手指・足趾の腱鞘滑膜炎を伴うことが多い リウマトイド因子(RF)陰性 高齢者(特に60歳以上)に好発 比較的急速に発症することが多い 注意すべきポイント:悪性腫瘍の合併 RS3PEでは、 悪性腫瘍(がん)の合併に特に注意が必要 です。 RS3PEは腫瘍随伴症候群として発症することがあり、特に消化器がん・肺がん・血液腫
3月8日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する41~栄養評価方法あれこれ
― 低栄養を「1つの検査値」で判断してはいけない ― 在宅医療では、 低栄養の評価 が非常に重要です。しかし臨床現場では今でも 「アルブミンが低い=低栄養」 と単純に判断されてしまうことがあります。 これは 大きな誤解 です。 低栄養の診断は、 単一の検査値ではなく複数の要素を総合的に評価すること が重要です。 低栄養評価の基本 低栄養は以下のような 複数の項目 を総合して判断します。 低栄養を判断する要素 摂取量不足 体重減少 筋肉量低下 皮下脂肪減少 浮腫 身体機能低下(握力・歩行能力など) これらのうち 2項目以上該当すれば低栄養を疑う とされています。 体重変化は非常に重要 栄養評価では、体重変化が非常に重要な指標です。 目安としては 短期間 1〜4週間で体重2%以上減少 中期 2〜6ヶ月で体重5%以上減少 これらがある場合は 低栄養の可能性が高い と考えます。 栄養スクリーニングツール 臨床では次のようなツールがよく使われます。 代表的ツール MNA-SF (Mini Nutritional Assessment Short Form)
3月7日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する40~栄養量目標(カロリー)
― 誤嚥性肺炎を防ぐためのエネルギー管理 ― 誤嚥性肺炎は、やせて体力が低下した高齢者に多く発症します。 だからこそ重要なのは、 “どれだけ食べられているか” です。 ■ 点滴しているから安心、ではない 入院中や在宅治療中に、 「点滴しているから大丈夫」 と思っていませんか? 維持液(3号液)500mLに含まれるカロリーは 100kcal未満 です。 仮に1日4本入れても約300kcal前後。 これは、必要カロリーには全く足りません。 ■ カロリーの基本目安 高齢者の1日エネルギー目安は ▶ 現体重(kg) × 30kcal 体重50kgなら 約1,500kcal/日 が基準です。 ■ 活動量で調整する 活動量によって補正します。 ✔ アクティブな方:1.1〜1.4倍✔ ベッド上中心:0.8〜0.9倍 つまり、動く人ほどエネルギーが必要です。 ■ 低栄養の場合は上乗せ 体重増加を目標にする場合、 ▶ 200〜500kcal/日 上乗せ 例: 体重40kg室内ADL自立体重増加目標1kg/月 30kcal × 40kg = 1,200kcal+ 2
3月6日読了時間: 2分


在宅医療を科学する38~RS3PEとPMR——鑑別が難しい理由と見分けるポイント
RS3PEとPMR——鑑別が難しい理由と見分けるポイント タグ: #RS3PE #PMR #リウマチ性多発筋痛症 #浮腫 #高齢者医療 #在宅医療 #炎症疾患 #ステロイド #鑑別診断 #内科 なぜ鑑別が難しいのか? RS3PE(Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema)とPMR(Polymyalgia Rheumatica:リウマチ性多発筋痛症)は、臨床の現場でしばしば混同される疾患です。 その理由は明確で、この2つの疾患には 3つの大きな共通点 があります。 高齢発症 :どちらも主に60歳以上の高齢者に発症します 炎症所見 :CRPや赤沈の上昇など、明らかな炎症反応を伴います ステロイド反応性 :どちらも少量〜中等量のステロイドに劇的に反応します これだけ共通点が多ければ、鑑別に迷うのは当然のことです。 同時に併存することもある さらに厄介なのは、 両疾患が同時に存在するケースがある という点です。 実際、PMR患者の**約10〜30%**においてRS3P
3月5日読了時間: 2分


在宅医療を科学する35~浮腫を伴う高齢女性の関節痛
