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逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

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在宅医療を科学する26~「誰もいないはずなのに、誰かの気配がする」――高齢期の不思議な感覚の正体とは?
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 私たちのクリニックでは、在宅療養をされている患者様やご家族から、「誰もいないはずなのに、近くに誰かがいる気がする」「後ろに誰か立っているような感覚がある」といったお話を伺うことがあります。 こうした体験は、決して「気のせい」や「怖い話」ではなく、脳の働きや環境の変化によって起こる医学的な現象です。今回はスライド資料をもとに、その仕組みを分かりやすく解説します。 1. 「存在感覚(Feeling of Presence)」:姿は見えないが気配を感じる 「他者の姿は見えないが、誰かが近くにいると感じる体験」を、医学的には存在感覚(Feeling of Presence)と呼びます。 なぜ起こるのか? :自分の体の感覚(身体表象)と、周囲の空間を把握する認知機能がうまくかみ合わず、その「ずれ」が原因で起こります。 脳の仕組み :右側の脳(側頭頭頂接合部や前頭前野など)の異常や、自分の体の意識(自己身体表象)の障害が関わっています。本来は存在しない「もう一人の自分」を外に感じてしまう現象とも言えます。 どんな時に現
2月20日読了時間: 3分


在宅医療を科学する24~「そこに誰かいる?」脳が作り出す不思議な体験:幻視と実在感(FP)の正体
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様から、「誰もいないはずなのに、そこに誰かが立っている」「後ろに誰か気配を感じる」といったお話を聞くことがあります。 これらは決して「気のせい」や単なる「認知症の進行」ではなく、脳の特定のネットワークの働きが変化することで起こる医学的な症状です。今回は、スライド資料をもとにそのメカニズムを解説します。 1. 「幻視」とは:実際にはないものがハッキリ見える体験 幻視(Visual Hallucination)は、実際には存在しないものを、あたかも「見えている」と確信する知覚体験です。 主な原因: 視覚系の異常活動や、目から入った情報を正しく統合できない障害によって生じます。 代表的な疾患: レビー小体型認知症(典型的で鮮明な人物幻視が多い)、パーキンソン病、加齢性視覚障害(シャルル・ボネ症候群)、あるいは薬剤(抗コリン薬、L-DOPA、ステロイドなど)の影響で起こることもあります。 2. 「存在感(Feeling of Presence)」とは:姿は見えないが気配を
2月19日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する25~ケア提供者が行う機能的口腔ケア
― 口腔のリハビリテーションという視点 ― こんにちは。今回は「機能的口腔ケア」について整理します。 口腔ケアは“清潔にすること”だけではありません。 食べる・飲み込む・話す機能を守るケア こそが、在宅医療では重要です。 機能的口腔ケアとは? ケア提供者が行う代表的な介入には、 ✔ 唾液腺マッサージ✔ 表情筋のストレッチ✔ 舌の可動域拡大ストレッチ✔ 舌の抵抗訓練✔ 開口運動✔ 頸部筋マッサージ などがあります。 これらはすべて、 誤嚥性肺炎予防と摂食嚥下機能の維持 に直結します。 ① 唾液腺マッサージ 唾液分泌の維持は最優先課題です。 耳下腺 顎下腺 舌下腺 をターゲットにします。 乾燥がある場合は、ジェルやクリームで湿潤させてから実施します。 唾液は嚥下の潤滑油であり、防御因子です。 ② 表情筋のストレッチ 表情筋は骨に固定されていない特殊な筋肉です。 つまむ 広げる 把持してマッサージ といった手技で可動性を保ちます。 同時に耳下腺刺激にもなります。 ③ 舌の可動域拡大ストレッチ 嚥下時の送り込み運動(咽頭への移送)には、舌の運動性が不可欠
2月19日読了時間: 2分


