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創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する26~放置すると怖い「糖尿病性足潰瘍」 〜タイプ別に理解するケアのポイント〜

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 7月6日
  • 読了時間: 2分

糖尿病の患者さんにおいて、足にできた「ただれ」がなかなか治らない…。それは糖尿病性足潰瘍かもしれません。血糖管理が不十分な場合、神経障害・血行障害・感染が複合的に関わり、足の潰瘍や壊疽(えそ)を引き起こすことがあります。

✅ 糖尿病性足潰瘍の分類(神戸分類)

糖尿病性足潰瘍は、原因ごとに以下の4タイプに分けられます。

📸 糖尿病性足潰瘍のタイプ別画像

タイプ

主な病態

特徴・例

タイプ I

神経障害主体

足底のタコやシャルコー足に起因する潰瘍。感覚低下のため自覚しにくい。

タイプ II

血流障害主体

足趾の黒ずみや虚血、間欠性跛行がみられる。潰瘍周囲は冷感を伴う。

タイプ III

感染主体

足白癬・爪白癬からの感染や、外傷起点での化膿。急速に悪化しやすい。

タイプ IV

複合病態(神経+血流+感染)

壊疽や蜂窩織炎を伴う重症例も。迅速な治療が必要。

🔍 潰瘍ができるまでのプロセス

  1. 感覚の低下(末梢神経障害)

    • 小さな傷に気づかず悪化

    • 足底の変形(ハンマートゥ、シャルコー足など)

  2. 血流障害

    • 傷の治癒遅延

    • 足先の冷感や紫色の変色

  3. 感染

    • 傷から細菌が侵入

    • 急激に悪化し、壊死や膿を形成

📋 診療で確認するべきポイント

  • 創の発生契機(いつ・何がきっかけか)

  • 糖尿病治療歴・血糖コントロール状況

  • PAD(末梢動脈疾患)や慢性腎不全の有無

  • 白癬、巻き爪、靴擦れ、深爪などの皮膚・爪変化

  • 足の変形や視力低下によるセルフケア困難

💥 潰瘍を悪化させる因子

  • 血糖コントロール不良

  • 白癬や不衛生な足部環境

  • 足に合わない靴・足趾の変形

  • 視覚障害・感覚障害による異変の見逃し

🦶 爪の切り方にも注意

潰瘍予防の基本は「足の観察とケア」。爪は「スクエアオフ」でまっすぐ切り、深爪は避けましょう。

🏠 在宅医療でできる足の守り方

さくら在宅クリニックでは、糖尿病性足病変に対し次のような支援を行っています:

  • 創部のデブリードマン・外用処置

  • 血流評価(ABIや皮膚温)

  • 訪問フットケア連携

  • 靴やインソール指導(必要時は義肢装具士とも連携)

  • 家族への予防指導・観察ポイントの説明

🎥 YouTubeでも学べます!

当院のYouTubeチャンネルでは、糖尿病とフットケアの重要性について医師がわかりやすく解説しています。

詳しくはこちら

 
 
 

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