― 「痛み」だけを診てはいけない ― 肩関節周囲炎で大学病院に通院されていた高齢女性。 しかし、初診時に私たちが目にしたのは、 全身の痛み そして 四肢の著明な浮腫 通院が困難となり、往診依頼となりました。 浮腫+関節痛は何を意味するのか? 高齢者の関節痛はよくある症状です。しかし、 四肢の著明な浮腫 全身のこわばり 多関節痛 日常生活動作(ADL)の急激な低下 これらが重なる場合、単なる「肩関節周囲炎」では説明できないことがあります。 高齢発症の炎症性疾患を疑う このようなケースでは、以下の疾患を鑑別に挙げます。 リウマチ性多発筋痛症(PMR) 高齢発症関節リウマチ RS3PE症候群 甲状腺機能異常 心不全や低栄養に伴う浮腫 特に RS3PE症候群(Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema) は、高齢者に多く、 ✔ 両側対称の手足の浮腫✔ 急激な発症✔ 強い炎症反応✔ ステロイドへの著効 という特徴があります。 「通院困難」は重要なサイン 在宅医療では、 「通
3月2日読了時間: 2分


在宅医療を科学する34~在宅診療で命を救う「スナップ診断」:大動脈解離を見逃さないための3点チェック
在宅医療や往診の現場では、病院のような精密検査がすぐには行えません。しかし、致死的な疾患である「大動脈解離」の中には、病歴と「疑う目」さえあれば、その場で判断し迅速な対応につなげられるものがあります。 今回は、往診現場で実践すべきアクションプランと、診断のポイントをまとめます。 1. 反射的に確認すべき「3点セット」 大動脈解離を疑う場合、まずは以下の3項目を即座にスクリーニングします。 突然発症の「裂けるような痛み」 : 胸背部から肩甲間部、顎や腹部へと移動するのが特徴です。 胸部X線での縦隔(じゅうかく)陰影の拡大 : 立位での縦隔幅が 8cm を超えているかを確認します。 左右上腕の血圧差(20 mmHg以上) : 両腕で同時に、または連続して血圧を測定します。 2. 在宅X線(レントゲン)撮影のコツ 現場での画像判断を確実にするための「押さえどころ」は以下の通りです。 基準画像(コントロール)を作っておく : 初診時にベースラインのX線を1枚撮影しておくことで、将来の急変時に比較が可能になり、見逃しを減らせます。 臥位(ねころんだ状態)
3月1日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する34~集団で行うリハビリテーション(1)
― 運動機能と心を同時に動かす ― さくら在宅クリニック院長 内田 賢一 誤嚥性肺炎の予防や治療において、マンツーマンのリハビリは非常に重要です。 しかし、それだけではありません。 集団で行うリハビリテーション には、個別リハにはない大きな力があります。 1. 集団リハビリの本質 集団リハビリの目的は、 ✔ 運動機能の向上✔ 精神的賦活✔ 社会的交流✔ 日内リズムの維持 単なる体操ではなく、 「人と関わりながら身体を動かすこと」 これが最大の特徴です。 2. 集団で行うメリット ■ 継続しやすい 一人では続かない運動も、周囲がいることで継続しやすくなります。 ■ 競争・共感効果 「みんながやっているから頑張れる」という心理的効果があります。 ■ 精神的刺激 笑い、声、拍手、音楽。これらは強力な中枢刺激です。 実践編:集団でできるリハビリ ① 体操 誤嚥性肺炎予防にも有効な体操は、 足踏み 背伸び 体幹回旋 上肢挙上 バランス訓練 などを組み合わせます。 音楽やカウントに合わせると、導入・継続しやすくなります。 軽い負荷(500g程度の重り)を使う
3月1日読了時間: 3分


在宅医療を科学する33~在宅診療の現場で「大動脈解離」をどう見抜くか?命を救うアクションプラン
在宅診療において、大動脈解離は「見た瞬間」に分かる症例もあれば、詳細な病歴と「疑う目」がなければ簡単に見逃してしまう症例もあります。限られた機材の中で迅速に判断を下すための、実戦的なスクリーニングとアルゴリズムを解説します。 1. 疑うべき「3項目」即時スクリーニング 往診現場で以下の臨床サインを確認した場合、大動脈解離の可能性を強く疑う必要があります。 突然発症の「裂けるような痛み」 : 胸背部から肩甲間部、頸部、顎、腹部へと痛みが移動することがあります。これまでにない激痛に加え、冷汗などの自律神経兆候を伴うのが特徴です。 左右上腕の血圧差(20 mmHg以上) : 腕頭動脈や鎖骨下動脈の狭窄でも起こり得ますが、胸背部症状を伴う場合は直ちに画像評価が必要です。 嗄声(させい:声のかすれ)や嚥下痛 : 上行大動脈から弓部にかけて縦隔が拡大し、反回神経を圧迫している兆候です。 陽性尤度比(LR+)による判断の確信度 上記3項目すべて該当: LR+ ≈ 66 (極めて高い確率で解離) 2項目該当: LR+ ≈ 5.3 2. 在宅X線(レントゲン)画
