在宅医療を科学する26~「誰もいないはずなのに、誰かの気配がする」――高齢期の不思議な感覚の正体とは?
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こうした体験は、決して「気のせい」や「怖い話」ではなく、脳の働きや環境の変化によって起こる医学的な現象です。今回はスライド資料をもとに、その仕組みを分かりやすく解説します。
1. 「存在感覚(Feeling of Presence)」:姿は見えないが気配を感じる
「他者の姿は見えないが、誰かが近くにいると感じる体験」を、医学的には存在感覚(Feeling of Presence)と呼びます。
なぜ起こるのか?:自分の体の感覚(身体表象)と、周囲の空間を把握する認知機能がうまくかみ合わず、その「ずれ」が原因で起こります。
脳の仕組み:右側の脳(側頭頭頂接合部や前頭前野など)の異常や、自分の体の意識(自己身体表象)の障害が関わっています。本来は存在しない「もう一人の自分」を外に感じてしまう現象とも言えます。
どんな時に現れるか?:パーキンソン病やてんかんなどの疾患、睡眠時の異常(レム睡眠の侵入)、あるいは孤独感や感覚が遮断された環境などで出現しやすくなります。
2. 「遅発性パラフレニー」:高齢期の妄想や知覚の変化
もう一つ、60歳以降の高齢期に発症する遅発性パラフレニーという状態があります。これは妄想性障害の一種ですが、人格は保たれているのが特徴です。
主な特徴:「誰かに嫌がらせをされている」といった被害妄想や、幻視・幻聴、そして前述の存在感覚を伴うことがあります。
なりやすい状況:
視覚や聴覚の障害がある
脳の一部(右前頭葉や側頭葉)が萎縮している
社会的孤立:人との関わりが減り、孤独になることで妄想が固定化しやすくなります
まとめ:大切なのは「脳のサイン」として理解すること
こうした「気配」や「妄想」は、脳のネットワークの混線や、視覚・聴覚の低下による情報の不足を脳が補おうとした結果(内的イメージの外在化)として起こります。
ご本人が「誰かいる」と訴えるとき、それは脳が発信している大切なサインかもしれません。周囲が否定しすぎず、まずは専門家に相談することが、ご本人とご家族の安心への第一歩となります。
気になる症状がある場合は、いつでもクリニックまでご相談ください。
さくら在宅クリニック




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