看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する④~超音波(エコー)の見え方を決める3つの要素
- 賢一 内田
- 7月14日
- 読了時間: 2分

超音波画像(エコー)は、身体の内部構造を“音の反射”で描き出す検査です。その「見え方」=画像の明瞭さや境界の強さは、主に以下の3つの物理的特性により決まります。
① 音速(Sound Velocity)
音速とは、1秒間に音が進む距離です。空気中では約340 m/s、水では約1,500 m/s、人の体内では臓器ごとに異なります(表参照)。
👉 人体では、組織の種類により音速は一定。この特性が距離の計算に使われています。
② 音響インピーダンス(Acoustic Impedance)
音響インピーダンスは、音速 × 密度で決まる物質固有の値です。
このインピーダンスの**“差”**が超音波画像の明暗を決める大きなカギとなります。
骨や筋肉のように重くて硬い組織 → インピーダンスが高い
空気や脂肪のように軽くて柔らかい組織 → インピーダンスが低い
隣り合う組織でこのインピーダンスに大きな差があると、**音が強く反射される=高エコー(白く見える)**になります。
🦴 例えば、「筋肉と骨の境界」は高インピーダンス差 → くっきりした反射が得られます☁️ 逆に、「脂肪と水」のように差が小さい組織間は、反射が少なく境界があいまいです
③ 減衰率(Attenuation)
音が体内を進むにつれ、徐々に弱くなっていきます。この“弱まりやすさ”を表すのが減衰率です。
空気や骨は減衰率が高く、超音波を通しにくいため「音響陰影」として黒く映ります
水分の多い臓器(腎臓・肝臓など)は減衰が少なく、内部までよく描出できます
📊 代表的な組織の音響特性(表の一部)
組織 | 音速 (m/s) | 音響インピーダンス (×10⁶) | 減衰率 |
空気 | 340 | 0.0004 | 高い |
脂肪 | 1,450 | 1.38 | 中等度 |
筋肉 | 1,585 | 1.70 | やや高い |
骨 | 4,080 | 7.8 | 非常に高い |
🧠まとめ:高エコー=「インピーダンスの差が大きい場所」
超音波検査では、異なる組織の「境界」を見ているという視点が大切です。インピーダンスの差が大きいほど、音は反射しやすく、画面上に白く強い「エコー」として映ります。
くっきり白い線が見えるのは、音響インピーダンスが急に変わる場所
黒く抜ける(音響陰影)のは、超音波が通らず反射も吸収もされてしまう場所🎥 YouTubeでも学べます!
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