3月1日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する33~マンツーマンで行うリハビリテーション
― 誤嚥性肺炎治療中にこそ必要な介入 ― 誤嚥性肺炎の治療中、患者さんはどうしても ベッド上安静 活動量低下 食事量減少 となります。 その結果、 ✔ 廃用症候群✔ ADL低下✔ 嚥下機能低下✔ 再誤嚥 のリスクが急速に高まります。 そこで重要なのが、 マンツーマンで行うリハビリテーション です。 1. 誤嚥性肺炎とリハビリの関係 誤嚥性肺炎の治療中にリハビリを行うことで ADL維持 再入院予防 死亡率低下 が期待できると報告されています。 しかし在宅では、 療法士が常時介入できるとは限りません。 だからこそ、 医師・看護師・介護士が 日常ケアの中でリハビリを実施する ことが重要です。 実践編:在宅でできるマンツーマンリハ ① 耐久性訓練 誤嚥性肺炎の治療中は臥床時間が増えます。 臥床により 下肢筋力低下 体幹筋力低下 起立耐性低下 が急速に進みます。 実践例 ✔ 座位保持訓練✔ 立位保持✔ 短距離歩行 「少しだけ負荷を増やす」ことがポイントです。 ② ADL訓練 ADL(日常生活動作)は最も重要なリハビリです。 トイレ動作 更衣 食事動作 洗面
3月1日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する32~誤嚥性肺炎の予防とケアとしてのリハビリテーション
― 「リハビリ=訓練」ではない ― 誤嚥性肺炎は、在宅医療で最も頻度の高い重篤疾患のひとつです。 しかし、誤嚥性肺炎の予防は「嚥下訓練だけ」ではありません。 重要なのは、 障害者へのケアすべてがリハビリである という視点です。 1. リハビリの広い意味 リハビリには ✔ 狭義(療法士による疾患別リハ)✔ 広義(生活を支えるすべての支援) があります。 誤嚥性肺炎予防に関わるのは、主にこの「広義のリハビリ」です。 2. 疾患別リハビリ(狭義) 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行う 嚥下評価 嚥下訓練 呼吸リハビリ 姿勢調整 は非常に重要です。 しかし、それだけでは不十分です。 3. 集団体操の役割 体操は ✔ 心肺機能維持✔ 日中覚醒促進✔ 日内リズム調整 に役立ちます。 複数人で行う体操は、 集団意識 競争意識 社会参加意欲 を刺激し、導入・継続しやすいという利点があります。 4. 口腔ケアは「口のリハビリ」 口腔ケアは単なる清掃ではありません。 ✔ 口腔清掃✔ 機能的口腔ケア✔ 唾液腺刺激 を組み合わせることで、 「食べるための口」を維持し
2月26日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する31~リハビリテーションとは何か
― 在宅医療における「広い意味のリハビリ」 ― 「リハビリをお願いします。」 在宅医療の現場で、日常的に耳にする言葉です。しかし、この“リハビリ”という言葉、正しく理解されているでしょうか。 1. リハビリには2つの意味がある まず大切なのは、 リハビリには“広義”と“狭義”がある ということです。 ■ 狭義のリハビリ 理学療法士(PT)作業療法士(OT)言語聴覚士(ST) が行う、疾患別・専門的訓練。 いわゆる「機能回復訓練」です。 ■ 広義のリハビリ WHOはリハビリを、 「能力や状態の低下を最小限にし、社会参加を可能にするためのすべての支援」 と定義しています。 つまり、 ✔ 日常生活支援✔ 口腔ケア✔ 排泄介助✔ 栄養支援✔ 環境整備✔ 福祉用具導入 これらすべてが、広い意味でのリハビリです。 2. 要介護高齢者へのケアはリハビリである 歩行訓練だけがリハビリではありません。 安全に移乗する 自力で食事を続ける 排泄を維持する 会話能力を保つ 口腔機能を守る これらはすべて「能力の維持」という意味でリハビリです。 在宅医療では、 ケアその
2月25日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する30~禁食中の口腔衛生