在宅医療を科学する24~「そこに誰かいる?」幻視と実在感(FP)の違いと脳のメカニズム
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様が、実際にはいないはずの「人」や「気配」を感じることがあります。これらは脳の働きの変化によって起こる症状であり、大きく分けて「幻視」 と 「実在感(FP)」の2つのパターンがあります。 今回は、それぞれの特徴と脳内で何が起きているのかについて解説します。 1. 「幻視」と「実在感(FP)」はどう違う? 患者様が「誰かいる」と訴えられた際、その体験の質によって以下のような違いがあります 。 比較項目 幻視 (Visual Hallucination) 実在感 (Feeling of Presence: FP) 訴えの内容 「孫の姿が見える」など具体的・鮮明 「誰かがいる気がする」という感覚 本人の洞察 実際には存在しないと理解している 実在を信じる傾向がある 主な行動 仏壇に手を合わせるなど冷静な対応 孫の布団を準備するなど、存在に固執した行動 感情の状態 恐怖を感じることは少ない 不安や緊張が強い 環境
2月18日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する24~口腔保清
― 誤嚥性肺炎を防ぐための「基本であり最重要ケア」― こんにちは。今回は「口腔保清(こうくうほせい)」について整理します。 口腔ケアには大きく2つあります。 機能的口腔ケア(嚥下・発語機能への介入) 口腔保清(清潔保持) どちらか一方だけでは不十分です。 丁寧な保清があってこそ、誤嚥性肺炎予防の効果が最大化します。 口腔保清の基本ステップ ① 歯磨き 歯がある場合、歯磨きは最重要です。 歯垢は「細菌の塊」。歯と歯の間、歯と歯肉の境目は特に残りやすい部位です。 機械的に除去することが基本です。 ② 粘膜清掃 細菌は歯だけに存在するわけではありません。 頬粘膜 歯ぐき 口蓋 にも付着しています。 スポンジブラシなどで優しく機械的に清掃します。 ③ 舌のブラッシング 舌は構造が複雑で、細菌が付着しやすい部位です。 舌苔の増加は、✔ 細菌増殖✔ 口臭✔ 誤嚥リスク増大 につながります。 舌専用ブラシを使用し、傷つけないように行います。 ④ うがい・排出 清掃後、細菌は口腔内に散らばっています。 そのままでは唾液とともに誤嚥されます。 可能ならうがい 困難
2月18日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する23~義歯装着と清掃
― 義歯は「細菌の貯蔵庫」になっていませんか? ― こんにちは。今回は「義歯の装着と清掃」について、在宅医療の視点から整理します。 義歯は、正しく使えば咀嚼・嚥下を助ける大切な装置です。しかし、清掃が不十分であれば―― 義歯は“口腔内細菌のリザーバー(貯蔵庫)”になります。 誤嚥性肺炎予防の観点からも、義歯管理は極めて重要です。 義歯の基本原則 ✔ 覚醒時に装着 ✔ 就寝時は外す これは基本ですが、現場では例外もあります。 認知症で外すと不穏になる 顎関節症で外せない指示がある 外すと残存歯に負担がかかる その場合でも、 1日のうち合計6時間程度は外す時間を確保する ことが理想です。 義歯の長時間装着で起こること 粘膜代謝の低下 細菌・真菌の増殖 義歯性口内炎 粘膜損傷 残存歯の虫歯・歯周病 特に、口腔内細菌の約80%は嫌気性菌。義歯と粘膜の間は細菌にとって“理想的な環境”になります。 義歯の正しい清掃方法(3ステップ) ① 義歯ブラシで磨く 平らな毛束で広い面 尖った毛束で金属部や凹部 ※落下防止のため、洗面器に水を溜めて行う ② 義歯洗浄剤で
2月17日読了時間: 2分


在宅医療を科学する23~「そこに誰かいる?」パーキンソン病の幻視と実在感(FP)の違いを知る
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様が、「知らない人が立っている」「誰かが後ろにいる気がする」といった、目に見えないはずのものを訴えられることがあります。 これらは単なる「気のせい」や「認知症の進行」だけではなく、脳の神経ネットワークが関係して起こる特有の症状です。「幻視」 と 「実在感(Feeling of Presence:FP)」の違いについて解説します。 1. 「幻視」とは:実際にはないものがハッキリ見える 幻視は、実際には存在しないものを、あたかも「見えている」と確信する知覚体験です。 視覚系の異常活動や、目から入った情報を正しく統合できない障害によって生じます。 主な原因疾患: レビー小体型認知症(典型的)やパーキンソン病、薬剤の影響(抗コリン薬など)。 脳の仕組み: 視覚情報を処理する「視覚連合野」の過剰な活動や、注意機能のネットワークの解離が関わっています。 2. 「幻視」と「実在感(FP)」の違い 「見える」という体験は、その鮮明さや本人の受け止め方によって大きく2つに分けられま
2月17日読了時間: 3分


