在宅医療における認知症について63~認知症予防として“無効”とわかっている方法
- 賢一 内田
- 42 分前
- 読了時間: 3分

世の中には「認知症に効く」「脳に良い」と宣伝されるサプリメントや健康法が数多くあります。しかし、実際には 科学的根拠に基づいた臨床研究で効果が否定されているものも少なくありません。
ここでは、無作為化比較試験(RCT)やメタ解析など、信頼性の高い研究に基づいて “予防効果がない” と確認されている方法をまとめます。
■ 1. ビタミンEなどの抗酸化物質(サプリメント)
ビタミンE・C、ベータカロチン、亜鉛・銅など「抗酸化」をうたうサプリメントには、認知症を予防する効果がありません。
● 主な研究結果
2166名・7年間のRCT ビタミンE・C・ベータカロチン → 認知機能はプラセボと同じ
MCI(軽度認知障害)769名・3年間のRCT ビタミンE・ドネペジルともに アルツハイマー病予防効果なし
65歳以上の女性 39,876名 ビタミンE → 認知機能改善なし
心血管リスク女性 2824名 ビタミンC・E・βカロチン → 認知機能改善なし
男性7540名 ビタミンE・セレニウム → 認知症発症予防なし
→ 抗酸化サプリで認知症は予防できません。
■ 2. ビタミンB群(ホモシステイン低下療法)
ビタミンB6・B12・葉酸の補充によりホモシステイン値は低下しますが、認知機能は改善しません。
メタ解析:ホモシステインは確かに下がるが、認知機能の改善はプラセボと同等
■ 3. マルチビタミン
5947名の医師を対象としたRCT マルチビタミンの服用 → 認知機能改善なし
■ 4. EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸(サプリメント)
魚を食べる人は認知症リスクが低いという観察研究はありますが、サプリとしてEPA/DHAを飲んでも認知症予防効果はありません。
無作為化比較試験のメタ解析: 認知症予防効果なし
→ 「魚の摂取=良い」は事実ですが、 サプリ=効果なし という点は明確です。
■ 5. イチョウ葉エキス(ギンコビロバ)
非常に多くの人を対象とした大規模試験が行われていますが、認知症予防効果は一切確認されていません。
● 代表的な研究
75歳以上の認知機能正常2587人
MCI(軽度認知障害)482人
記憶力低下を訴える70歳以上2854人
→ いずれの試験でも認知症予防効果なし・認知機能改善なし
■ 6. コリンエステラーゼ阻害薬(MCIに対する使用)
アルツハイマー型認知症に使用される薬(ドネペジル等)ですが、軽度認知障害(MCI)の段階では効果がありません。
メタ解析: 認知機能改善なし、認知症発症予防効果なし むしろ 消化器症状などの副作用が増える
→ MCIの段階での安易な投薬は推奨されません。
■ まとめ:サプリは“効かないだけでなく危険”
ビタミン類、抗酸化物質、オメガ3、イチョウ葉など、「よさそうに見える」サプリは、実は予防効果ゼロであることが科学的に明らかです。
さらに、
出血リスク増加
胃腸障害
薬剤相互作用など、有害事象の報告も少なくありません。
▶ 認知症予防はサプリではなく、生活習慣の改善・生活習慣病の治療が重要。▶ 医師や薬剤師と相談し、不要なサプリは中止することを推奨します。




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