― 食べていないからこそ、口腔ケアが必要な理由 ― 在宅医療の現場では、 ・脳卒中後・神経難病・進行がん・腸閉塞・終末期 などの理由で「禁食」となる患者さんが少なくありません。 しかし、ここで重要な事実があります。 食べていないことが、誤嚥性肺炎のリスクを高めることがある。 本日はその理由を整理します。 1. 禁食で何が起こるのか ■ 唾液が減る 禁食中は唾液分泌が著しく低下します。 唾液には ✔ 抗菌作用✔ 口腔内の洗浄作用✔ 潤滑作用 があります。 唾液が減ると、口腔は一気に「細菌優位環境」になります。 2. 口腔内細菌の変化 研究では、 経腸栄養・禁食患者では ・MRSA・腸内細菌・クレブシエラ・プロテウスなどの検出率が有意に上昇することが示されています。 つまり、 食べない=口がきれいになる ではなく、 食べない=病原菌が増えやすい環境になる のです。 3. 禁食と誤嚥性肺炎 誤嚥性肺炎は 「食べ物を誤嚥する」だけが原因ではありません。 実際には、 ✔ 唾液✔ 口腔内分泌物✔ 細菌を含んだ痰 を不顕性に誤嚥することが主な原因です。 禁食に
2月24日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する29~要介助者への口腔ケア
― 清潔だけで終わらせない「機能を守るケア」 ― 在宅医療の現場で強く感じるのは、 口腔ケアの質が、その人の予後やQOLに直結する ということです。 とくに要介助者では、口腔ケアは「セルフケア」ではなく ケア提供者が主体となって行う他動的口腔ケア になります。 今日は、そのポイントを整理します。 1. 要介助者の口腔ケアは“他動的ケア” 自立している方の口腔ケアは「指導」が中心ですが、要介助者ではケア提供者が主体となります。 押さえるべき基本は同じです。 ✔ 歯と歯の間✔ 歯と歯肉の境目✔ 粘膜✔ 舌✔ 清掃後の回収・排出✔ 最後に保湿 この一連の流れを省略しないことが重要です。 2. 乾燥した口はそのまま磨かない 口腔内乾燥を認める場合、 いきなりブラッシングをすると✔ 粘膜損傷✔ 出血✔ 痛み✔ ケア拒否 につながります。 まずは ・保湿剤・湿らせたガーゼ・スポンジブラシ で湿潤環境を作ってから清掃を行います。 これは非常に重要なポイントです。 3. 「回収・排出」が最重要 ブラッシングや清掃で浮き上がった細菌は 必ず口腔外へ排出させる
2月23日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する27~自立している方向けの機能的口腔ケア(2)
―「話す・笑う・呼吸する」ことが、食べる力を支える ― こんにちは。今回は、自立度が比較的高い方に向けた**機能的口腔ケア(後編)**です。 口腔の機能は大きく分けて4つあります。 ✔ 食べる✔ 話す✔ 笑う✔ 呼吸する これらはすべて連動しています。 「食べる」だけを鍛えるのでは不十分です。 ① 話す機能へのケア 発語には、 口唇 頬 舌 下顎 咽頭 喉頭 の協調運動が必要です。 ▶ パタカラ体操 「パ・タ・カ・ラ」 パ:口唇 タ:舌先 カ:舌根 ラ:舌の巧緻性 食前の準備体操として非常に有効です。 日常でできること ✔ 挨拶を促す✔ 短い会話を増やす✔ 模倣発声を行う 認知機能が低下している場合も、簡単な発語誘導で十分です。 ② 笑う機能へのケア 笑うとき、 表情筋 呼吸筋 発声筋 が同時に働きます。 笑いは 最高の口腔リハビリ です。 笑いを引き出す方法 ✔ 楽しかった思い出を聞く✔ 集団体操で誘い笑い✔ 喜びを共有する 「笑ってください」では笑えません。 感情を動かすことが重要です。 ③ 呼吸する機能へのケア 呼吸と嚥下は密接に関連してい
2月21日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する26~自立している方向けの機能的口腔ケア(1)
― 「食べる力」を自分で守るトレーニング ― こんにちは。今回は、 ある程度自立している方に向けた機能的口腔ケア をまとめます。 「まだ普通に食べられるから大丈夫」その今こそ、機能を維持するタイミングです。 なぜ今やるのか? 嚥下機能は 気づかないうちに少しずつ低下 します。 特に影響を受けるのは: 口輪筋 表情筋 舌 咀嚼筋 頸部筋 これらを“使い続けること”が最大の予防です。 ① 口を大きく動かす体操 「あ・い・う・え・お」を 誇張するくらい大きく 発声します。 ポイント: ✔ 口輪筋の収縮✔ 表情筋の可動性✔ 口唇閉鎖力の維持 食物残渣の除去能力にも関与します。 ② 舌を大きく動かす体操 前後・左右・上下に動かします。 ✔ 舌の可動域維持✔ 食塊形成の安定✔ 咽頭への送り込み強化 舌圧低下は誤嚥リスクに直結します。 ③ 大唾液腺マッサージ 耳下腺顎下腺舌下腺 を優しく刺激します。 ※強く押しすぎない※顎下部は特に注意 唾液分泌維持は誤嚥予防の基本です。 ④ 首・肩の柔軟体操 姿勢が悪いと嚥下は不安定になります。 ✔ 頸部筋の柔軟性✔ 肩の可
2月20日読了時間: 2分


在宅医療を科学する26~「誰もいないはずなのに、誰かの気配がする」――高齢期の不思議な感覚の正体とは?
