創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する29~繰り返す足の傷…それは静脈性下腿潰瘍かもしれません
- 賢一 内田
- 7月9日
- 読了時間: 3分

~予防と治療・ケアの実際~
ふくらはぎの内側にできたただれや皮膚の変色、じくじくと滲出液が出る創…。それは、**慢性的な静脈うっ滞によって起こる「静脈性下腿潰瘍」**かもしれません。
✅ 再発を防ぐ!静脈性潰瘍の予防ポイント
🚶♂️1. 長時間の立位や下肢下垂を避ける
立ちっぱなしや座りっぱなしを避け、下肢の血液を心臓に戻す工夫を
🧦2. 正しい圧迫療法(弾性包帯・ストッキング)の活用
足関節部での適切な圧迫圧:
一次性下肢静脈瘤:20〜30mmHg
深部静脈血栓症後遺症:30〜40mmHg
着脱方法や圧迫強度は医療者の指導のもとで
💧3. スキンケアで外傷や掻破を防ぐ
保湿クリームで乾燥・かゆみ・掻き壊しを防止
爪の管理・鶏眼・胼胝へのフットケアも大切
⚖ 4. 肥満の予防・改善
肥満は静脈還流を妨げるだけでなく、セルフケアの妨げにもなります
🧼5. 足の保清(清潔保持)
足白癬(みずむし)・不衛生な足環境から創部感染を招くリスクあり
🩹 治療・ケアの実践ポイント
🔄 1. 圧迫療法の適応と注意点
圧迫療法は静脈性潰瘍の基本治療
ただし、**必ず下肢の血流評価(ABI)**を行ってから!
ABI 0.6~0.7未満では禁忌(血流障害悪化のリスク)
圧迫圧の目安(mmHg):
圧迫圧 | 適応 |
20~30 mmHg | 軽度静脈瘤・高齢者静脈瘤 |
30~40 mmHg | 静脈瘤・深部静脈血栓後遺症・軽度リンパ浮腫 |
40~50 mmHg | 高度浮腫・皮膚栄養障害のある静脈瘤 |
50mmHg以上 | 高度リンパ浮腫 |
🚶♀️ 2. 運動療法との併用
圧迫療法中に足関節の運動や歩行を組み合わせると、筋ポンプ作用が促進され、治癒が早まります
🔬 創傷処置とドレッシング材の選び方
📌 外用薬・創傷被覆材の例:
製品名(成分) | 特徴 |
カデックス軟膏(カデキソマーヨウ素) | 滲出液軽減、抗菌作用 |
ユーパスタ(白糖+ポビドンヨード) | 創傷乾燥管理、感染予防 |
ゲーベンクリーム(スルファジアジン銀) | 感染創に適応 |
アクアセルAg | 銀イオン含有ハイドロファイバー |
メピレックスAg | 非固着性・抗菌性フォーム |
ハイドロサイトジェントル銀 | 粘着力がやさしく皮膚に優しい |
モイスキンパッド/デルマエイド | 非固着性・滲出液吸収パッド |
※ 滲出液が多く、痛みが強い時期は非固着性で除去時に痛みの少ない製品を選択
💡 その他のケアで注意するポイント
足を高く挙上しすぎない(虚血を悪化させないように)
創部洗浄はぬるめのお湯でやさしく
包帯はきつく巻かず、緩やかに固定
心不全・PAD・透析患者には医師の確認のうえ圧迫療法を開始
炎症性皮膚疾患がある場合は皮膚科的評価を要する
📉 症状コントロールの支援
痛み:鎮痛薬使用は医師の判断に基づき、処置前にも検討
滲出液:圧迫療法+適切な吸収性ドレッシングでコントロール
再発予防:フットケア+弾性ストッキングの継続使用が重要
🎥 YouTubeでも学べます!
当院のYouTubeチャンネルでは、圧迫療法の正しい方法や創傷ケアの実践ポイントを医師が丁寧に解説しています。
Comments