在宅医療における認知症について62~認知症予防:生活習慣病と生活習慣が与える大きな影響
- 賢一 内田
- 1 日前
- 読了時間: 3分

認知症は「年齢」「遺伝」など変えられない要因もありますが、実は 生活習慣病や生活習慣の改善 によって発症リスクを下げられることが、多くの研究によって示されています。
本記事では、予防効果を期待できる “変えられる因子” として①生活習慣病の管理(糖尿病・高血圧)②生活習慣(禁煙・運動・節酒・食生活)の2つに分けて解説します。
■ 生活習慣病と認知症リスク
1. 糖尿病
糖尿病は認知症、特にアルツハイマー病のリスクを高めることが、数多くの観察研究で示されています。
台湾研究:糖尿病群は アルツハイマー病の発症が1.76倍
日本研究:糖尿病ありで 発症2.05倍
メタ解析: アルツハイマー病 1.46倍 血管性認知症 2.48倍
→ 血糖管理は認知症予防に直結。
2. 高血圧
特に 中年期の高血圧 が認知症リスクを上昇させます。
中年期の高血圧は認知機能低下と強く相関
75歳以上では「降圧しすぎても予防効果は不明」
75歳以上の降圧目標:150/90mmHg(可能なら140/90未満)
→ 40〜60代のうちにしっかり治療することが予防につながる。
■ 生活習慣の見直し
英国の認知症予防ガイドラインで推奨される4つの柱:
1. 禁煙
喫煙者は非喫煙者より認知症リスク 1.30倍
1日20本増えるごとに 34%増
禁煙でリスク低下
→ 最優先で取り組むべき習慣改善。
2. 運動
運動で海馬の血流と神経伝達物質が増える可能性
観察研究のメタ解析:認知症リスク 0.72倍
→ 座りがちな生活の方には特に効果的。
3. 節酒
少量飲酒はリスク上昇なし
ただし「予防目的で飲む」は根拠なし
大量飲酒は明確に危険
→ 大量飲酒を避けることが予防になる。
4. 食生活改善(日本人データ)
久山町研究より:
大豆、野菜、海藻、乳製品を多く
白米の偏食を避ける→ 認知症リスク 0.66倍
別研究でも
牛乳・乳製品の摂取がアルツハイマー病リスク低下と関連
食の“多様性”が認知機能維持と関連
→ 日本人に合った「和式・地中海食」が有効。
■ まとめ
認知症は完全に予防できる病気ではありませんが、生活習慣病の治療・生活習慣の見直しによって発症リスクを確実に下げることが可能 です。
血糖管理
中年期からの高血圧治療
禁煙
適度な運動
節酒
多様な食生活
在宅医療の現場でも、こうした日々の積み重ねが**“未来の認知症リスクを下げる医療”**につながっていきます。




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