創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する28~足を守るためにできること──下肢潰瘍の予防と治療・ケアの実践ポイント
- 賢一 内田
- 7月8日
- 読了時間: 3分

下肢潰瘍(足の潰瘍)**は、糖尿病・動脈硬化・静脈うっ滞など、基礎疾患に伴って発生・進行することが多く、再発や重症化、最悪の場合は切断に至ることもあります。
潰瘍の発生を防ぐための予防策と、発症後の治療・ケアの注意点を正しく知ることが、足を守る第一歩です。
✅ 下肢潰瘍を防ぐための5つの予防策
1. 🚭 禁煙の徹底
喫煙は末梢血管を収縮させ、血流を悪化させます。下肢の虚血や潰瘍の進行を防ぐため、禁煙は必須です。
2. 👟 外傷予防と適切な靴選び
素足を避け、**締めつけの少ない靴下(シームレス推奨)**を着用
自分の足のサイズ・変形に合ったフットウェアを選ぶ
鶏眼・胼胝の原因となる合わない靴は避けましょう
3. 🏃♀️ 運動療法
足関節の可動域訓練や歩行を日常的に行い、血流促進と関節拘縮予防に努めましょう。
4. 🦶 スキンケア・フットケア
足を清潔に保ち、皮膚の保湿や爪の管理を継続
巻き爪・肥厚爪・鶏眼・胼胝・白癬などの非潰瘍性足病変も早期ケアが重要です
5. 👀 日常の観察を習慣化
足の色・温度・傷・腫れ・痛みなどに毎日注意し、早期に異変をキャッチ
🩹 潰瘍ができたときの治療とケアのポイント
1. 🩺 基礎疾患の治療が最優先
動脈性潰瘍が疑われる場合、血管内治療やバイパス術などの血行再建が必要
抗血小板薬・血管拡張薬などの薬物療法を併用
循環器内科や血管外科とのチーム医療が必須です
2. ⛑ デブリードマン(壊死組織除去)のタイミングに注意
血流不良のまま行うと壊死が進行するリスクあり
皮膚灌流圧(SPP)やABI/TBIで血流を確認した上で実施
3. 💊 痛みの観察とコントロール
痛みの性質・時間帯・強度を把握
NSAIDsは腎機能に配慮して慎重に使用
必要時には麻酔科やペインクリニックと連携を検討
4. 🧼 創部ケアの基本
固着しにくい非固着性外用剤・創傷被覆材を選ぶ
ぬるめの温度でやさしく洗浄。熱すぎるお湯は避ける
包帯はできる限り使用せず、緩やかにパッドやガーゼで固定
🛏 血流障害のある方のケアで気をつけること
踵を高く挙上しすぎない(血流が悪化して痛み増強・壊死リスク)
踵が接触しない程度に浮かせ、体圧分散用具を併用
陰圧閉鎖療法(VAC)は虚血肢では禁忌
☠ 血行再建ができない場合は「乾燥療法」へ
壊死組織は感染を防ぎつつ乾燥状態で管理
ポビドンヨード、カデキソマーヨウ素等を使用し**ミイラ化(autoamputation)**を目指す
溜め湯には漬けない、1日1回流水洗浄を行う
🎥 YouTubeでも学べます!
当院のYouTubeチャンネルでは、潰瘍の予防・治療・足のケア方法について医師が丁寧に解説しています。




コメント