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 私たちのクリニックでは、在宅療養をされている患者様やご家族から、「誰もいないはずなのに、近くに誰かがいる気がする」「後ろに誰か立っているような感覚がある」といったお話を伺うことがあります。 こうした体験は、決して「気のせい」や「怖い話」ではなく、脳の働きや環境の変化によって起こる医学的な現象です。今回はスライド資料をもとに、その仕組みを分かりやすく解説します。 1. 「存在感覚(Feeling of Presence)」:姿は見えないが気配を感じる 「他者の姿は見えないが、誰かが近くにいると感じる体験」を、医学的には存在感覚(Feeling of Presence)と呼びます。 なぜ起こるのか? :自分の体の感覚(身体表象)と、周囲の空間を把握する認知機能がうまくかみ合わず、その「ずれ」が原因で起こります。 脳の仕組み :右側の脳(側頭頭頂接合部や前頭前野など)の異常や、自分の体の意識(自己身体表象)の障害が関わっています。本来は存在しない「もう一人の自分」を外に感じてしまう現象とも言えます。 どんな時に現
2月20日読了時間: 3分


在宅医療を科学する24~「そこに誰かいる?」脳が作り出す不思議な体験:幻視と実在感(FP)の正体
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様から、「誰もいないはずなのに、そこに誰かが立っている」「後ろに誰か気配を感じる」といったお話を聞くことがあります。 これらは決して「気のせい」や単なる「認知症の進行」ではなく、脳の特定のネットワークの働きが変化することで起こる医学的な症状です。今回は、スライド資料をもとにそのメカニズムを解説します。 1. 「幻視」とは:実際にはないものがハッキリ見える体験 幻視(Visual Hallucination)は、実際には存在しないものを、あたかも「見えている」と確信する知覚体験です。 主な原因: 視覚系の異常活動や、目から入った情報を正しく統合できない障害によって生じます。 代表的な疾患: レビー小体型認知症(典型的で鮮明な人物幻視が多い)、パーキンソン病、加齢性視覚障害(シャルル・ボネ症候群)、あるいは薬剤(抗コリン薬、L-DOPA、ステロイドなど)の影響で起こることもあります。 2. 「存在感(Feeling of Presence)」とは:姿は見えないが気配を
2月19日読了時間: 3分


在宅医療を科学する24~「そこに誰かいる?」幻視と実在感(FP)の違いと脳のメカニズム
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様が、実際にはいないはずの「人」や「気配」を感じることがあります。これらは脳の働きの変化によって起こる症状であり、大きく分けて「幻視」 と 「実在感(FP)」の2つのパターンがあります。 今回は、それぞれの特徴と脳内で何が起きているのかについて解説します。 1. 「幻視」と「実在感(FP)」はどう違う? 患者様が「誰かいる」と訴えられた際、その体験の質によって以下のような違いがあります 。 比較項目 幻視 (Visual Hallucination) 実在感 (Feeling of Presence: FP) 訴えの内容 「孫の姿が見える」など具体的・鮮明 「誰かがいる気がする」という感覚 本人の洞察 実際には存在しないと理解している 実在を信じる傾向がある 主な行動 仏壇に手を合わせるなど冷静な対応 孫の布団を準備するなど、存在に固執した行動 感情の状態 恐怖を感じることは少ない 不安や緊張が強い 環境
2月18日読了時間: 3分
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