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パーキンソン病を科学する15②~💊ドパミン製剤が分解される前に——“助ける薬”の存在

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 6月5日
  • 読了時間: 2分

パーキンソン病の治療で用いられるL-ドパ(レボドパ)は、脳に届いてはじめて効果を発揮する薬です。しかし、L-ドパは腸から吸収されたあと、脳に届く前の血管内(末梢)で分解されてしまうという性質があります。

そのため、L-ドパの**効果を最大限に引き出すために欠かせないのが「補助薬」**の存在です。

🧪 血管内での分解を防ぐ“2つの薬剤”

血中でL-ドパがドパミンへと分解されてしまうと、脳には届かず、むしろ副作用の原因になります。

そのリスクを防ぐため、L-ドパと一緒に投与される薬剤があります。

🔹 カルビドパ or ベンセラジド(AADC阻害薬)

→ L-ドパがドパミンに変わってしまうのを防ぐ

🔹 エンタカポン・オピカポン(COMT阻害薬)

→ 代謝産物である3-OMD(3-O-メチルドパ)への変換を防ぐ

この2剤の併用により、L-ドパの「血中でのロス」を防ぎ、より多くの薬を脳に届けることが可能になります。

🧠脳に届くのはたったの3〜5%?

実は、飲んだL-ドパのうち**脳に到達できるのはわずか3〜5%**程度だとされています。これほど“届きにくい”薬だからこそ、吸収・代謝・運搬を支える仕組みが重要なのです。

下記の図のように、腸管吸収・血中移行・血液脳関門通過といった複雑な経路を通じてようやく、脳内でドパミンとして作用します。


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