在宅医療における認知症について22~抗認知症薬の種類と使い方 ― 知っておきたい基礎知識
- 賢一 内田
- 8 時間前
- 読了時間: 3分

認知症の治療薬には大きく分けて 2つのタイプ があります。
1. コリンエステラーゼ阻害薬
ドネペジル
ガランタミン
リバスチグミン
アセチルコリンという神経伝達物質の分解を抑えることで、脳内の働きをサポートし、症状の進行を遅らせる作用があります。
2. NMDA受容体拮抗薬
メマンチン
脳内で過剰に働いてしまうNMDA受容体を抑え、記憶や学習の機能低下を防ぐ作用があります。
👉 この2種類はいずれも アルツハイマー病に使う薬 ですが、ドネペジルだけは レビー小体型認知症 にも適応があります。
抗認知症薬の限界
根本的に病気を治す薬ではなく、あくまで「進行を少し遅らせる」「一部の症状を改善する」ための薬です。
続けていてもいずれは認知症症状が進行していきます。
「効いているのかどうか」を判定するのは難しく、効果がはっきりしない場合も多いです。
使用できる条件はかなり限定的
抗認知症薬の添付文書(公式な説明書き)には次のように記載されています。
「アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること」
「定期的に認知機能検査を行い、効果がなければ漫然と続けないこと」
つまり、✅ 典型的なアルツハイマー病であること✅ 本人が検査に協力できること✅ ご家族や介護者から生活状況を確認できることこうした条件を満たした場合にのみ「試しに使ってみよう」となるわけです。
現実的には、すべての条件を満たすケースはむしろ少数派です。
併用について
同じ種類のコリンエステラーゼ阻害薬を組み合わせるのはNG(例:朝ドネペジル+夜ガランタミン → 禁止)。
一方で、メマンチン(NMDA拮抗薬)とコリンエステラーゼ阻害薬の併用は可能です。ただし「単独より明らかに有効」という科学的証拠はまだありません。
薬ごとの細かい違いは意味がある?
例えば「リバスチグミンは別の酵素も抑える」「ガランタミンには受容体を刺激する作用もある」といった特徴がありますが、臨床試験では どの薬も有効性や副作用の差はほとんどない ことが分かっています。したがって、薬理学的な細かい違いで薬を選ぶ意味は少なく、どの薬を使うかは 患者さんの状況や副作用の出方 などで決まることが多いです。
まとめ
抗認知症薬は「治す薬」ではなく「一時的に支える薬」。
使えるのはアルツハイマー病(+ドネペジルはレビー小体型認知症)。
使用条件が限られており、誰にでもすぐ処方できる薬ではない。
同系統の薬同士は併用禁止。メマンチンとの併用は可だが効果は限定的。
細かな薬理作用の違いに臨床的な意味はほぼない。
「薬をどう使うか」よりも、診断の正確さ・ご本人とご家族の生活の質をどう保つか が何よりも大切です。
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