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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する57~肺エコーで使用するプローブと装置の選び方

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 11月11日
  • 読了時間: 2分


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― 正確な胸膜評価のために ―

肺エコー(Lung Ultrasound, LUS)を行う際も、超音波診断の基本原則は変わりません。“どのプローブでもある程度は観察できる”というのは事実ですが、それぞれの特性を理解して使い分けることが診断精度向上の鍵です。

🔹 各プローブの特徴と使い分け

プローブの種類

特徴・用途

長所

注意点

リニア型(Linear)

胸膜など体表から浅い構造の観察に最適

高解像度で胸膜滑動(Lung sliding)を明瞭に描出

深部描出には不向き

コンベックス型(Convex)

肺実質や肺底部の観察に適す

広範囲を観察可能、深部まで到達

胸膜表面の細かい動きは不明瞭

セクタ型(Sector)

肋間からの観察に便利

狭いスペースでもアプローチ可能

解像度がやや低い、アーチファクトが出やすい

👉 ポイント

  • 胸膜やLung slidingの観察には リニア型

  • 肺底部や胸水・Bラインの観察には コンベックス型 or セクタ型 が有効です。

🔹 超音波装置の選び方

最新機種でなくても構いません。重要なのは、**「画像の明瞭さ」よりも「安定した操作性」**です。

  • 「肺エコーモード」プリセットがあれば理想的ですが、腹部・心臓モードでも代用可

  • ポータブルエコーは在宅医療や救急現場に非常に有用。

    • 携帯性が高く、操作が簡便。

    • 据え置き型と比較しても肺エコーの診断能に差はほとんどないと報告されています。

🔹 撮像時の安定性を保つコツ

肺エコーでは、胸膜の微細な揺れを観察します。そのため、プローブ自体が動いてしまうと誤判定の原因になります。

安定した画像を得るポイント

  • プローブの持ち手を患者の体に軽く接触させ、しっかり固定する。

  • 手ぶれによる画像の揺れを“胸膜の揺れ”と誤認しない。

  • 特に呼吸運動の強い患者では、リニアプローブを軽く支えるように保持

💡 まとめ

項目

推奨内容

胸膜観察

高解像度リニアプローブ

肺底部・胸水観察

コンベックスまたはセクタプローブ

装置

ポータブルでも可(肺エコーモード推奨)

操作姿勢

プローブを体に接して安定させる

注意点

画像の揺れを胸膜動と誤判しない

🩻 コラム:在宅現場でのポータブルエコーの活躍

在宅医療の現場では、ポータブルエコーが“聴診器+α”の役割を果たします。肺うっ血、胸水、Bラインなどの評価をその場で行い、輸液・利尿・酸素療法の判断に即活用できます。まさに“動的アセスメント”の時代を象徴するデバイスです。

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