在宅医療を科学する22
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 今回は、意外と知られていない「お口の中の細菌」の実態と、それが全身の健康、特に誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)にどう関わっているかについて解説します。 1. 歯垢1gは「糞便」と同じ細菌数!? お口の中には数えきれないほどの細菌が住み着いており、常に増殖を続けています。 驚くべきことに、「歯垢(プラーク)1グラム中には、糞便1グラム中とほぼ同じくらいの細菌がいる」という説もあります。 手入れが不十分なお口の中には、なんと 100億個以上 の細菌が生息している可能性があるのです。 2. なぜ口腔ケアが「誤嚥性肺炎」を防ぐのか 誤嚥性肺炎は、お口の中の細菌が唾液や食べ物と一緒に誤って肺に入ってしまうことで起こります。 つまり、「お口の中の細菌数を減らすこと(口腔保清)」は、肺炎を未然に防ぐための非常に理にかなった対策なのです。 特に、以下の場所は細菌や汚れが溜まりやすいため、入念なケアが必要です: 歯垢が溜まりやすい場所 磨き残しが多い場所 食渣(食べかす)が溜まりやすい場所 舌の表面(舌背:ぜっぱい) 3.
2月16日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する22~義歯不適合の影響
―「噛める」は守れているか?誤嚥性肺炎との意外な関係― こんにちは。今回は「義歯(入れ歯)」が誤嚥性肺炎リスクにどのように関わるのかを、在宅医療の視点から整理します。 在宅現場でよくある言葉です。 「入れ歯、合ってないけど使ってます」「なくても食べられるから大丈夫」 本当にそうでしょうか? 義歯の本来の役割 義歯は単に“噛むための道具”ではありません。 ✔ 食物を粉砕する ✔ 食塊を形成しやすくする ✔ 下顎を安定させ嚥下運動を助ける ✔ 発音を明瞭にする ✔ 顔貌を保つ つまり、 咀嚼と嚥下の連動を支える装置 です。 義歯が合わないと何が起こるか? 不適合義歯は、 食物が義歯の内側に溜まる 痛みで咀嚼回数が減る 義歯が浮き上がる 口腔内に傷ができる 結果として、 ▶ 食物や唾液とともに細菌を誤嚥するリスク増加 ▶ 咀嚼嚥下筋群の使用低下 ▶ サルコペニア進行 へとつながります。 「義歯を使わなくても食べられる」は危険信号 歯がなくても食べられる方は確かにいます。しかし重要なのは、 咀嚼筋・嚥下筋が維持されているかどうか。 義歯は筋肉の代わりには
2月16日読了時間: 2分


在宅医療を科学する21~高齢者の「遅発性パラフレニー」とは?認知症との違いや治療法
「最近、一人暮らしの母が『近所の人が悪口を言っている』と怯えるようになった」「認知症かと思ったが、身の回りのことはしっかりできている……」 高齢の方にこのような症状が見られた場合、それは「遅発性パラフレニー(Late-Onset Paraphrenia)」かもしれません。今回は、聞き馴染みのない方も多いこの疾患について解説します。 遅発性パラフレニーとは? 遅発性パラフレニーは、 60歳以降に発症する統合失調症によく似た疾患 です。かつては高齢者特有の精神病として分類されていました。 主な特徴は以下の通りです。 妄想と幻聴が中心: 「誰かに嫌がらせをされている(被害妄想)」「自分に関係のないことまで自分に関係があると思い込む(関係妄想)」といった症状や、周りに誰もいないのに声が聞こえる幻聴が主体となります。 認知機能は保たれる: 認知症と異なり、記憶力や判断力、身の回りの自立度(ADL)は比較的保たれているのが特徴です。 幻視は少ない: レビー小体型認知症などで見られる「虫が見える」といった幻視はあまり見られません。 どのような人に多い?
2月15日読了時間: 2分
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