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レキサルティが著効したアルツハイマー型認知症のBPSD

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 7月6日
  • 読了時間: 2分

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2024年9月24日、**レキサルティ(ブレクスピプラゾール)**に新たな適応症が追加されました。

「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」

今回は、当院でレキサルティが著効した高齢女性の症例を紹介します。

■ 症例の概要

90代女性。介護施設入居中。

午後になると精神状態が不安定となり、以下のような症状を呈していました:

  • 被害的妄想:他人の会話が自分への悪口に聞こえる

  • 幻視・幻聴:「テーブルに虫がいる」「天井に蜘蛛がいる」「テレビが悪口を言っている」

  • 入眠前の興奮:幻覚が強く現れる

■ 前医での処方(認知症関連)

  • メマリー錠20mg 夕食後1錠

  • ツムラ抑肝散エキス顆粒 7.5g 毎食前分3

■ 当院での処方変更

  • メマリー錠10mg 夕食後1錠(減量)

  • レキサルティOD錠1mg 夕食後1錠(新規追加)

■ 経過と効果

処方変更後、幻視・幻聴は著明に改善。「虫が見える」「テレビが悪口を言う」といった訴えは消失し、夜間の安眠も得られるようになりました

■ レキサルティのBPSDにおける位置づけ

レキサルティには抗幻覚・妄想作用がありますが、鎮静作用は比較的弱いため、暴言・興奮・不眠が前景にあるBPSD症例では第一選択薬ではないこともあります。

しかし今回のように、幻覚や妄想が主症状のケースでは、非常に有効な選択肢となります。

■ 補足:レキサルティの適応症である「パラフレニー」とは?

パラフレニーは主に高齢発症の慢性妄想性障害であり、以下のような特徴があります:

  • 被害妄想や関係妄想が中心(例:「誰かに監視されている」)

  • 幻聴を伴うこともある

  • 社会的機能は比較的保たれている

  • 統合失調症とは異なり、思考障害や感情の平板化は目立たない

このような症例に対しても、レキサルティは有用です。

くら在宅クリニックでは、認知症の精神症状に対しても、症状に応じたきめ細かな薬剤調整を行っています。

 
 
 

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